【動画付き】乳がんは再発しやすいって聞いたことあるけれど本当?

公開日:2021/06/26  更新日:2021/09/27

「がん」と聞くと再発の可能性を考え、怖くなることもあります。なかでも乳がんの再発率は、他のがんと比べて高いと聞いたことがあります。再発しないように普段からできることはあるのでしょうか? ピンクリボンブレストケアクリニック表参道の島田先生に伺いました。

島田 菜穂子

監修医師
島田 菜穂子(ピンクリボンブレストケアクリニック表参道 院長)

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筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学附属病院、東京逓信病院放射線科で、乳腺外来開設。1998年アメリカワシントン大学ブレストヘルスセンター勤務、2005年イーク丸の内副院長を経て、2008年にピンクリボンブレストケアクリニック表参道を開設。診療の傍ら、乳がん啓発や診療環境の改善を目指し、2000年に認定NPO法人乳房健康研究会を発足、ピンクリボン活動を日本で始動。ピンクリボンウオークの開催や講演、出版、ピンクリボンアドバイザーの教育などをおこなっている。日本医学放射線学会放射線専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、日本がん検診・診断学会認定医、認定スポーツドクター、認定産業医などの資格を有する。東京2020オリンピック聖火ランナーも務める。

早期治療をおこなえば再発のリスクは低い

早期治療をおこなえば再発のリスクは低い

編集部編集部

乳がんが再発しやすいのは本当ですか?

島田先生島田先生

発見のタイミングやがんの性質(サブタイプなど)によって再発のリスクは様々ですが、他の臓器のがんに比べ、乳がんが再発しやすいということはありません。特に早期がんの再発率は肺や膵臓などのがんに比べるとかなり低いといえます。ただし、乳がんも発見するタイミングが遅れると再発の危険は高くなります。

編集部編集部

発見のタイミングとは、どういうことですか?

島田先生島田先生

いかに早い段階で乳がんを発見し治療を始めることができるかということです。つまり、0期やⅠ期の早期に発見し治療をおこなえば、再発率は非常に低くなります。0期の乳がんは正常の乳腺内にとどまり、全身へつながる血管やリンパ管へがん細胞が入り込んでいる危険がほとんどないため、乳房にできた腫瘍の手術を適切におこなうのみで95%以上の方が転移の危険なく治癒が期待できます。Ⅰ期で90%以上の方が治癒します。

編集部編集部

早期発見が重要なのですね。

島田先生島田先生

そうですね。このように乳がんは0期、Ⅰ期の早期で発見して治療を開始すれば再発のリスクは他の臓器に比べても非常に低いのが特徴です。また、治癒率だけでなく発見のタイミングが、治療にかかる時間や費用、治療方法を左右する重要なポイントなのです。

編集部編集部

さらに進行しているとどうでしょうか?

島田先生島田先生

10年生存率はⅡ期で約80%、Ⅲ期で55%前後、Ⅳ期で25%と発見のタイミングが遅れると、残念ながら治癒の確率は下がり再発のリスクが上がっていきます。進行とともに、シコリが大きくなり、がんが乳房だけでなく他の臓器に転移している可能性が高くなります。こうなると治療は乳房だけの局所的な治療(手術)だけでなく、全身のがんを制御するための治療(ホルモン剤や抗がん剤などの薬物治療)の組み合わせが必要となります。

編集部編集部

詳しく教えてください。

島田先生島田先生

がんが乳房にだけある状態だと病気を制御しやすいのですが、転移している他の重要な臓器の機能を妨げることなく、すべてのがんを体から消し去るのは難しくなります。特に乳がんが転移しやすいのは、肝臓、肺、骨、脳など重要な働きをしている臓器なので、もし転移が起きた場合、完治は難しくなります。転移したがんの勢いを治療で抑えながらがんとの共存を目指すことになります。

編集部編集部

乳房の全切除と部分切除では、再発率は異なりますか?

島田先生島田先生

正常な乳腺は温存し、病変部位のみを切除する部分切除では、全切除に比べて局所再発が起こるリスクはありますが、部分切除後に放射線治療を組み合わせることで局所再発のリスクも全切除とほぼ同等となります。部分切除でも、乳房の全切除でも乳房への局所再発や他の臓器への再発(転移)のリスクはほとんど変わりません。もちろん術前に画像診断で部分切除が十分安全におこなえるかしっかり検討されることが重要です。その上で、部分切除が安全におこなえると判断された場合は安心して部分切除を選択できるでしょう。

週に1時間の有酸素運動で再発リスクを下げる

週に一度の有酸素運動で再発リスクを下げる

編集部編集部

では、再発を防ぐためになにかできることはありますか?

島田先生島田先生

一口に乳がんと言っても実はいろいろな性質のものがあります。女性ホルモンを栄養に成長する乳がんか、がんの細胞表面にHER2蛋白(ハーツータンパク)という特殊なタンパク質があるか、遺伝子の異常で発生した乳がんかなどですね。それぞれの性質により効く薬や再発のリスクなども異なります。主にサブタイプなど、個々の患者様によって異なるがんの性質は術前の針生検や手術の際に採取されたがんの組織から調べることができ、この性質を基に治療の組み立てがおこなわれていきます。

編集部編集部

患者さんごとに治療方法が違うのですか?

島田先生島田先生

その通り。同じ乳がんの診断を受けても一人ひとりの乳がんの性質に合わせて薬や手術の方法を組み立ててゆくのが乳がんの治療の特徴です。一人ひとりにフィットする治療を個別に選んでおこなうというのは、他の臓器のがんより進んだ最新の個別化治療をおこなっていると言えますね。乳がんの患者様仲間で情報交換をされると、それぞれ違う治療をおこなっていると不安になる方も多いですが、むしろそれが乳がん治療の特徴です。自分の乳がんの性質に合った治療をおこなうのが、再発を防ぐために最も重要なことですね。

編集部編集部

生活面に関してはどうでしょうか?

島田先生島田先生

喫煙はがんの再発リスクを高めます。そして、肥満は女性ホルモンの上昇につながるため、再発リスクを上げる要因になります。一方、運動をする習慣があると、乳がんの発症リスクを低くするだけでなく再発のリスクも低くなると言われています。目安としては週に1回、1時間以上の有酸素運動をするといいでしょう。

編集部編集部

患者さん自身が、“再発したかも”と異変を感じることはありますか?

島田先生島田先生

骨に転移した患者さんは、持続する局所的な痛みを感じることがあります。転移した骨は、ほんの少しの衝撃にも拘らず骨折してしまうことがあり、骨折で転移が発覚することもあります。ただ、肝臓や肺などは、肝機能の低下や、呼吸苦などで気づかれることもありますが、なかなか症状が出にくい場合もあります。日常と違うサインがあった場合は主治医と相談されることをお勧めします。

異変を感じたら主治医に相談を

異変を感じたら主治医に相談を

編集部編集部

検査はどれくらいの頻度で受けるべきですか?

島田先生島田先生

術後は1年に1回程度のマンモグラフィが基本となりますが、投薬中や症状、ステージなど状況に応じて超音波検査や血液検査を組み合わせて術後5年から10年間は経過観察をおこなうことになります。また、通常と違うことが起きたときなど異変を感じた場合は、すぐ主治医に相談するようにしましょう。最近は「手術をおこなった病院の主治医」と「地域の乳腺クリニックなど乳房のかかりつけ医」といった2名の主治医体制で患者様の経過観察をおこなうことも増えていますので、気軽に相談されるとよいでしょう。

編集部編集部

よく5年再発しなければ安心などと言いますよね。

島田先生島田先生

そうですね。しかし、稀ですが5年以降も再発する方はいます。したがって5年を過ぎても決して油断せずご自身の体調に変化がないかそして定期的な経過観察はしっかり続けていくことが大切です。

編集部編集部

最後に乳がんの再発を心配している方にメッセージをお願いします。

島田先生島田先生

乳がんは早期に発見し自分のタイプに合った適切な治療を受けることが大切です。これにより再発の危険を小さくすることができるのです。「がんが再発するかもしれない」と心配になることもあると思いますが、どんなタイミングでもどんな性質のがんでも、自分に合った治療を主治医と相談しながら一つひとつ超えていくことで決して治りにくいがんではありません。おいしくバランスよく食べ、気持ちよく動き、しっかり睡眠をとること。毎日を生き生きと自信をもって過ごしてください。

編集部まとめ

乳がんだけが特別、再発率が高いということはありませんでした。重要なのは早く発見して早く治療を受けること。さらに自分のがんのタイプに合わせた、適切な治療を受けることです。生活面に気をつけたり、きちんと検査を受けたりすることも重要なようです。

 

乳首が痛い症状についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

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ピンクリボンブレストケアクリニック表参道

ピンクリボンブレストケアクリニック表参道
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診療科目 乳腺科、乳腺放射線診断科、婦人科