コロナ感染、世界で1000万人超え
米ジョンズ・ホプキンス大学によると、世界の新型コロナウイルスの累計感染者数は6月28日、1000万人を超えたとのことです。
ブラジルなど新興国で新規感染が急増しているほか、先進国では米国で感染が再拡大し始めたことが原因と考えられるでしょう。約6週間で倍増するなど拡大ペースは再加速しており予断を許さない状況です。これについて中島先生に詳しくお伺いしました。
監修医師:
中島 由美 医師
目次 -INDEX-
感染拡大が続く要因とは
新型コロナの感染が世界で1000万人超えとの報道がありましたが、これについてどのように思われますか。
中島先生
日本を含めて世界中で制限を緩め、経済活動の再開をめざす動きが広がっています。しかし、感染ペースはむしろ速まっていることに注意しなければいけません。感染者は2019年末に中国からWHOに初めて報告されてから100万人を超すまで3カ月かかりましたが、それから約1カ月半で500万人超、さらに約1カ月で900万人を超える勢いです。
新興国での感染者増加が著しく、地域別では中南米が最も多くなっています。最も深刻なブラジルはここ数日、3万~4万人の増加ペースで推移しており、インドやメキシコでも感染が急拡大、医療崩壊の懸念が高まっていますね。
なお経済再開を急ぐ先進国も再び増加傾向に転じています。もっとも感染者数が多いのがアメリカでおよそ251万人となっています。6月26日に全米の1日あたりの新規感染者数が4万4000人を超え最多記録を大きく更新していますが、これは経済再開や黒人差別への抗議デモで人の接触が増えたことが背景にあることが理由といえるでしょう。
なぜ感染者数は減らないのか?
では、なぜ世界中で感染者数は減らないのでしょうか。
中島先生
非常に難しい要因が多く一概には言えません。早い段階で対策を講じたベトナムや台湾、ハワイなどでは感染者数を抑えることに成功しましたが、経済面への影響を考えあまり大きな手を打てなかった国では、感染拡大が広がっている印象です。集団免疫を獲得しようとしたスウェーデンや大統領が率先して対策を進めなかったメキシコも感染者は増加しています。
文化的な側面からソーシャルディスタンスを保てなかった国も感染拡大した印象です。特にハグやキスの文化がある国、また普段からマスクをしない国など。ロックダウンや市民の行動制限などに効果があるのはどこの国の関係者も理解はしている一方で、経済とのバランスで苦慮しているという感じではないかと思われます。
まとめ
世界では行動制限を緩めて経済活動の再開をめざす動きが広がっていますが、それは感染ペースが緩んでいるからという理由ではないようです。経済活動を再開させた先進国は感染者が増加傾向にあり、現在も注意が必要であるのは間違いないでしょう。