新型コロナ患者の精液からウイルス検出! 性行為で感染する可能性は
中国の河南省商丘市の市立病院は、新型コロナウイルス感染症患者の精液から新型コロナウイルスを検出したと報告しました。
新型コロナウイルスは、飛沫感染と接触感染でうつることが知られていますが、今回は新型コロナウイルスが精液から検出された報告について中島先生に詳しく話を伺いました。
監修医師:
中島 由美 医師
新型コロナウイルスが精液から発見
新型コロナウイルスが患者の精液から発見されたことについて詳しく教えください。
中島先生
新型コロナウイルス患者の精液から新型コロナウイルスを発見した医療機関は、中国河南省商丘市の市立病院です。新型コロナウイルス感染症の診断を受けた男性患者38人(急性期症状のある患者15人、回復期の患者23人)のうち、6人(急性期症状のある患者4人、回復期の患者2人)の精液から新型コロナウイルスが検出されました。性交によって新型コロナウイルスが感染するかどうかは現時点ではわかっていません。
新型コロナウイルスは性感染症と言える?
精液から新型コロナウイルスが検出されたということは、性感染症の扱いになるのでしょうか。
中島先生
性感染症と判断するには、次の2つの条件を満たす必要があります。
1つ目の条件:飛沫感染ではなく、性行為によって感染したことが確定できる場合
しかしながら、新型コロナウイルスに感染しているパートナーと性交後に感染した場合でも、飛沫感染か性行為による感染かの判断が難しいでしょう。
2つ目の条件:精液から増殖能力がある新型コロナウイルスが検出される
今回の報告では、検出された新型コロナウイルスに増殖能力があるかどうか示されていません。
このように、現時点では性感染症とは判断できないため、さらなる調査が必要です。
精液からウイルスが検出された事例は他にもある?
精液からウイルスが検出された事例は他にもあるのか教えください。
中島先生
ジカウイルス感染症とエボラ出血熱で、感染者の精液からウイルスが検出されています。ジカウイルス感染症が流行している地域で過ごした人が帰国後に性交渉をした結果、相手がジカウイルス感染症を発症した報告があります。検査の結果、精液や膣分泌液にジカウイルスが含まれていたため、性行為で感染することがわかりました。
エボラ出血熱の事例では、感染から半年経過した後の性行為によって、相手にエボラウイルスがうつっています。このように、一定期間が経過してからも精液にウイルスが残留するケースがあります。
まとめ
今回の報告で、新型コロナウイルスが性行為で人にうつる可能性があることがわかりました。ただし現時点で、新型コロナウイルス感染症を性感染症とは判断することは難しいようです。しかしながら、可能性がある以上は、避妊具の使用やオーラルセックスを避けるなど、対策することが大切でしょう。