唾液で新型コロナ感染症の検査、従来の検査の問題解消に期待
新型コロナウイルスへの感染を調べるには、PCR検査が必要です。従来のPCR検査では、痰(たん)や鼻咽頭の粘膜、細胞などを採取して調べます。しかし、採取するときにくしゃみや咳などが出ることで、感染リスクが高まるという問題がありました。
そこで登場したのが唾液から新型コロナウイルスを調べるPCR検査です。今回は、唾液で調べるPCR検査について中島先生にお話を伺いました。
監修医師:
中島 由美 医師
唾液から新型コロナを調べられるPCR検査とは?
唾液から新型コロナウイルスを調べるPCR検査について教えください。
中島先生
従来のPCR検査では、綿棒で鼻咽頭の粘膜や細胞を採取する必要がありましたが、唾液から新型コロナウイルスを調べるPCR検査は、専用の容器にツバを吐いてもらうだけで済みます。これにより、綿棒を鼻に入れる不快感や痛みを懸念して、PCR検査を受けたくないという方も気軽に受けられるようになるでしょう。すでに、アメリカの一部の州では、唾液から調べるPCR検査がドライブスルー方式で導入されています。
ただし、単なる唾液では正確に検査できないとの意見や、粘膜や細胞と比べて感度が落ちる可能性も指摘されているなど、導入には十分な検討が必要です。
唾液で検査できるメリットは?
唾液で新型コロナウイルスを調べられるPCR検査のメリットを教えください。
中島先生
メリットは主に2つです。
1つ目は、飛沫感染のリスクを抑えることが可能です。
理由は、綿棒で鼻粘膜や喉の細胞や粘膜を採取時に、咳やくしゃみがでやすいため、医療者への飛沫感染のリスクが問題となります。
2つ目は、容器にツバを吐くだけで済むPCR検査なら、安全かつ速やかに普及拡大を目指せます。一方、粘膜や細胞を採取するPCR検査の拡大には、多くの人材確保や防護具の供給が必要です。
PCR検査時の医療従事者の感染リスクはゼロにできないのでしょうか?
唾液によるPCR検査では、咳やくしゃみが出ないため、医療者の感染リスクを軽減できますが、リスクをゼロにはできないのでしょうか。
中島先生
唾液によるPCR検査をドライブスルー方式で導入すれば、医療者の感染リスクはさらに下がります。また、ドライブスルー方式でなくても、専用の採取室に被験者が1人で入り唾液を採取することにより、医療従事者は検体を受け取るだけで済むため、同様の効果が期待できるでしょう。
まとめ
唾液によるPCR検査は綿棒で採取されるときの不快感がなく、医療者の感染リスクが低いため、多くの期待を集めています。一方で、検査の精度について疑問の声もあるため、導入には十分な検討が必要です。国民としては、唾液によるPCR検査の導入状況について、こまめにチェックしておきたいところでしょう。