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介護のトイレ介助の基本|手順とポイント、環境整備の方法とは

 公開日:2025/12/17
介護のトイレ介助の基本|手順とポイント、環境整備の方法とは

トイレ介助は、介護のなかでも高齢の方の尊厳や安心感に深く関わる大切なケアです。単に排泄を手伝うだけでなく、動作のサポートや清潔保持、そしてプライバシーの確保が求められます。

本記事では介護のトイレ介助の基本について以下の点を中心に紹介します。

  • 【介護】トイレ介助の基本
  • 【介護】トイレ介助のための環境整備
  • 【介護】トイレ介助の手順とポイント

介護のトイレ介助の基本について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

小田村 悠希

監修社会福祉士
小田村 悠希(社会福祉士)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

【介護】トイレ介助の基本

【介護】トイレ介助の基本

トイレ介助(排泄介助)とはどのようなことですか?

トイレ介助(排泄介助)とは、自身で排泄動作を行うことが難しい方や、排泄機能に障害がある方を支援する介護のことです。具体的には、トイレへの誘導、衣類の着脱の補助、排泄後の陰部の清拭やおむつ交換などが含まれます。

単に排泄を手伝うだけでなく、清潔を保ち、感染症を防ぐためにも重要なケアです。また、排泄は人間の尊厳に深く関わる行為であり、支援によって精神的な安定や生活の質(QOL)の維持にもつながります。

トイレ介助にはどのような方法がありますか?

トイレ介助には、利用者の身体の状態や自立度に合わせていくつかの方法があります。

まず、トイレ介助は、歩行や立位が可能な高齢の方に対して、トイレへの誘導や衣服の着脱、排泄後の清拭を支援する方法です。歩行の様子や皮膚の状態を観察できるよい機会でもあります。
次にポータブルトイレ介助は、トイレまでの移動が難しい場合に寝室などで使用する携帯型トイレを活用する方法で、夜間の転倒防止にも役立ちます。

また、おむつ介助は、排泄の自立が難しい方に対して行うもので、皮膚トラブル防止のため清潔と保湿が重要です。
さらに、尿器や便器を用いた介助は、自力で起き上がれない方に推奨されており、ベッド上でも排泄できる方法です。

いずれの方法でも、清潔保持とプライバシーの確保が欠かせません。

【介護】トイレ介助のための環境整備

【介護】トイレ介助のための環境整備

トイレまでの経路や環境はどのように整えればよいですか?

トイレ介助を行う際は、まずトイレまでの経路と環境を整えることが重要です。
まず、居室からトイレまでの通路に障害物や段差がないかを確認し、つまずきや転倒を防ぎましょう。段差にはスロープを設置し、廊下のカーペットやマットはつまずいて転倒するリスクがあるため撤去しておくのがおすすめです。

夜間の移動に備え、足元を照らす照明や人感センサー付きライトを設置するとより便利です。また、廊下には歩行を補助するための手すりを設置します。
トイレのドアは開閉しやすい引き戸が望ましく、ドアノブはレバーハンドルタイプが操作しやすいです。

このような工夫が、高齢の方の自立支援と介助者の負担軽減につながります。

トイレ内の環境はどのように整えればよいですか?

トイレ内の環境を整える際は、高齢の方が安心して使用でき、介助者も動きやすい構造であることが大切です。

まず、立ち座りの負担を減らすために洋式便座を導入しましょう。和式便器の場合は、簡易的に洋式へ変換できるカバータイプを使用するのもおすすめです。
冬場は暖房便座や断熱マットを取り入れることで、寒暖差による体調不良を防げます。

次に、便器の左右や壁に手すりを設置し、立ち上がりや姿勢保持をしやすいようにしましょう。特に片麻痺がある方には、健常側に手すりを設けると動作がしやすくなります。

また、介助を行う際に十分なスペースを確保し、車椅子を使用している場合は、介助者が横からサポートできる広さが必要です。
さらに、照明や床材も滑りにくく明るいものを選び、快適で安心できる空間づくりを心がけましょう。

【介護】トイレ介助の手順とポイント

【介護】トイレ介助の手順とポイント

トイレまで歩くことができる方のトイレ介助の手順を教えてください

トイレまで歩ける高齢の方を介助する際は、安全性と尊厳を大切にしながら進めましょう。

まず、移動時は本人の歩く速度に合わせ、ふらつきがある場合は腕につかまってもらうか、手すりや歩行器を活用します。トイレに着いたら、手すりを持って便器の前に立ってもらい、姿勢を安定させてからズボンや下着を下ろします。

介助者は正面から脇を支え、ゆっくりと腰を下ろすように促しましょう。排泄中はプライバシーの確保のため、声が届く程度に距離を取り、落ち着いた環境を整えます。排泄後は、必要に応じて清拭を手伝い、女性の場合は前から後ろに向けて拭くことで尿路感染を防ぎます。

その後、下着と衣服を整え、立ち上がる際も転倒しないように支援します。最後に自室まで付き添いながら体調や疲労の様子を観察し、日常生活を送れるよう声をかけることも大切です。

車椅子の方のトイレ介助の手順を教えてください

車椅子を利用する高齢の方のトイレ介助では、安全性とプライバシーを確保しながら、本人の力をできるだけ活かすことが大切です。

まず、車椅子を便器に対して直角に止め、ブレーキをかけます。フットサポートを上げ、足が床につく状態を確認しましょう。衣服の準備を整えたら、麻痺の状態などやふらつきの程度に応じて移乗を行います。

立ち上がりができる場合は、手すりを握ってもらい、ゆっくりと身体の向きを変えながら便座に座るようサポートします。立ち上がりが難しい場合は、介助者が両脇を支え、密着姿勢で体重移動しながら座位へ導きます。

排泄中は姿勢が安定しているか確認し、必要に応じてそっと支えながら静かに見守ります。排泄後は、本人の同意をえて陰部の清拭を行い、衣服を整えてから便器から車椅子へ移乗します。最後に、フットサポートの位置や体勢を確認しましょう。

立ち上がりや移動をサポートするときのポイントを教えてください

立ち上がりや移動をサポートする際は、介助者は常に支えられる位置に立ち、ふらつきが起きてもすぐに反応できるよう準備しておくことが大切です。

特に立ち座りや移乗の動作では、腰や膝に負担がかかるため、介助者も無理な姿勢をとらず、身体を密着させすぎない距離で支えましょう。

また、立ち上がりを促す際には、いきなり動かすのではなく「今から立ちますね」と声をかけ、本人が体勢を整える時間を設けることで安心感を与えられます。手すりや歩行器などの福祉用具も積極的に活用し、介助に頼りすぎない“自立を支えるサポート”を意識しましょう。

さらに、移動中の環境にも注意が必要です。足元の滑りやすいマットや段差を取り除き、動線を広く確保しておくことで、転倒や接触事故を防げます。

転倒を防ぐためのポイントはありますか?

転倒を防ぐためには、スムーズな動線づくりが大切です。
まず、寝室をトイレに近い場所にすることで移動距離を短くしたり、途中にラグやコードなどの障害物を置かないようにしたりするとよいでしょう。先に述べたように、夜間は足元を照らす人感センサー付きライトの設置がおすすめです。

さらに、手すりや安定した家具を動線上に配置して、つかまりながら移動できるように整えると、歩行の安定につながります。トイレ内では段差を解消し、状況に応じて滑りにくいマットを使用するほか、寒暖差によるヒートショックを防ぐために暖房器具を設置するなどの温度管理も重要です。

また、トイレのドアや便座のふたはあらかじめ開けておくなど、余分な動作を減らすことも転倒予防になります。

トイレ介助の際の注意点や配慮すべきことを教えてください

排泄は、人間の尊厳に関わる行為であり、介助を受けることに”恥ずかしい、申し訳ない”と感じる方も少なくありません。そのため、思いやりのある声かけや態度で、細やかな気遣いを心がけましょう。

さらに、プライバシーの確保も忘れてはいけません。ドアを閉める、視線を外す、下腹部にタオルをかけるなど、羞恥心を和らげる工夫をしましょう。排泄を急かさず、穏やかな声かけが、信頼関係を築くポイントです。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで介護のトイレ介助の基本についてお伝えしてきました。
介護のトイレ介助の基本について、要点をまとめると以下のとおりです

  • トイレ介助(排泄介助)とは、自身で排泄動作を行うことが難しい方や、排泄機能に障害がある方を支援する介護のこと
  • トイレ内の環境を整える際は、高齢の方が安心して使用でき、介助者も動きやすい構造にする
  • トイレ介助時の転倒を防ぐためには、トイレまでの動線づくりを意識し、手すりや安定した家具を動線上に配置し、トイレ内では段差を解消し、滑りにくいマットを使用するほか、寒暖差によるヒートショックを防ぐために温度管理が大切

トイレ介助(排泄介助)は、高齢の方が安心して排泄できるよう支援する大切なケアです。安全性の高い動線づくりやトイレ環境の整備、手すりや照明の工夫により転倒を防ぎましょう。また、介助時は、本人の自立を尊重しながら、声かけで安心感を与えることが重要です。

本記事が少しでも介護のトイレ介助の基本について知りたい方のお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修社会福祉士