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“認知症になりやすくなる”生活習慣は? 予防法について専門家が解説

 更新日:2024/02/19
認知症のリスクとなる生活習慣は?

高齢化が進み、認知症になる方の割合も増えてきました。認知症になると生活の中でさまざまな困難が生じてしまうので、若いうちにできる限りの予防策を講じておくことが重要です。そして、認知症の発症には生活習慣も大きく関わっていることをご存知ですか? 今回は認知症のリスクとなる生活習慣や予防法などについて、介護福祉士の尾崎さんに聞きました。

尾﨑 佳奈

監修介護福祉士
尾﨑 佳奈(介護福祉士)

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福祉系の4年制大学卒業、社会福祉士と介護福祉士の資格を保有。中途の聴覚障害がありコミュニケーションに困難があるものの、大学卒業後は障害者支援施設で2年半生活支援員として勤務。その後地域密着型特別養護老人ホームで介護福祉士として5年半勤務。現在は子育てをしながら、主に福祉系のwebライターとして活動中。

認知症とは? 症状・好発年齢・原因について

認知症とは? 症状・好発年齢・原因について

編集部編集部

認知症とはどのような病気ですか?

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

認知症とは、脳梗塞などの脳の病気や、記憶力などの認知機能の低下などによって日常生活にさまざまな困難が出ている状態のことをいいます。認知症は病気というイメージを持っている方がほとんどだと思いますが、認知症は病気ではなく症状のことを指します。発症してしまうと完治させることは難しく、進行を緩やかにすることがメインとなります。

編集部編集部

認知症の具体的な症状を教えてください。

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

認知症の基となる「中核症状」には、記憶障害、時間や曜日が分からなくなる見当識障害、計画を立てて物事を進めることができなくなる実行機能障害、理解・判断力の障害、失語、失認、服の着方や箸の使い方が分からなくなる失行などの症状があります。中核症状に加えて、「BPSD(行動・心理症状)」として心理面・行動面の症状が出ます。BPSDには抑うつやもの盗られ妄想、暴力や介護拒否などの症状や行動が見られます。BPSDはその人の性格や精神面の影響が関係するため、一人ひとり現れる症状が違うことが特徴です。

編集部編集部

認知症を発症しやすい年齢・年代を教えてください。

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

男女全体での有病率は、60代後半で約3%弱、70代後半で13.6%、80代前半で21.8%、80代後半で41.4%と、年齢が高くなるにつれどんどんリスクが上昇していくことが分かっています。また、一見70代以降から認知症を発症するように見えますが、65歳未満でも若年性認知症を発症する可能性があります。

参考:首相官邸ホームページ、認知症年齢別有病率の推移等について

編集部編集部

認知症を発症する原因はなんでしょうか?

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

主な原因としては、肥満などの生活習慣病、難聴、ストレス、遺伝などが関係していると言われています。例えば、乱れた食生活により生活習慣病になると、血流が悪くなって脳梗塞などを発症し、血管性認知症になるリスクがあります。また、難聴になると周囲の人との会話が減り、認知機能が衰えてしまう可能性があると考えられています。ほかには、ストレスにより血流が悪化すると脳が委縮する原因にもなりかねません。遺伝についても関連性が指摘されており、認知症を発症した家族がいる場合はご自身も発症する可能性がありますが、生活習慣の乱れなどと比べて認知症発症率は低いとされています。

認知症のリスクを高める生活習慣は?

認知症のリスクを高める生活習慣は?

編集部編集部

認知症になりやすくなる具体的な生活習慣にはどのようなものがありますか?

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

まず挙げられるのは、過剰な飲酒・乱れた食生活・喫煙です。これらは脳の萎縮や血流の低下、血管の詰まりに関わる要素で、乱れた生活習慣や喫煙を続けると認知症を発症しやすくなります。ほかには運動不足も関係しています。運動不足になると、肥満や糖尿病などの生活習慣病を発症する可能性があります。生活習慣病は認知症の発症原因となりますので、運動不足である人は認知症を発症するリスクが高くなってしまいます。

編集部編集部

生活習慣を見直せば認知症になるリスクを減らすことができますか?

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

生活習慣の見直しは認知症発症リスクを減らす手助けにはなります。そのほかには、サークル活動や趣味の活動・友人とのお茶会などで人との交流を持つこともリスク軽減につながります。またむし歯などを作らないよう口腔ケアに気を付けることも効果があります。

編集部編集部

口腔ケアに気を付けることがなぜリスクを減らすことにつながるのですか?

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

歯が不健康であると栄養価の高いものが摂取しづらくなります。低栄養状態になると脳のエネルギーが不足した状態になり、認知機能が低下してしまうので認知症を発症しやすくなってしまうのです。そのため、歯の健康を保ち、栄養バランスの良い食事をしっかりと摂取することが大切になります。

編集部編集部

人との交流を持つことと認知症にはどんな関係がありますか?

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

人との会話や趣味を楽しむことで、脳を刺激して機能を活性化させることができます。また社会とのつながりを持っていることで孤独感の軽減やうつの予防につなげることができます。活動や集まりの場に行き来することで運動不足の解消にもなり、生活習慣病の予防につなげることもできるのです。

認知症のリスクを低減する! 介護福祉士がおすすめする認知症予防方法

認知症のリスクを低減する! 介護福祉士がおすすめする認知症予防方法

編集部編集部

認知症予防対策について教えてください。

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

毎日の生活の中で好きなことを楽しんでみることが効果的です。楽しいという気持ちを持つことで認知症の発症リスクを下げることができます。

編集部編集部

好きなことを楽しむことにはどんな効果がありますか?

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

興味のないことや好きではないことをしても、楽しむどころかストレスになり、認知症の発症を促してしまう可能性もあります。また好きなことをすることは心の健康につながり、うつや不安感などの心理的な症状を発症しにくくなります。興味のあることに取り組むことで脳に刺激を与えることができ、脳の機能維持と認知症の発症リスクを下げることにつながります。

編集部編集部

ほかにはどんな方法がありますか?

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

人との交流が多い方は認知症を発症していても進行が緩やかになる可能性があるでしょう。人と関わることは脳によい刺激を与えることができます。また楽しいと感じ、明るい気持ちになることで心理面によい効果を与えることができます。サークル活動に参加してみたり、友人とお茶をしたりなどの交流を持つことも大事な予防法です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

尾﨑 佳奈さん尾﨑さん

認知症の発症には普段の生活習慣が大きく関わっています。高齢者になってから気を付ければよいという考えは危険で、若い時からの積み重ねが発症リスクを下げる重要な要素になるのです。生活習慣を正すことは認知症以外の病気の発症リスクも下げることができ、後の健康に大きく影響してきます。認知症発症のリスクを少しでも減らすためにも、できることから少しずつ始めてみください。

編集部まとめ

認知症発症の要因には、生活習慣病や喫煙・飲酒・ストレスなどさまざまな要因があることが分かっています。毎日の生活の中でできることとして、食事改善や運動不足改善などに取り組めば発症リスクを下げることが可能です。健康的に老後の生活を送ることができるよう、一度自身の生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか?

この記事の監修介護福祉士