要介護認定は何歳から?認定の条件や例外、介護保険で受けられるサービスを解説

介護保険制度における要介護認定は、介護が必要な方が適切なサービスを受けるための制度です。要介護認定は年齢によって認定の要件が異なります。本記事では、要介護認定の年齢要件や認定基準、申請手続き、受けられるサービスを解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
要介護認定の仕組みと年齢区分の原則

要介護認定では65歳以上の方と40歳以上65歳未満の方では認定を受けられる要件が異なります。まずは要介護認定の概要や年齢の原則を確認しておきましょう。
要介護認定とは
介護保険制度における要介護認定とは介護保険法に基づき、要介護状態または要支援状態にあるかどうかを認定する制度です。
要介護状態とは、身体または精神上の障害により生活機能が低下して日常生活において常時または断続的に支援が必要な状態のことを指します。要支援状態とは、生活機能が低下し、将来的に介護が必要になる可能性がある状態です。
要介護認定では、身体機能や認知機能の状態を総合的に評価します。要介護や要支援の状態にあると認定されると、介護保険サービスによってさまざまなサポートやケアが受けられるようになります。
要介護認定を受けられる年齢の原則
要介護認定を受けられる年齢には、介護保険制度上の区分があります。
- 第1号被保険者:65歳以上の方
- 第2号被保険者:40歳以上65歳未満の医療保険加入者
第1号被保険者は65歳以上であれば要介護認定の対象ですが、第2号被保険者は特定疾病が原因で介護が必要になった場合のみ対象です。
65歳未満で要介護認定の対象になる特定疾病
40歳以上65歳未満の方が要介護認定を受けるには、以下の特定疾病が原因である必要があります。
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
これらの特定疾病は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病として介護保険法施行令 第2条に定められています。加齢による身体機能の低下ではなく、医学的に明確な疾病が原因である場合にのみ、要介護認定の対象となります。
要介護認定の基準と区分

要介護認定では身体機能や認知機能などの複数の項目を評価し、介護の必要度に応じて区分が決定されます。認定区分によって利用できるサービスの種類や支給限度額が変わるため、基準と区分の内容を把握しておきましょう。
要介護認定の基準
要介護認定の際は、介護の必要性を客観的に判定するため、複数の項目を評価します。
- 身体機能・起居動作
- 生活機能
- 認知機能
- 精神・行動障害
- 社会生活への適応
- 特別な医療
これらの評価項目については、現在の状況と回復の見込みを総合的に判断します。認定調査では74項目の基本調査と特記事項の記録が行われ、主治医意見書とあわせて審査されます。
要介護認定の区分
要介護認定には、介護の必要度に応じて8つの区分があります。
- 非該当(自立)
- 要支援1
- 要支援2
- 要介護1
- 要介護2
- 要介護3
- 要介護4
- 要介護5
要支援1・2は介護予防サービスの対象となり、要介護1~5は介護サービスの対象です。数字が大きくなるほど介護の必要度が高く、利用できるサービスの種類や支給限度額も増加します。多くの介護施設への入所には原則として要介護認定が必要です。
要介護認定を受けるために必要な手続き

要介護認定を受けるには、市区町村への申請から認定までの一連の手続きが必要です。申請書の提出、認定調査、主治医意見書の作成、審査会による判定という流れで進められます。手続きの各段階について理解しておくと、スムーズに認定を受けることができます。
要介護認定・要支援認定申請書の提出
要介護認定の申請は、住所地の市区町村の窓口で行います。申請に必要な書類と手続きは以下のとおりです。
- 要介護認定・要支援認定申請書
- 介護保険被保険者証
- 医療保険被保険者証(第2号被保険者のみ)
- 主治医の診断書(必要に応じて)
要介護認定は、本人または家族が申請できます。手続きが難しい場合には、居宅介護支援事業者や地域包括支援センターによる代行申請も可能です。申請手数料は無料で、申請から認定結果の通知まで原則として30日以内に完了します。
認定調査
申請後、市区町村の職員または委託を受けた居宅介護支援事業者の介護支援専門員が認定調査を実施します。
- 基本調査(74項目)
- 特記事項の記録
- 日常生活の状況確認
- 介護の状況確認
認定調査は自宅や入院先などで実施され、調査時間は約1時間です。調査員は申請者の身体機能や認知機能、日常生活の自立度について客観的に評価し、介護者からの聞き取りも行います。
自治体による主治医意見書の取得
市区町村の自治体は、申請者の主治医に対して主治医意見書の作成を依頼します。主治医意見書には以下の内容が記載されます。
- 疾病の状況
- 身体機能の状況
- 認知機能の状況
- 精神・行動障害の状況
- 医学的管理の必要性
- そのほか(感染症の有無、特別な医療の実施など)
主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師による診察と意見書作成が行われます。主治医意見書は医学的な観点から申請者の状態を評価する重要な資料です。
コンピュータによる一次判定
認定調査の結果と主治医意見書の一部項目をコンピュータで処理し、要介護認定等基準時間を算出します。
- 直接生活介助
- 間接生活介助
- 問題行動関連行為
- 機能訓練関連行為
- 医療関連行為
一次判定では、これら5つの分野における介護に要する時間を推計し、要介護認定等基準時間の合計によって要介護状態区分の目安を決定します。この結果は二次判定の基礎資料として使用されます。
介護認定審査会による要介護認定の要否・区分の最終判定
介護認定審査会では、保健・医療・福祉の専門家が一次判定結果を総合的に審査します。
- 保健師
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- 看護師
- 理学療法士・作業療法士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 介護支援専門員
審査会では一次判定結果、認定調査票、主治医意見書を総合的に検討し、介護の手間や状態の安定性を考慮して最終的な要介護状態区分を決定します。
要介護認定により受けられる介護保険サービス

要介護認定を受けると訪問サービスや通所サービス、短期入所サービス、施設サービスなどさまざまな介護保険サービスを利用できるようになります。利用者の状態や希望に応じてサービスを組み合わせることで、在宅での生活継続や家族の介護負担軽減が可能です。
介護サービスに関する相談
要介護認定を受けた後は、さまざまな相談窓口で介護サービスに関する相談ができます。代表的な相談窓口は下記のとおりです。
- 地域包括支援センター
- 居宅介護支援事業所
- 市区町村の介護保険担当窓口
- 社会福祉協議会
これらの相談窓口では、要介護認定を受けたご本人(介護保険サービスを受ける方)や、そのご家族の状態や希望に応じて、適切なサービスの種類や事業者の選び方について助言を受けられます。
ケアプランの作成
ケアプラン(居宅サービス計画)とは、介護保険サービスを利用する際に必ず作成が必要になる個人別のサービス利用計画書です。要介護認定を受けた方が、住みなれた地域や自宅で可能な限り自立した日常生活を送れるように、心身の状態や生活環境やご本人の意向を総合的に踏まえて、どのようなサービスを、どれくらいの頻度で、どのように利用するかを具体的に示した設計図です。
ケアプランには、主に以下の内容が盛り込まれます。
- 要介護認定を受けた方の生活上の課題
- 生活に関する意向や希望
- 総合的な援助の方針とサービスの目標
ケアプランに基づきサービスを利用することで、要介護認定を受けた方が、能力を最大限に活かした生活を送ることが可能となります。
訪問介護・看護、日常生活支援
訪問介護・看護、日常生活支援は、在宅で生活する要介護者に対して、ヘルパーや看護師などが居宅を訪問して直接サービスを提供することです。
- 訪問介護(ホームヘルプサービス)
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
訪問介護では身体介護と生活援助が提供され、利用者が住みなれた自宅で安心して生活できるよう支援します。訪問看護では医療的なケアや健康管理が行われます。
通所介護・リハビリ
要介護者が事業所に通所してサービスを受ける形態です。
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
通所介護では入浴・食事・機能訓練などのサービスが提供されます。通所介護は、利用者の社会参加や家族の介護負担軽減にも寄与します。通所リハビリテーションでは、医師の指示に基づく機能訓練を実施します。
短期間の宿泊サービス
要介護と判定された方が、短期間施設に宿泊するサービスを受けることができます。
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
ショートステイは家族の介護負担軽減や緊急時の利用に対応するサービスです。連続して30日まで利用可能で、入浴・食事・機能訓練などの日常生活支援が提供されます。
介護医療院やグループホームなどの施設への入所
常時介護が必要な要介護者のために、以下の入所施設サービスがあります。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)
施設サービスでは24時間体制の介護が提供され、医療的ケアや看取りケアにも対応しています。入所には要介護度による制限や待機期間がある場合があります。
要介護認定に関する主な相談窓口

要介護認定の手続きの方法や流れ、サービス利用開始後にどうなるのかといった不安や疑問を解消するために、さまざまな窓口が設けられています。
自治体の介護保険担当窓口
市区町村の介護保険担当課では、要介護認定に関する各種手続きや相談に対応しています。
- 要介護認定の申請受付
- 認定結果の通知
- 介護保険制度の概要案内
- 介護保険料に関する相談
- サービス事業者の紹介
介護保険担当窓口は制度の根拠となる行政機関として、正確で公的な情報を提供します。申請手続きでわからないことがあれば、まず市区町村の窓口に相談することをおすすめします。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢の方の総合相談窓口として重要な役割を担っています。
- 介護に関する総合相談
- 要介護認定の申請代行
- 介護予防ケアマネジメント
- 権利擁護業務
- 包括的・継続的ケアマネジメント
地域包括支援センターには保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員が配置され、専門的な相談に対応できます。要支援1・2の方のケアプラン作成も担当しています。
福祉事務所・社会福祉協議会
福祉事務所と社会福祉協議会では、介護保険以外の福祉サービスも含めた総合的な相談に対応しています。
- 生活困窮者への支援相談
- 成年後見制度の利用支援
- ボランティアサービスの紹介
- 福祉用具の貸出
- 生活福祉資金の貸付
これらの機関では経済的支援や権利擁護に関する相談も可能で、介護保険サービスと組み合わせた包括的な支援を受けることができます。
まとめ

要介護認定は65歳以上の方は原則として年齢要件のみで申請可能ですが、40歳以上65歳未満の方は特定疾病が原因である場合に限り対象です。認定を受けるためには市区町村への申請が必要で、認定調査と主治医意見書に基づいて要介護状態区分が決定されます。認定後は訪問サービス、通所サービス、短期入所サービス、施設サービスなど、利用者の状態に応じた多様な介護保険サービスを利用できます。要介護認定を受けるかどうか検討している方、手続きを進めたい方は自治体の窓口に相談してみるとよいでしょう。




