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要介護4の自宅介護は無理?大変な理由や介護者の負担を軽減する方法

 公開日:2025/12/13
要介護4の自宅介護は無理?大変な理由や介護者の負担を軽減する方法

高齢化社会の進展により、要介護4と認定を受けた方の介護について多くのご家族が不安を抱えています。要介護4と認定された方を自宅で介護する負担感は高いですが、適切な支援体制を利用することで対応は可能です。ここでは要介護4と認定された方を例に支援制度を解説します。

小田村 悠希

監修医師
小田村 悠希(医師)

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・資格:社会福祉士、研修認定精神保健福祉士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。

要介護4の状態

要介護4の状態

要介護4とはどのような状態ですか?

要介護4は、介護保険制度における介護必要度が高い状態で、日常生活のほぼすべての場面で介護が必要となります。具体的には、立ち上がりや歩行が困難で、排泄や入浴、食事などの基本的な生活動作において全面的な介助を要します。

医学的な観点では、要介護4の方は複数の慢性疾患を抱えていることが多く、そのなかでも心疾患、脳血管疾患、認知症が多くを占めています。嚥下機能の低下により誤嚥性肺炎のリスクも高く、このほかにも低栄養や褥瘡、感染症などのリスクも高いです。そのため、定期的な医学的管理が必要です。

要介護4が認定される基準を教えてください

要介護4の認定基準は、要介護認定等基準時間が90分以上110分未満です。要介護認定等基準時間とは、要介護認定の際に、その人が必要とする介護の手間を時間に換算して示した指標です。認定調査では74項目にわたる詳細な調査が行われ、主治医意見書の内容も総合的に判断されます。特に移動能力、認知機能、コミュニケーション能力の程度が重要視されます。

参照:『要介護認定はどのように行われるか』(厚生労働省)

要介護4に認定されるのは具体的にどのようなケースですか?

要介護4の代表的な例として、以下のような状態が考えられます。

  • 重度認知症
  • 脳血管疾患後遺症
  • 廃用症候群

重度認知症では、アルツハイマー型認知症や血管性認知症などが進行し、時間や場所の見当識が失われ、家族など人物認識も困難になります。脳血管疾患後遺症では、脳梗塞や脳出血により、片麻痺・嚥下障害などの身体障害や屋内の生活が困難となる高次脳機能障害が残存します。廃用症候群では、長期臥床により筋力低下、関節拘縮、認知機能低下が進行します。

要介護4の自宅介護は無理?

要介護4の自宅介護は無理?

要介護4の自宅介護が難しい理由を教えてください

要介護4の自宅介護が困難な理由は、24時間体制での見守りとケアの必要性が高いことです。医学的な観点では誤嚥や転倒、褥瘡や感染症などの重篤な症状悪化のリスクが高いです。

  • 夜間ケアの負担
  • 身体的負担
  • 精神的ストレス

夜間ケアでは、夜間の排泄介助、徘徊対応、急変時の対応が家族の睡眠を著しく妨げます。身体的負担では、体位変換、移乗介助などで介護者の腰痛などの筋骨格の症状が悪化します。精神的ストレスでは、改善の見通しがないため、長時間の介護によりうつ状態・燃え尽き症候群のリスクが高まります。

多くの方が無理と感じるのはどのようなケアや状況ですか?

介護者である家族が困難と感じるケアはさまざまであります。例えば以下のとおりです。

  • 排泄介助
  • 入浴介助
  • 食事介助と嚥下ケア
  • 認知症による問題行動
  • 医療的ケア

排泄介助では、オムツ交換、陰部洗浄、便失禁の処理など、尊厳への配慮と衛生管理の両立が求められます。入浴介助では、滑りやすい環境での安全確保と、重い身体の支持が必要です。食事介助と嚥下ケアでは、誤嚥リスクの評価と適切な食形態の判断が求められます。認知症による問題行動では、徘徊、暴言、介護拒否への対応が必要です。医療的ケアでは、胃ろうや尿道バルーンなどの管理が必要です。要介護4と認定された患者さんでは上記ケアが重複するため介護者が負担感を感じることが多いです。

要介護4で施設に入居していない方の割合を教えてください

公益財団法人 生命保険文化センターの統計によると、要介護4の認定者のうち41.5%が在宅で介護を受けています。在宅で介護を継続されている場合でも、訪問介護、訪問看護、デイサービス、ショートステイなどの複数のサービスを組み合わせて利用されていることがほとんどです。

参照:『2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査』(公益財団法人生命保険文化センター)

要介護4の自宅介護が限界に近づいているサインはありますか?

以下のサインがみられた場合は、介護方法の見直しが推奨されます。

  • 介護者の健康悪化
  • 被介護者の状態悪化
  • 社会的孤立の進行
  • 経済的困窮
  • 緊急時対応の困難

上記のうち介護者の健康悪化には不眠・食欲不振・体重減少など抑うつ状態、高血圧など身体症状の悪化があげられます。これに加えて緊急時の往診や救急搬送などの医療的な対応が困難となる事も重要な要素です。

要介護4の自宅介護の負担を軽減する方法

要介護4の自宅介護の負担を軽減する方法

要介護4の自宅介護が無理と感じたときに使える支援制度を教えてください

要介護4の方が利用できる主な支援制度は以下のとおりです。

  • 介護保険サービス
  • 医療サービス
  • 福祉用具貸与、購入
  • 住宅改修費支給

介護保険サービスでは、要介護4の支給限度額は30,938単位(1単位10円とした場合 309,380円、1割負担の場合30,938円)の範囲で、訪問介護、訪問看護、デイサービス、ショートステイなど組み合わせ利用が可能です。医療サービスでは、医師による訪問診療と往診により医学的管理と症状悪化時の対応(往診)が可能です。また、歯科医師による口腔ケアと嚥下機能評価などの訪問診療の対応も可能です。福祉用具貸与・購入では、電動ベッドや車いす、歩行器などの利用ができます。住宅改修費支給では、手すり設置や段差解消、滑り止め設置などの改装や工事に対して上限20万円の支給が受けられます。
上記に加えて、市町村独自の支援制度や家族介護者への支援金制度もあります。お住まいの地域の地域包括支援センターでの相談をおすすめします。

参照:
『介護事業所・生活関連情報検索 サービスにかかる利用料』(厚生労働省)
『介護保険における住宅改修』(厚生労働省)

要介護4の方は介護施設や介護医療院に入所できますか?

要介護4の方は介護入所施設への入所が可能です。利用できる主な施設は以下のとおりです。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 介護付有料老人ホーム

特別養護老人ホームでは、要介護3以上が入所対象で、医学的管理と生活支援を提供します。介護老人保健施設では、医学的管理下でのリハビリテーションと生活支援を提供します。介護医療院では、長期療養が必要な方への医療・介護の一体的提供を行います。介護付有料老人ホームでは、手厚い介護体制での生活支援を提供します。

要介護4で介護施設や介護医療院に入所するための手続き方法を教えてください

要介護4の認定を受けている場合、まずはケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーに相談しながら、ご本人の状態に合った施設(特別養護老人ホームや介護医療院など)を選び定必要書類を提出して施設側の入所判定と面談を受け、承認されれば契約、入所となります。

  • 情報収集と施設選び
  • 資料請求
  • 見学
  • 入所申込み
  • 入所希望施設からの承認
  • 契約、入所

入所が決定したら、契約書の内容(利用料金、サービス内容、退去の条件など)を十分に確認し、契約を結びます。特に費用については、介護保険負担限度額認定証を利用するなど、負担軽減制度の活用も忘れずに検討しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

 要介護4の方の在宅介護は困難を伴いますが、医療・介護の専門職と連携し、適切な制度を利用すれば不可能ではありません。この中でも介護者の健康管理は重要であり、介護者が体調を崩すと自宅での介護継続も難しくなります。また、在宅介護が難しくなることも想定して、施設入所を含めた幅広い選択肢を考えておくことが大切です。地域包括支援センターやケアマネジャー、主治医と連携して在宅サービスや施設サービスも含めたさまざまな選択肢を検討してください。

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