介護と看護の違いをわかりやすく解説！役割やサービス内容の違いとは

介護と看護は、どちらも人々の生活を支える大切な仕事ですが、目的には大きな違いがあります。 介護は、高齢の方や障害のある方が日常生活を自立して送れるような支援が中心で、食事や入浴、排せつなどのサポートを通して生活の質を高めることが目的です。

一方、看護は病気やけがの治療や健康管理を通じて、患者さんの回復や体調維持を支えることが目的となります。看護師は医療行為や健康観察を行い、主治医と連携しながら適切なケアを提供します。

このように、介護が生活支援を軸とするのに対し、看護は医療的ケアを中心に据えており、それぞれの役割が連携し、利用者や患者さんの生活を総合的に支えています。

介護サービスと看護サービスは、目的や提供される内容、対象者が異なるため、それぞれの特徴を理解することが大切です。看護サービスは、医師の指示に基づいて行う医療的ケアが中心で、体温や血圧の測定、点滴や導尿、褥瘡（じょくそう）の処置など、健康状態の管理を目的としています。

一方、介護サービスは、日常生活の支援が主な内容で、食事の準備や掃除、洗濯、買い物の代行など、生活を維持するためのサポートを行います。また、看護サービスは病気や医療管理が必要な方が対象で、介護サービスは要支援や要介護の認定を受けた方が利用するサービスです。

医療行為は、医師法により主治医や看護師などの医療従事者に限られる行為なため、原則として、介護職員は医療行為を行うことができません。しかし、介護現場では、医療的ケアが必要な利用者が増加しており、介護職員が一定の条件のもとで医療行為を補助的に行うことが認められています。

具体的には、介護福祉士が喀痰（かくたん）吸引の研修を修了し、認定特定行為業務従事者として認定を受けた場合、主治医の指示や看護師との連携のもとで、喀痰吸引や経管栄養などの医療行為を行えます。この研修は、50時間の講義と実地演習を含むもので、専門的な知識と技術が求められます。

また、体温測定や血圧測定、軽微な傷の処置、薬の服薬介助など、医療行為に該当しない範囲のケアは、介護職員でも行うことができます。これらの行為は、主治医や看護師の指導のもとで実施されることが望ましいとされています。

介護と看護は、どちらの方々も生活を支える重要な役割ですが、資格や専門性には明確な違いがあります。

まず、介護職には介護職員初任者研修や実務者研修、そして介護福祉士の資格があります。これらは国家資格も含まれますが、取得までの道のりは短期間で、無資格からでもスタートしやすい特徴があります。介護福祉士は、介護現場での実務経験を積んだ後に受験資格を得ることができます。

一方、看護職は看護師や准看護師の医療分野の資格を持つ専門職です。看護師になるためには、指定された大学や専門学校を卒業し、国家試験に合格する必要があります。准看護師の場合は、都道府県知事が発行する免許が必要です。看護師は医療行為を行うことができ、患者さんの健康回復や療養生活の支援を担います。

在宅介護における介護と看護の連携は、利用者の生活の質を高め、医療と生活支援のギャップを埋めるために欠かせません。介護職と看護師は、それぞれの専門性を活かし、情報共有やコミュニケーションを密にし、効果的なケアが期待できます。

具体的には、定期的なカンファレンスや訪問時の情報交換を通じて、利用者の健康状態や生活状況を把握し、必要な支援を調整します。看護師は医療的な観点から、介護職は日常生活の支援からの視点で意見を出し合い、共通の目標に向かって協力します。

施設介護で、介護職と看護師は専門性の異なる役割を担いながら、利用者の健康と生活を支えるために緊密に連携しています。

介護士は、食事や入浴、排泄などの日常生活を支える身体介助や生活援助を中心に担当し、利用者のいつもと違う様子や心身の小さな変化に気付く欠かせない役割を担っています。日々の観察に基づく記録は、看護師が医療的な判断を下すための大切な情報源となります。

一方、看護師はバイタルサインの測定、薬の管理、褥瘡（床ずれ）ケアや経管栄養の医療的ケアを担い、主治医の指示に基づいて処置を行います。介護士からの情報をもとに体調の異変に気付き、必要に応じて迅速な対応や医療機関への連携を進める役割も果たしています。

介護と看護がしっかり連携することで、得られるメリットは、 多角的な視点で問題に対応できる点が挙げられます。介護士と看護師をはじめ、各専門職が自身の観点から状況を把握し、分析することで、個々のニーズに合わせたケアや治療が可能とされています。

さらに、 ケアやサービスの質が向上し、一貫性のある支援が提供されやすくなります。専門性が分かれている職種が協働し、医療と生活支援の異なる分野をつなぎ、より総合的な対応が実現につながります。

介護サービスの費用は、主に自己負担割合と支給限度額によって決まります。

まず、介護保険を利用すると、費用の1～3割を利用者が負担します。負担割合は前年の所得や世帯構成に応じて決まり、ほとんどの方は1割負担ですが、所得が一定以上ある場合は2割または3割になる場合があります。

次に、支給限度額といって、要介護度に応じて地域やサービスごとに利用できる費用の上限が定められており、その範囲内であれば介護保険が適用されます。限度額を超えると、超過分は自己負担になります。

さらに、自己負担額が高額になった場合には、高額介護サービス費制度を通じて、超過分の支払いが払い戻される軽減措置もあります。

訪問看護などの看護サービスは、公的医療保険と介護保険に適用されます。この適用関係は利用者の年齢や健康状態、介護認定の有無などによって決まり、それぞれに特徴があります。

まず、公的介護保険は、65歳以上か、40〜65歳未満で特定疾患に該当し要支援や要介護認定を受けた方に適用されます。この場合、利用回数に制限はなく、負担も原則1割（収入に応じて2～3割）です。

一方、医療保険は、40歳未満の方や、介護認定を受けていない65歳以上の方、または一定の医療的状態にある場合に適用されます。利用回数には原則週3回までの上限があり、負担額は年齢や所得に応じて異なります。

介護保険と医療保険は、どちらも生活や健康を支える公的制度ですが、利用条件や受けられるサービス、費用の仕組みに違いがあります。以下で詳しく解説します。

1.利用できる対象者の条件が異なる 2.受けられるサービスの内容が違う 3.費用負担と上限の違い

医療保険は、日本国内に住むすべての方が加入対象で、年齢や健康状態に関わらず、病気やケガの際に医療機関で診察や治療を受けられます。一方、介護保険は40歳以上が加入対象で、65歳以上は要介護認定を受けた方、40〜64歳は特定疾病に該当し要介護認定を受けた方のみがサービスを利用できます。

医療保険では診察や治療、薬の処方、手術、入院など医療行為が中心です。加入者本人だけでなく、扶養家族も同様に医療サービスを利用できます。介護保険では、訪問介護やデイサービス、福祉用具貸与、住宅改修など、日常生活を支えるサービスが中心です。要支援・要介護の区分によって利用できる内容が異なり、生活の質を維持・向上させることを目的としています。

医療保険には利用限度額はなく、自己負担分を支払えば必要な医療サービスを受けられます。高額医療費が発生した場合には“高額療養費制度”で超過分の払い戻しを受けられます。 一方、介護保険は利用限度額が定められており、自己負担は原則1〜3割です。限度額を超えた分は“高額介護サービス費”の制度で一部が補助されます。