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「良性発作性頭位めまい症」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「良性発作性頭位めまい症」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

頭を動かしているときに特定の位置で起こるめまいに「良性発作性頭位めまい症」があります。目の前がぐるぐる回転しているような症状が特徴ですが、メニエール病とは異なる病気です。よく見られる病気ですが、症状が続く場合には早めに医療機関を受診しましょう。

今回は良性発作性頭位めまい症の症状や原因、検査方法、治療方法などを解説します。

小島 敬史

監修医師
小島 敬史(国立病院機構 栃木医療センター)

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慶應義塾大学医学部卒。医師、医学博士。専門は耳科、聴覚。大学病院および地域の基幹病院で耳鼻咽喉科医として15年以上勤務。2年間米国で基礎研究に従事の経験あり。耳鼻咽喉科一般の臨床に従事し、専門の耳科のみならず広く鼻科、喉頭、および頭頸部腫瘍疾患の診療を行っている。
日本耳鼻咽喉科学会専門医、指導医。日本耳科学会、日本聴覚医学会、日本耳鼻咽喉科臨床学会の各種会員。補聴器適合判定医、補聴器相談医。

良性発作性頭位めまい症とは?

良性発作性頭位めまい症とはどのような疾患ですか?

    良性発作性頭位めまい症とは、耳の中の「内耳」と呼ばれる部分が何らかのきっかけで障害されることで起こるめまいです。特定の方向を向いたり、寝返りをしたりすると起こるのが特徴で、目が覚めたときにクラクラする、めまいの時間が短く繰り返すなどの症状は、良性発作性頭位めまい症の可能性があります。

    めまいが起こる頭の位置は個人差がありますが、首を縦に動かす動作と、首を横に動かす動作の2つのパターンがあります。縦の動きは空を見上げるときに上を向くような動作で、横の動きは誰かの呼びかけに反応して首を左右に向ける動作です。

    良性発作性頭位めまいは、女性や高齢者に多い病気です。しかし最近では男性でも発症を訴える人も増えています。

メニエール病との違い

良性発作性頭位めまい症はメニエール病とは違うのですか?

    メニエール病内耳にあるリンパ液の量が増えることで、めまいと吐き気の発作が繰り返し起こる病気です。耳鳴りや浮遊感を伴うこともあります。

    メニエール病の発作は数分から数時間で継続時間には個人差があります。また、発作が1回限りの人もいれば、長期間で何度も発作を繰り返す人もいます。

    発症する人は30〜50歳代に多く、高齢者にはあまり見られません。

    良性発作性頭位めまい症は、特定の頭の向きで起こるのに対し、メニエール病は、内耳のむくみで起こるため頭の位置では、めまいが起こるわけではない点が大きく異なります。また、良性発作性頭位めまい症では、通常、難聴や耳鳴り、浮遊感などの症状は伴いません。

    メニエール病は、発作が起きたときに安静に過ごすことが一番の対処法ですが、良性発作性頭位めまい症は横になると症状が長引くケースがあるため注意が必要です。

良性発作性頭位めまい症になりやすい人の特徴

良性発作性頭位めまい症 なりやすい人の特徴

良性発作性頭位めまい症はどのような人がなりやすいのですか?

    良性発作性頭位めまい症は、長時間にわたり頭を動かさずに同じ姿勢で過ごしている人に起こりやすいです。良性良性発作性頭位めまい症と診断される人の50%は、デスクワークの仕事をしている人でした。

    また、そのほかにも寝返りの回数が少ない人や低い枕で寝ている人、枕を使用しない人も、良性発作性頭位めまい症になりやすいと考えられています。

良性発作性頭位めまい症の症状

良性発作性頭位めまい症ではどのような症状が現れますか?

    良性発作性頭位めまい症の主症状は、その名の通りめまいです。めまいにもいくつか種類がありますが、良性発作性頭位めまい症は頭を動かしたときに、自分もしくは周りが動いたり回転したりしているかのように感じます。これを回転性めまいと呼びます。

    良性発作性頭位めまい症で起こる回転性めまいは、通常は、1分未満の短い時間で症状は落ち着くのが特徴です。

    まためまいによる吐き気や嘔吐、眼球の動きに異常がみられることもあります。めまいに伴う吐き気や気分が悪くなるなどの症状は現れますが、難聴やろれつが回らないなどの言語障害、手足のしびれなどの運動障害、失神などの意識障害といった症状は起こりません。

    シチュエーションとしては、朝起きらときにクラクラする、寝返りをしたときのめまい、髪を洗うときや洗い物ななどで頭を下に向けたときにめまいが起こります。

良性発作性頭位めまい症の原因

良性発作性頭位めまい症 原因

良性発作性頭位めまい症はどのような原因で起こりますか?

    良性発作性頭位めまい症は、耳の奥にある三半規管の1つの「内耳」に、「耳石」と呼ばれる炭酸カルシウムでできた小さな結晶が入り込むことで起こると考えられています

    本来、私たちが生活する中で感じる重力を感知する「前庭」に内耳が存在していますが、この内耳が何らかの原因で三半規管に入り込んでしまうことがあるのです。

    三半規管に耳石が入り込むと、通常の働きができず妨害を受けてしまいます。すると、平衡バランスを上手く保てなくなり、めまいを引き起こすのです。

良性発作性頭位めまい症の受診科目

頭を動かしたときにめまいの症状があれば何科を受診すれば良いですか?

    特定の頭を動かす動作をするときにめまいの症状が起こるようであれば、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

    ただし、良性発作性頭位めまい症は、多くの場合、数日程度で自然に軽快します。めまいは起こるものの、吐き気がするほどの症状はなく、頭痛やろれつが回らない、しびれがないなど脳の病気の可能性がある症状がなければ、落ち着くまで安静にして様子を見てみましょう。

良性発作性頭位めまい症の検査

良性発作性頭位めまい症ではどのような検査を行いますか?

    良性発作性頭位めまい症では、まずは症状や特徴などを問診して、メニエール病や脳の病気などのほかの病気と区別します。耳鳴りや難聴、閉塞感などのように良性発作性頭位めまい症の症状とは異なるものがあれば突発性難聴やメニエール病の可能性もあります。そうした場合は、必要に応じて聴力検査も行います。

    良性発作性頭位めまい症の可能性があれば、「フレンツェルのメガネ」と呼ばれる特殊なメガネを使った検査や、「赤外線カメラ」を使って目の動きを観察します。これを「頭位・頭位変換眼振検査」と言います。

    これらの検査で頭を動かしたときに眼球が左右に揺れる「眼振」が起これば、良性発作性頭位めまい症と診断します。

良性発作性頭位めまい症の性差、年齢差

良性発作性頭位めまい症には性差・年齢差はありますか?

    良性発作性頭位めまい症は年齢が高いほど発生しやすく、閉経後の女性に多く見られるのが特徴です。

    高齢者では平衡感覚に大きな影響が起こることがあり、それにより転倒やケガが起こることもあるため注意が必要です。

良性発作性頭位めまい症の治療方法

良性発作性頭位めまい症ではどのような治療を行いますか?

    薬物療法や耳石置換法などの治療を行います。

薬物療法

薬物療法ではどのような薬を服用しますか?

    薬物療法では根本的な原因を改善することはできません。しかし、めまいに不随するような症状があれば、吐き気止めやめまいを軽減する薬を処方することがあります。

耳石置換法

耳石置換法とはどのような治療方法ですか?

    頭の位置を順に時計回りもしくは反時計回りに回すことで、三半規管に入り込んだ耳石を元の位置に戻す治療法です。万能な方法ではありませんが、一定の患者さんに効果がある治療法です。

    別名を「エプリー法」ともいい、約90%はこの手技によって回転性めまいが改善します。また、もう少し繰り返せば、さらにもう少し多くの人に効果があることが分かっています。

編集部まとめ

良性発作性頭位めまい症は、頭を動かしているときに特定の位置で起こるめまいです。回転性のめまいが症状が特徴で、メニエール病や突発性難聴とは異なります。

通常は、数日のうちに軽快するため、治療を必要としない場合もあります。しかし、症状が続く場合にはほかの病気が隠れている可能性もあります。気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師