循環器内科とは?循環器内科における疾患の種類や治療法など徹底解説!
循環器内科は、心臓や血管に関する疾患を扱う医療分野です。この記事では、循環器内科について以下の点を中心にご紹介します。
・循環器内科について
・循環器疾患の種類や症状
・循環器疾患の検査や治療の方法
循環器内科について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
循環器内科とはどのような医療分野なのか?
循環器内科とは、どのような医療分野なのでしょうか。
まず、循環器内科はどのような疾患を診断・治療する分野なのか解説していきます。
どんな時に循環器内科を受診するのか
循環器内科に行く自覚症状は、以下のようなものがあります。
・胸痛や圧迫感、胸が張る感覚
・呼吸困難や息切れ感
・不整脈や心臓の動悸
・ふらつきやめまい、失神などの意識障害
・体のむくみやだるさ、疲れやすさなど
これらの症状がある場合は、循環器内科を受診し、検査や診断を受けることが必要です。
循環器内科が扱う分野
循環器内科は、心臓や血管に関する疾患を診断・治療する医療分野です。
心筋梗塞や狭心症、不整脈、心不全といった心臓疾患や、動脈硬化や高血圧などの血管疾患、そして肺塞栓症や血栓症が代表的な疾患です。
具体的には、心電図、超音波検査、負荷試験、冠状動脈造影、心臓カテーテル検査、脈波検査、血圧測定などの検査や、薬物療法、心臓ペースメーカーの挿入、冠動脈バイパス手術などの治療を行います。
また、生活習慣の改善なども重要な治療の一環として取り入れられることがあります。
循環器内科医が保持している資格
循環器内科医は、循環器疾患に特化した医師であり、循環器専門医の資格を取得します。
「循環器専門医」の資格を取得するためには、以下の手順を踏む必要があります。
医師免許を取得する:循環器内科医になるには、まずは医師免許を取得する必要があります。
医師免許を取得するには、大学医学部などでの医学教育を受け、医師国家試験に合格する必要があります。
内科専門医を取得する:医師免許取得後、研修医として臨床研修を行い、病院内での実地訓練を積みます。
その後、内科専門医制度に関連する研修プログラムに参加し、一定期間の研修を経て専門医試験を受けます。
試験に合格すると内科専門医として認定され、内科の診療や研究に従事できます。
循環器内科の臨床研修を受ける:内科専門医を取得した後、循環器内科の臨床研修を受けます。
研修期間は、一般的には3年以上で、循環器内科の専門医が指導する医療機関で実践的な臨床経験を積むことが求められます。
日本循環器学会専門医認定試験を受ける:循環器内科の臨床研修を修了した後、日本循環器学会が実施する「専門医認定試験」を受験する必要があります。
試験は年に1回実施され、筆記試験と実地試験があります。
合格することで「循環器専門医」の資格を取得することができます。
以上のように、循環器専門医の資格を取得するためには、医師免許を取得し、内科専門医を取得し、さらに循環器内科の臨床研修を受け、日本循環器学会の専門医認定試験に合格する必要があります。
これらの資格を持っている医師は、循環器疾患に関する高度な知識と技術を持ち、正確な診断と適切な治療ができます。
循環器疾患の種類と症状を知ろう!
続いて、循環器疾患の種類と症状について解説していきます。
循環器疾患の種類
循環器内科は、心臓や血管に関連する病気を診断・治療する分野です。
循環器疾患には、高血圧症や狭心症、心筋梗塞、不整脈、心臓弁膜症、心筋炎、心臓の拡張や肥大、心房細動など、多様な疾患が含まれます。
これらの疾患は、生活習慣病や加齢などによって引き起こされることが多く、早期発見・治療が必要とされます。
以下に例に挙げた疾患の症状を解説します。
高血圧症:血管内の血液の流れを妨げ、血圧が正常値より高くなる疾患です。
長期間にわたって高血圧が続くと、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な疾患を引き起こす可能性があります。
狭心症:心臓の冠動脈が狭くなり、心臓に十分な酸素と栄養が届かなくなる疾患です。
胸痛や息切れなどの症状が現れ、心筋梗塞などの合併症を引き起こす可能性があります。
心筋梗塞:心臓の冠動脈が完全に閉塞し、心筋が酸素不足によって壊死する疾患です。
急性の胸痛や息切れ、吐き気や嘔吐、冷や汗などの症状が現れ、緊急の治療が必要です。
不整脈:心臓のリズムが正常でなくなる疾患で、心拍数が速くなる「頻脈」や遅くなる「徐脈」、心臓の動きが不規則になる「心房細動」などがあります。
症状によっては、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症を引き起こす可能性があります。
心臓弁膜症:心臓の弁が異常な形態や機能を持つため、血液の流れが悪くなる疾患です。
狭窄性弁膜症や閉鎖不全性弁膜症などがあり、重度の症状が出る場合は、心不全などの合併症を引き起こすことがあります。
心筋炎:心筋が炎症を起こす疾患で、原因はウイルス感染や自己免疫疾患などがあります。
急性の心筋炎は、心臓の機能低下や不整脈、心不全などの合併症を引き起こすことがあります。
心臓の拡張や肥大:心筋が正常に機能しなくなり、心臓が過剰に拡大する状態を指します。
主な原因は高血圧、弁膜症、心筋症、心筋炎などがあります。
この状態が持続すると、心臓が弱くなって心不全を引き起こすことがあります。
心房細動:心臓のリズムが乱れ、心臓が正常に動かなくなる病気です。
主な原因は高血圧、糖尿病、肺疾患、甲状腺機能亢進症などがあります。
この病気は、高齢者に多く見られ、脳梗塞や心不全を引き起こす危険性があります。
治療は、原因に応じた薬物療法や手術などがあります。
循環器疾患にかかるリスクファクター
循環器内科では、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、肥満、運動不足などのリスクファクターによって、循環器疾患の発症リスクが増大することが知られています。
以下にどのようなリスクがあるのか解説します。
1.高血圧症:高血圧は、心臓や血管に負担をかけ、循環器疾患を引き起こすリスクが高くなります。
2.高脂血症:高脂血症は、動脈硬化や冠状動脈疾患のリスクを高めます。
3.糖尿病:糖尿病は、心臓や血管にダメージを与え、冠状動脈疾患や心筋梗塞を引き起こすリスクが高くなります。
4.喫煙:喫煙は、心臓や血管を損傷し、冠状動脈疾患や心筋梗塞を引き起こすリスクを高めます。
5.運動不足:運動不足は、高血圧や高脂血症、糖尿病などのリスクを高め、冠状動脈疾患や心筋梗塞を引き起こすリスクを高めます。
6.肥満:肥満は、高血圧や高脂血症、糖尿病などのリスクを高め、冠状動脈疾患や心筋梗塞を引き起こすリスクを高めます。
7.ストレス:ストレスは、高血圧や心臓疾患を引き起こすリスクを高めます。
8.遺伝的要因:家族に心臓疾患を患っている人がいる場合、遺伝的要因が関与している可能性があります。
これらのリスクファクターの改善には、生活習慣の改善や薬物療法が行われます。
循環器内科医は、これらのリスクファクターに詳しく、患者に適切なアドバイスを行うことが求められます。
循環器内科における検査・治療の方法を知ろう!
循環器内科における検査・治療の方法について、ここから見ていきます。
循環器内科で行われる代表的な検査
循環器内科では、心臓や血管に関する検査が行われます。
循環器内科で行われる代表的な検査には、以下のようなものがあります。
心電図 (ECG): 心臓の電気信号を測定して、不整脈や心筋梗塞などの病気を診断します。
超音波検査 (心エコー): 超音波を使って、心臓の形状や大きさ、弁の動きや血液の流れを評価します。
心筋梗塞や弁膜症、心不全などの病気を診断するためにも行われます。
負荷テスト: 運動や薬剤を使って、心臓の負荷をかけながら心電図や血圧を測定します。
冠動脈疾患や心不全などの病気を診断するために行われます。
冠動脈造影: X線を使って冠動脈を撮影し、狭窄や閉塞などの異常を確認する検査です。
心筋梗塞や狭心症の診断に用いられます。
心臓MRI: 磁気共鳴画像を使って、心臓の詳細な画像を取得し、形状や大きさ、機能を評価します。
心筋梗塞や弁膜症、心不全などの病気を診断するためにも行われます。
血液検査: 脂質異常症や高血圧などのリスクファクターを評価するために行われます。
また、心筋梗塞や心不全の診断にも用いられます。
循環器内科で行われる代表的な検査
循環器内科では、疾患の程度に合わせてさまざまな治療方法が行われます。
循環器内科で行われる代表的な治療法には、以下のようなものがあります。
薬物療法:高血圧症や狭心症、心不全、不整脈などの症状に対して、薬剤を用いた治療が行われます。
例えば、高血圧症に対しては降圧剤が用いられ、心不全に対しては利尿剤や心臓強化剤が用いられます。
カテーテル治療:心臓カテーテル検査に伴って、治療用カテーテルを用いて心臓内部の治療を行います。
心臓弁膜症や不整脈の治療に用いられます。
心臓手術:心臓疾患が進行して、薬物療法やカテーテル治療では十分な効果が得られない場合には、心臓手術が必要となることがあります。
例えば、心臓弁膜症や冠状動脈疾患に対して行われます。
人工心臓:心臓疾患が非常に重篤で、治療法がない場合には、人工心臓の移植が行われることがあります。
しかし、移植候補者の条件は非常に厳しく、移植には長い待機期間が必要となることがあります。
血管内治療:心臓病以外の循環器疾患に対して行われる治療法で、血管内にカテーテルを挿入して、血管内部から治療を行う方法です。
例えば、閉塞性動脈硬化症に対して行われる血管内治療には、血管内バルーン拡張術やステント留置術などがあります。
また、生活習慣の改善や、運動療法なども大切な治療方法です。
循環器内科医は、患者さんの症状や疾患の程度をしっかりと評価し、治療方法を提供します。
循環器内科医に相談する前に、知っておきたい基礎知識
循環器内科を受診する前に、循環器疾患に関する基礎知識を知っておくことが大切です。
循環器疾患は慢性化しやすく、症状が出てから治療を始めると進行が早くなることがあります。
また、リスクファクターを改善することで予防もできます。
以下に知っておくことで日常生活で気をつけられるポイントを紹介します。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病が循環器疾患のリスクを高めることがあるため、予防のために健康な生活習慣を心がけることが重要です。
循環器疾患は自覚症状が少ない場合が多いため、定期的な健康診断を受けることがおすすめです。
循環器疾患は年齢や生活習慣などによってリスクが異なるため、個人の状態に合わせて適切な検査や治療を行う必要があります。
症状がある場合や不安がある場合は、専門の医師に相談することが大切です。
しかし、医療情報を自己判断で調べることは避け、信頼できる情報源から情報を収集するようにしましょう。
循環器内科に行く前に、症状や生活習慣などをメモしておくことがおすすめです。
また、検査や治療についての疑問や不安がある場合は、医師に遠慮なく質問するようにしましょう。
循環器内科まとめ
ここまで、循環器内科についてお伝えしてきました。
循環器内科の要点をまとめると、以下の通りです。
・循環器内科は、心臓や血管に関する疾患を診断・治療する医療分野である
・循環器疾患には、高血圧症や狭心症などさまざまある
・循環器の治療法には、薬物療法や手術療法などがある
循環器内科医を受診する前に基礎知識を知ることで、より効果的な相談ができるでしょう。
定期的な健康診断とともに、循環器の健康にも注意を払い、早期発見・治療につなげることが大切です。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献