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「子宮肉腫の末期症状」はご存知ですか?検査法・治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/01/16
「子宮肉腫の末期症状」はご存知ですか?検査法・治療法も解説!【医師監修】

子宮筋腫に似ている、子宮肉腫という病気をご存知ですか?子宮肉腫の症状や末期になる前に重要な検査について以下の点を中心にご紹介します。

・子宮肉腫とは
・子宮肉腫の進行段階
・子宮肉腫の検査方法

子宮肉腫について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

前田 裕斗

監修医師
前田 裕斗(医師)

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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。

子宮肉腫とは?

子宮肉腫とは?
子宮肉腫は、子宮の筋肉やその他の組織から始まる悪性の腫瘍で、主に子宮体部に発生します。
名前が似ている病気に「子宮筋腫」(良性で子宮の筋肉由来)や「子宮体がん」(子宮の内壁から生じる悪性腫瘍)がありますが、これらは子宮肉腫とは別の病気として扱われます。

子宮肉腫の進行段階

子宮肉腫の進行段階
子宮肉腫の進行段階はどのように進んでいくのでしょうか?

平滑筋肉腫および子宮内膜間質肉腫

平滑筋肉腫 (Leiomyosarcoma)
発生部位: 子宮の平滑筋組織から発生します。
特徴: 速やかに成長し、早期に隣接組織や他の臓器に転移する可能性がある。
治療: 主な治療法としては手術が考慮されます。早期発見であれば手術での摘出が効果的とされていますが、転移や再発のリスクがあるため、手術後の追加治療として放射線療法や化学療法が必要とされることもあります。

子宮内膜間質肉腫 (Endometrial stromal sarcoma)
発生部位: 子宮の内膜の結合組織から成る間質から発生します。
特徴: 他の子宮の肉腫に比べて進行が遅いとされることが多いが、再発や転移のリスクは存在します。
治療: 主治療としては手術が一般的です。進行が早い場合や再発のリスクが高い場合には、化学療法や放射線療法を追加として行うことが考慮されます。
両者とも、診断や治療の選択は患者の健康状態や腫瘍の進行度、腫瘍の種類や位置などの様々な要因に基づいて行われます。医師との十分なコミュニケーションが重要となります。

腺肉腫

腺肉腫は子宮間葉系肉腫の一つで、まれな組織型の子宮肉腫です。
子宮肉腫は悪性で、子宮の筋肉や結合組織から成る腫瘍を指します。
腺肉腫の進行期はFIGO外科的進行期分類に基づいて診断されることが示されています。
治療は、他の子宮肉腫と同様に、外科的手術や化学療法、放射線療法などが検討されます。
特に、手術の後、再発や転移のリスクを考慮して追加の治療が行われることもあるようです。

子宮肉腫の症状

子宮肉腫の症状
子宮肉腫の明確な症状は特定できませんが、腹部の膨らみや不規則な出血など、子宮筋腫や子宮がんと似た症状が現れることが一般的です。
特に、閉経後に既知の子宮筋腫の大きさが急に増加する場合は注意が必要です。
年齢別に見ると、子宮平滑筋肉腫は50代中盤、低異型度子宮内膜間質肉腫は閉経前の40代、高異型度子宮内膜間質肉腫は閉経後、そして子宮癌肉腫は60歳以上の高齢者に多く見られます。

子宮肉腫の検査

子宮肉腫の検査
子宮肉腫の検査はどのように行われるのでしょうか?以下に考えられる検査方法を紹介します。

子宮摘出

子宮肉腫は子宮体部や子宮頸管の粘膜に直接的な露出が少なく、そのため、子宮体がんとは異なる診断法が要求されます。初期の診断には経膣超音波検査やMRIが一般的に用いられるものの、術前での確定診断は非常に難しいとされています。
内膜に肉腫が直接露出している際は、その部分の細胞や組織を採取して病理学的に検査することで肉腫の診断が可能です。しかし、この方法で病変が確認できない場合、肉腫の確定診断は難しくなります。
実際の診断の課題の一つとして、子宮肉腫と子宮筋腫との鑑別が難しい点が挙げられます。
特に、子宮筋腫が発育する過程で変性し、MRIで様々な画像特徴を示すことがあるため、筋腫の中に隠れている肉腫を見逃すリスクがあります。
このような背景から、子宮肉腫の疑いがある場合、最も確実な診断方法として子宮の摘出が考えられます。
子宮を摘出し、その組織を病理学的に詳細に検査することで、肉腫の有無や種類を確定的に発見できます。
しかし、近年の女性の晩婚や晩産の傾向を考慮すると、子宮の摘出を選択する女性は減少しており、この手段が容易に採用されるわけではないというのが現状です。
したがって、子宮肉腫の疑いがある場合、症状や所見、女性の生活状況や希望を総合的に考慮し、医師と患者が共同で治療や診断方針を決定することが重要となります。

MRI

子宮肉腫は診断が難しい疾患であり、子宮体部や子宮頸管の粘膜に肉腫成分が露出しない特性があるため、特定の診断法が必要となります。
この中で、MRIは重要な役割を果たしています。
MRIによる画像診断は、肉腫の特徴的な所見を捉える手段として使用されます。具体的には、子宮内での出血や壊死、拡散抑制の所見などが子宮肉腫を示唆する可能性があります。
特に、子宮平滑筋肉腫の場合、MRIのT2強調像で腫瘍の境界が不明確に見え、高信号の出血を示す可能性が指摘されています。
しかしながら、子宮の良性腫瘍である筋腫もMRIでさまざまな画像特徴を持つため、肉腫との鑑別が難しいことが時折報告されています。
事実、一部の筋腫はMRIでの初診断後、病理学的に肉腫と診断されるケースも存在し、MRIによる診断の限界を認識することが必要です。
加えて、閉経後に急激に大きくなる筋腫や、MRIで不均一な信号を示す筋腫は、肉腫の可能性を示唆する重要な指標となります。
要するに、MRIは子宮肉腫の診断において有用なツールでありますが、その結果を正確に解釈し、他の診断手法と組み合わせることで、より正確な診断を行うことが求められます。

子宮肉腫の治療方法

子宮肉腫の治療方法
子宮肉腫はどのように治療を行うのでしょうか?

手術による摘出

子宮肉腫の治療には、手術による摘出が最も効果的な方法とされています。
進行した症例では、化学療法や放射線治療などを組み合わせた集学的治療が行われることがあります。
手術では、基本的には単純子宮全摘術と両側卵巣卵管摘出術が行われます。
また、リンパ節の摘出も考慮されることがあります。
子宮平滑筋肉腫の場合、腫瘍を細切にする方法は再発を誘発する可能性があるため、推奨されません。肉腫部分のみを摘出した場合、残存腫瘍の可能性があるため、再手術での完全摘出が考慮されます。

化学療法

子宮肉腫の化学療法では、ドキソルビシン、イホマイド、プラチナ製剤、タキサン製剤などの抗がん剤が使用されることがあります。
これらの薬剤は、がん細胞の成長を阻止し、がん細胞を破壊することで効果を発揮します。
進行した症例や再発した場合には、パゾパニブ、トラベクテジン、エリブリンなどの抗がん剤が使用されることもあります。
これらの薬剤は新たな治療選択肢を提供し、病状の進行を遅らせることが期待されています。
しかし、現在のところ、これらの抗がん剤治療の効果は限定的であるとされています。
これは、子宮肉腫が抗がん剤に対する耐性を持つ可能性があるためです。そのため、化学療法は他の治療法と組み合わせて使用されることが多いです。

薬物療法

低異型度子宮内膜間質肉腫の治療には、酢酸メドロキシプロゲステロンやゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストなどの薬物療法が第一選択肢として使用されます。
これらの薬剤は、ホルモンの働きを調節することで、肉腫の成長を抑制します。
一方、高異型度子宮内膜間質肉腫では、ホルモン療法が効果を示すことはまれとされています。
これは、高異型度の肉腫がホルモンに対する感受性が低い可能性があるためです。
低異型度子宮内膜間質肉腫を除いて、子宮肉腫は予後が極めて不良であるとされています。
これは、子宮肉腫が進行すると治療が困難になるためです。
そのため、新たな薬剤や治療法の開発が強く望まれています。
これらの情報を考慮に入れて、医師と相談しながら治療法を選択することが重要です。
医師の指導に従い、適切な治療を受けることで、良い結果を期待できます。
それぞれの治療法には利点と欠点がありますので、自身の健康状態や生活スタイルに合った選択をすることが重要です。

「子宮肉腫」についてよくある質問

ここまで子宮肉腫の症状を紹介しました。ここでは「子宮肉腫の末期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

子宮肉腫は子宮体がんと同じですか?

前田 裕斗前田 裕斗 医師

子宮肉腫と子宮体がんは、どちらも子宮から発生する悪性腫瘍ですが、発生する組織が異なります。子宮体がんは子宮内膜腺から発生する悪性腫瘍であり、一方、子宮肉腫は子宮内膜腺以外の組織から発生します。したがって、これらはまったく異なる疾患であり、治療法や予後も異なります。したがって、子宮肉腫と子宮体がんは同じではありません。それぞれの疾患については、専門的な医療知識と経験を持つ医師から適切な診断と治療を受けることが重要です。

子宮肉腫に種類はありますか?

前田 裕斗前田 裕斗 医師

子宮肉腫は主に子宮体部に発生しますが、腟、外陰、卵巣などの子宮体部以外の部位から起こるケースは非常に稀です。子宮肉腫の組織型は以下のように分けられます。
平滑筋肉腫:これは最も一般的な子宮肉腫で、予後が不良であることが報告されています。
内膜間質肉腫:これは低異型度と高異型度の2つのタイプがあります。低異型度の内膜間質肉腫(LG-ESS)は比較的予後が良好とされている一方、高異型度の内膜間質肉腫(UES)は非常に予後が不良です。
未分化子宮肉腫:これは非常に予後が不良な疾患であり、化学療法の選択や再発時の治療などについてさらに研究が必要です。
横紋筋肉腫:これも子宮肉腫の一種です。
腺肉腫:これはかなりまれな子宮肉腫で、2019年に日本産科婦人科学会の婦人科腫瘍委員会による登録では43例が報告されました。
以上のように、子宮肉腫にはさまざまな種類があります。それぞれの種類は異なる特性と治療法を持っています。それぞれの種類について詳しく知りたい場合は、専門家に相談することをお勧めします。

編集部まとめ

ここまで子宮肉腫の症状についてお伝えしてきました。子宮肉腫の症状の要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・子宮肉腫にはさまざまな種類があり、それぞれの種類は異なる特性と治療法を持っている。
  • ・子宮肉腫の疑いがある場合、最も確実な診断方法として子宮の摘出する検査がある。
  • ・子宮肉腫にはさまざまな種類があります。それぞれの種類は異なる特性と治療法があり、それぞれの種類について詳しく知りたい場合は、専門家に相談することが推奨される

「子宮肉腫の末期症状」と関連する病気

「子宮肉腫の末期症状」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

該当する診療科の病気

子宮肉腫の症状と同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。

「子宮肉腫の末期症状」と関連する症状

「子宮肉腫の末期症状」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状が当てはまる場合には、子宮肉腫などの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師