目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 頭痛に効く食べ物はある? 脳の専門医が薦める食事・飲み物・NGな食べ物とは

頭痛に効く食べ物はある? 脳の専門医が薦める食事・飲み物・NGな食べ物とは

 更新日:2023/03/27
頭痛に効く食べ物はある? 脳の専門医が薦める食事・飲み物・NGな食べ物とは

多くの人が悩まされている頭痛。慢性的に頭痛が続いている人や、時折激しい頭痛に襲われる人など、いろいろなケースがあると思いますが、一体、頭痛を抑えるにはどのような食事が望ましいのでしょうか。また、頭痛を悪化させる食べ物や飲み物とは? なかめぐろ脳神経外科・内科 頭痛クリニックの青山先生にMedical DOC編集部が聞きました。

青山 尚樹

監修医師
青山 尚樹(なかめぐろ脳神経外科・内科 頭痛クリニック)

プロフィールをもっと見る
日本大学医学部卒業。日本大学医学部附属板橋病院脳神経外科学教室、相模原協同病院脳神経外科、駿河台日本大学病院(現:日本大学病院)脳神経外科栄養療法専門 新宿溝口クリニック(現:みぞぐちクリニック)副院長などを経て、2022年なかめぐろ脳神経外科・内科 頭痛クリニック開院。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医、日本抗加齢医学会認定抗加齢専門医、PAPT研究会認定医・指導医。

頭痛に効く食べ物・飲み物があるって本当? チョコレートがいいって聞くけどほかにおすすめは?

頭痛に効く食べ物・飲み物があるって本当? チョコレートがいいって聞くけどほかにおすすめは?

編集部編集部

頭痛と食べ物は、そもそも関係性があるのですか?

青山 尚樹先生青山先生

頭痛にはさまざまな種類があります。首や肩のこりが関係するものが多いですが、身体的・精神的ストレスが誘因となったり、天候の変化や女性なら月経との関連があったりなど、いろいろあります。食事もひとつの要因です。

編集部編集部

食事と頭痛はどのような関係があるのですか?

青山 尚樹先生青山先生

偏食が続いたり、コンビニ食(中でも栄養バランスが偏った食事)が続いたりすることで、特定の栄養素が不足してしまうことがあります。それが原因で、頭痛が起きることもあるのです。

編集部編集部

頭痛を和らげるにはチョコレートがいいと聞いたことがあります。本当ですか?

青山 尚樹先生青山先生

頭痛のひとつである片頭痛は、マグネシウムが不足することで起きることもあると言われています。実際、脳のマグネシウムレベルが低い人は、片頭痛を起こしやすいというデータもあります。チョコレートのなかでもカカオを多く含むダークチョコレートはマグネシウムが豊富なので、片頭痛を和らげる効果があると期待されています。

編集部編集部

それなら、頭痛が起きたときにチョコレートを食べると効果があるということですか?

青山 尚樹先生青山先生

いいえ。気をつけたいのは「チョコレートは片頭痛の特効薬ではない」ということです。頭痛が起きているときにチョコレートを食べても、痛みが解消されるわけではありません。頭痛が起きるのは、慢性的にマグネシウムが不足しているからです。日常的にマグネシウムをしっかり補給しておくことで、頭痛が起きにくい体質に変えられるということです。クルミやアーモンドなどのナッツ類も、マグネシウムが豊富ですので間食には最適です。

編集部編集部

マグネシウムのほか、頭痛を和らげる働きがある栄養素には、どのようなものがあるのですか?

青山 尚樹先生青山先生

サーモンや青魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸は抗炎症作用があり、片頭痛を抑える効果があると指摘されています。また、きのこに含まれるリボフラビンはビタミンBの一種で、これも研究により、片頭痛を抑える効果が期待されています。そのほか、ほうれん草やケールなど青菜に含まれる葉酸や、コーヒーに含まれるカフェインも頭痛を和らげる働きがあると考えられています。ただし、カフェインの摂りすぎはかえって頭痛を悪化させるので注意してください。

編集部編集部

いろいろな食べ物が頭痛に関係しているのですね。

青山 尚樹先生青山先生

じつは、食事は和食メニューが良いとされています。味噌汁や納豆には大豆が含まれているのでマグネシウムを補給することができますし、痛みの緩和に効果があるビタミンB2も摂取できます。そのほか、海藻、玄米、そばにも頭痛緩和に適した栄養素が多く含まれていますから、日常的にそうした食べ物を多く取ることを意識しましょう。

知っておきたい頭痛と食べ物の関係 痛みの緩和・予防になる? 生理時や二日酔いの頭痛にも効果がある?

知っておきたい頭痛と食べ物の関係 痛みの緩和・予防になる? 生理時や二日酔いの頭痛にも効果がある?

編集部編集部

食べ物や飲み物を変えるだけで、頭痛の予防になるのですか?

青山 尚樹先生青山先生

先ほどお話ししたように、ダークチョコレートを食べたりコーヒーを飲んだりすれば、たちまち頭痛が治るというわけではありません。しかし、日々の食事にそうした栄養素を少しずつプラスすることで、頭痛が起きにくい体質に変化させていくことは十分期待できます。

編集部編集部

生理のときにも頭痛に悩まされます。生理痛に伴う頭痛にも、食べ物は効果があるのですか?

青山 尚樹先生青山先生

生理痛のときには体が冷えやすい傾向にあるので、体を温める食べ物(たとえば生姜やねぎ)などをとると良いでしょう。また、リラックス効果のあるハーブティーや温かい豆乳を飲むと生理痛が落ち着くかもしれません。片頭痛のときに良いとされるカフェインは、血管を収縮させ、余計に体を冷やして頭痛をひどくすることがあるので、飲み過ぎに気をつけましょう。

編集部編集部

二日酔いの時の頭痛は、どのような食べ物が効くのですか?

青山 尚樹先生青山先生

まずは体からアルコールを排出するため、水分をしっかり補給しましょう。また、体内でアルコールを分解するときにビタミンB1が大量に使われるため、ビタミンB1を多く含む食べ物(豚肉、赤身肉、大豆、ほうれん草など)を摂るようにしましょう。

頭痛の症状に悪影響のある食べ物とは 食生活の改善でも頭痛が続くときの対処法は?

頭痛の症状に悪影響のある食べ物とは 食生活の改善でも頭痛が続くときの対処法は?

編集部編集部

反対に、頭痛のときには摂らない方が良い食べ物や飲み物はありますか?

青山 尚樹先生青山先生

アルコール(特にビール、ワイン、日本酒)に含まれるヒスタミンは、ますます頭痛をひどくする作用があります。頭痛のときにはアルコールを控えるようにしましょう。また、ポリフェノールが片頭痛を誘発することもあります。ワインはその代表的なものですが、先述のダークチョコレートもポリフェノールの過剰摂取につながるので、食べ過ぎは控えましょう。

編集部編集部

そのほかにありますか?

青山 尚樹先生青山先生

ハムやソーセージなどに多く含まれる亜硝酸塩、化学調味料に含まれるグルタミン酸は、脳を刺激する作用があります。頭痛を誘引することになるので控えるようにしましょう。また、コーヒー(に含まれるカフェイン)の摂りすぎも頭痛を悪化させる原因になりますので、摂取量に注意しましょう。

編集部編集部

知らないうちに摂っていることも多そうです。

青山 尚樹先生青山先生

それからもうひとつ、気をつけていただきたいのがアスパルテームです。アスパルテームは人工甘味料の一種で、「カロリーゼロ」と謳われた食品によく使われています。しかし、これは健康上、悪影響をもたらすことが多く、頭痛を誘発することもわかっています。身の回りにある多くの食品に使われているので、気になる場合は原材料の表示を確認してみるとよいでしょう。

編集部編集部

食べ物や飲み物に気をつけても頭痛が治らない場合は、どうしたら良いのでしょうか?

青山 尚樹先生青山先生

頭痛のなかには、「様子を見ても良い慢性的なもの」と、「できるだけ早めに医師の診断を受けた方が良い、注意が必要なもの」があります。もし「今まで経験したことのない痛みが出た」「突然、強い痛みが出た」「いつもの薬を飲んでも改善しない」「手足のしびれや脱力などほかの症状を伴う」という場合は、早めに専門医を受診してください。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。

青山 尚樹先生青山先生

頭痛には特効薬になるような食べ物はありません。大切なことは、毎日の食生活において必要な栄養素を適切に摂取することです。それから、体に良い食べ物を取ることも大切ですが、体に害を与えるリスクがあるものを避けることも大切。リスクになりそうなものを極力避けることで、頭痛を軽減することができるかもしれません。また多くの人にとって、首のこりも頭痛を引き起こす原因になっています。大切なのは温めて血行を良くすること。特に夜間帯は首の後ろを温め続けることで、慢性的に悩まされていた頭痛が解消されることもありますから、ぜひ試してみてください。

編集部まとめ

頭痛は非常に一般的な疾患であり、慢性化しやすいため、「頭が痛くても気にしない」という人も多いかもしれません。しかし頭痛が継続するとQOLが低下するだけでなく、仕事などのパフォーマンスも落ちてしまいます。まずは日頃の食べ物を見直すところから、頭痛の改善に努めてみてはどうでしょうか。

医院情報

なかめぐろ脳神経外科・内科 頭痛クリニック

なかめぐろ脳神経外科・内科 頭痛クリニック
所在地 〒153-0051 東京都目黒区上目黒3-6-18 西村ビル3階
アクセス 東横線「中目黒駅」より徒歩2分
日比谷線「中目黒駅」より徒歩2分
診療科目 脳神経外科、内科

この記事の監修医師