【漫画付き】「片頭痛にチョコやカフェインは良くない」はホント?
気になりだすと、何も手が付けられなくなる片頭痛。「山王クリニック品川」の山王先生によると、特定の食べ物と片頭痛の間には、密接な関係があるそうだ。もし、その片頭痛が食べ物によって引き起こされているのだとしたら。原因となる食品の見分け方と、片頭痛への正しい対処法について、詳しい話を伺った。
監修医師:
山王 直子(山王クリニック品川 院長)
横浜市立大学医学部卒業、米国メイヨークリニック留学、博士号取得。日本医科大学脳神経外科学講師、日本医科大学多摩永山病院勤務を経た2004年、東京都港区に「山王クリニック品川」開院。未病の段階からの健康管理を呼びかけている。日本脳神経外科学会専門医・評議員、日本頭痛学会頭痛専門医、日本内分泌学会代議員、日本医師会認定健康スポーツ医。日本間脳下垂体腫瘍学会、日本内分泌病理学会の各会員。書籍、メディア出演、論文など多数。
チョコレートやコーヒーが片頭痛の原因になることも
編集部
片頭痛がするとき、食べないほうがいいものはありますか?
山王先生
あります。数え上げるときりがないものの、チョコレート、コーヒー、赤ワイン、チーズなどは、その代表格といえるでしょう。ほかにも、ベーコンやソーセージ、スナック菓子、紅茶や緑茶、かんきつ類、うま味調味料などが挙げられます。
編集部
どうして、これらの食べ物を控えたほうがいいのでしょう?
山王先生
血管を拡張する物質が含まれているからです。脳内の血管が膨らむことで、三叉神経を刺激し、片頭痛に至ると考えられています。上記の食べ物の中には血管を「収縮」するものも含まれていますが、いずれ、その反動によって拡張します。ですから、結果としては一緒ですね。
編集部
これだけ多いと、覚えきれません。
山王先生
個人差もありますしね。まず、「片頭痛は食べ物と関係している」ということを知っておいていただいて、悪化するような食べ物があったら、逐一覚えておくといいかもしれません。
編集部
メーカーや味付けなどによっても違いますか?
山王先生
個々ばらばらです、同じポテトチップスでも、片頭痛がひどくなるメーカーのものと、そうでないものがあるはずです。おそらく、うま味調味料の配合などが異なっているのでしょう。また、食べる量によっても左右されます。
編集部
特定の食べ物による影響は、頭痛の回数なのでしょうか、強さなのでしょうか?
山王先生
両方です。頻度も増えますし、症状も重くなります。ほとんどの方は、食べ物と片頭痛の関係をご存じないので、ぜひ、この機に知っておいていただきたいですね。
長すぎる睡眠時間も、片頭痛の原因になりえる
編集部
片頭痛の具体的な症状や特徴は?
山王先生
痛さにとどまらず、吐き気を覚えたり、音や臭いへ敏感になったりとさまざまです。一般に、「普段から嫌だと感じていることが、ますます嫌になる」傾向があるようです。自分にとって不快なことは、ほとんど頭痛の原因になるんですね。下着の締め付けとかエアコンの温度などでも起こりえます。
編集部
食べ物以外で、脳血管の拡張を起こす要因はありますか?
山王先生
寝過ぎですね。寝ている間は呼吸が浅くなるため、二酸化炭素が蓄積するので、血管が拡張します。二酸化炭素自体に血管拡張作用があるのです。ですから、片頭痛の現れ方としては、朝方に多いはずです。週末にアルコールを飲んで寝だめすると、逆に朝がきつくなるかもしれません。
編集部
片頭痛は、どのような人がなりやすいのでしょう?
山王先生
体質としか言いようがありません。決してメンタルな作用ではなく、特定の食べ物や環境が影響を及ぼすか否かです。遺伝も関わっているとされていますが、体質を受け継ぐだけで、チョコやチーズといった特定の要因までは遺伝しません。
自分に合った予防と規則正しい生活習慣で頭痛を予防
編集部
片頭痛は治療できるのでしょうか?
山王先生
日常生活を改善するだけで、かなりの効果が期待できます。そのとき役に立つのが、いわゆる「頭痛ダイアリー」です。片頭痛が起きた日時とともに、食べた物やしていた事などを記録しておくんですね。スマホ用のアプリなども登場しています。
編集部
なるほど! ログをとっておけば、片頭痛の原因が見つけられそうです。
山王先生
片頭痛は、一定のサイクルを伴います。なかには「気圧の変化だった」という方もいらっしゃいますから、慣れないうちは、事細かに記録しておくことをお勧めします。あるいは、今月は食べ物、来月は気象・天気というように、原因がわかるまでジャンルを変えてみてもいいでしょう。
編集部
どうしても特定の食べ物が好きなら、片頭痛のピークを避けてもいいわけですよね?
山王先生
その答えは「頭痛ダイアリー」が教えてくれるはずです。まずは、自分の体質を把握すること。次に、その体質にあわせて、仕事やレジャーなどの予定を組み立てること。その際、スケジュールを詰めすぎないようにしてください。多少の流動性を持たせると、融通が利きます。
編集部
生活や仕事のスケジュールにもメリハリが付きそうですね。
山王先生
規則正しい生活は、片頭痛対策として有効です。頭痛はおなかがすきすぎても起きますから、三度の食事を欠かさないようにしましょう。また、自分に合った睡眠時間をとってください。寝始める時間は、できれば「日付の変わる前」が好ましいですね。睡眠時間は人それぞれですが、6時間から7時間をめどにしましょう。
編集部
薬で片頭痛を軽減することはできますか?
山王先生
できますが、生活や習慣を改めていただくことが先決です。そのうえで、どうしてもということであれば、受診してください。ただし、我慢は禁物で、脳血管を傷めてしまう恐れがあります。
編集部
市販薬はどうなのでしょう?
山王先生
間違ったのみ方をされる場合があるので、やはり専門の先生に診てもらうことをお勧めします。脳神経外科よりも、「頭痛外来」を標ぼうしている医院がお勧めです。お薬は、用法・用量を守らないと、かえって害になりかねません。依存症や薬物性の頭痛を引き起こすことも考えられます。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
山王先生
スマホを寝る前に見るのは避けていただきたいですね。光の刺激が脳に過剰な興奮をもたらします。おそらく、夜の9時以降に見ないだけで、頭痛が半減するのではないでしょうか。首に負担がかかるため、首こり肩こりからくる緊張性頭痛と思われがちですが、たいていは片頭痛です。注意してください。
編集部まとめ
特定の食べ物は、片頭痛を起こしやすいのですね。また、「頭痛ダイアリー」を付けるという発想が斬新でした。アプリが出ているということは、一定のニーズに支えられているということなのでしょう。パソコン用のソフトもあるそうなので、上手に活用してみてください。食べ物に限らず、場所、人、臭いなど、さまざまな要因が考えられます。心当たりをメモるようにしましょう。
医院情報
所在地 | 〒108-0075 東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー3F 307-C |
アクセス | JR品川駅港南口より徒歩1分 |
診療科目 | 内科・脳神経外科・内分泌内科 |