【漫画付き】放置していると危険!? 命に関わる頭痛とそうでない頭痛の違いとは?
だれでも一度は経験したことがある頭痛。慢性的に頭痛があると、脳に病気があるのではないか……と心配になるときもあると思います。放置しておくと危ない頭痛とはどんなものなのか、頭痛薬は服用していいのか、調布市仙川町にある仙川脳神経外科クリニック院長の山口竜一先生にうかがいました。
監修医師:
山口 竜一(仙川脳神経外科クリニック 院長)
平成11年杏林大学医学部卒業。同大学医学部脳神経外科学教室入局。公立阿伎留医療センター、都立墨東病院、医療法人社団恵周会白河病院で勤務し研鑽を重ねる。平成18年杏林大学医学部脳神経外科学教室助教、平成20年杏林大学医学部脳神経外科教室医局長を経て、平成28年仙川脳神経外科クリニックを開院。MRIやCTなどの機器を導入した高いレベルの脳神経外科検査と診断を提供している。
くも膜下出血と脳出血は要注意
編集部
命に関わる、すぐに対処しなければならない頭痛とはどういうものですか?
山口先生
死に直結する頭痛の代表的なものというと、くも膜下出血と脳出血による頭痛です。
編集部
くも膜下出血とはどのような病気ですか?
山口先生
頭にハンマーで殴られたようなドーンとした痛みが起きて、意識が朦朧(もうろう)とする病気です。突然発症して、急に意識を失ってバタッと倒れてしまうことが多いですね。昏睡(こんすい)状態になってしまう方や、そのまま呼吸が止まってしまいお亡くなりになってしまう方もいる、非常に危険な病気です。
編集部
脳出血の場合はどうですか?
山口先生
脳出血の場合は、出血の量によって手足の麻痺が出てきたり、場合によっては昏睡状態になってしまったり、状況は違います。脳出血のなかでも脳幹出血(のうかんしゅっけつ)というものだと、即座に命に関わります。脳幹は生命中枢にかかわるところですから。死につながる頭痛といえば、このくも膜下出血と脳出血の2つでしょうね。
慢性の頭痛も一度は受診したほうがいい
編集部
急な頭痛ではなくても、気をつけなければいけない頭痛はありますか?
山口先生
時間をかけて命に関わってくる頭痛というと、脳腫瘍(のうしゅよう)による頭痛ですね。脳腫瘍はゆっくり進行するので、頭痛も徐々にひどくなっていきます。すぐ命に関わるわけではありませんが、将来的に腫瘍が大きくなってしまうと治療も難しくなり、命に関わってくる病気なので早期治療が必要です。
編集部
「何となく痛い」という頭痛でも注意が必要なのですね。
山口先生
そうですね。脳腫瘍の場合、初めは軽めの頭痛ですから、ただの頭痛だろうと思って放置する方が多いのです。頭痛がひどくなった時には、かなり腫瘍が大きくなっているという可能性があるかもしれません。
編集部
自分は頭痛持ちだ、という方も一度受診したほうがいいでしょうか?
山口先生
いわゆる慢性の頭痛ですね。その場合も、一度受診したほうがいいと思います。頭痛の場合は脳に原因がない一次性頭痛と、脳に原因があって、そこから起こる二次性頭痛があります。命に関わる頭痛はこの二次性頭痛です。自分の頭痛は脳に原因があるのか、他に原因があるのか知ることが大切です。
編集部
脳に原因がないのであれば、どこに原因があるのですか?
山口先生
例えば片頭痛の場合は血管拡張型の頭痛といわれていて、脳の血管や頭皮の血管の拡張によって起こります。また、お酒を飲んだ後に起こる頭痛も血管拡張型ですね。
編集部
普段は正常だけれど、何かが起こると頭が痛くなる場合ですね。
山口先生
その通り。血管が広がったり、肩こりがひどくなったりとか。この場合は、肩こりを治せば頭痛も治ります。要するに、体の一部が構造的に変化してしまうのではなくて、機能的に変化する、一時的な症状というとわかりやすいでしょうか。そういうタイプを一次性頭痛といいます。これは危険ではない頭痛です。
慢性の頭痛でも薬の服用し過ぎに注意
編集部
頭が痛いとつい頭痛薬を服用してしまいます。
山口先生
「薬はあまり服用し過ぎないほうがいい」というのは何となく知っていると思いますが、月10日ぐらいであれば頭痛薬を使っていてもいいと思いますよ。もちろん医師が診断して、脳に異常がないというのが分かったうえで頭痛剤を服用するのが理想的です。
編集部
目安があるのですね。
山口先生
使用回数については理解していない方が多いですね。10日以上服用すると、薬物乱用頭痛という、頭痛薬を服用し過ぎることが原因で起こる頭痛になる可能性があります。痛くなりそうだからといって早めに服用してしまうと回数が多くなったり、痛みに対する閾値(いきち)、要するに我慢できる範囲が下がっていってしまったりして、結局服用し過ぎてしまいます。
編集部
月に10日ぐらいとのことですが、1日に複数回服用するのも大丈夫ですか?
山口先生
いえ。理想的には月に10回、1日1回ぐらいにとどめます。もちろん集中的に起こる方の場合は、数日であれば朝昼晩と服用しても構わないのですが、それを漫然と続けてしまったりするのは、やめましょう。
編集部
とはいっても、痛みがあるのですから、困りますね。
山口先生
2日に1回服用しているなど、服用頻度の多い方は、漢方薬に変えるのをオススメします。また、頭痛を最初から起こさないようにする予防薬を毎日朝晩服用することによって頭痛自体を起きないようにした方が、生活の質が上がります。
編集部まとめ
最近は、最寄りの脳神経外科クリニックでもMRIを導入しているところがあります。頭痛が心配な方は、一度脳ドックを受けてみるのもいいかもしれないですね。山口先生は、「大体3年から5年ぐらいに1回は受けることをすすめている」といいます。山口先生のクリニックでは2万円から受けることができるとのこと。鎮痛剤に頼って、不安を抱えて仕事をするよりは安心できるのではないでしょうか。
医院情報
所在地 | 〒182-0002 東京都調布市仙川町3-9-15 モンヴィラージュ仙川1階 |
アクセス | 京王線「仙川」駅 徒歩2分 |
診療科目 | 脳神経外科・内科 |