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歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」の有無で治療はどう違う? 歯科医師が解説

 公開日:2024/02/21
歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」の有無で治療はどう違う? 歯科医師が解説

歯科医療の分野では「歯科用CT」や「CAD/CAMシステム」など、デジタル技術を応用した医療機器が数多く誕生しています。ここに紹介する「マイクロスコープ」もその1つで、近年は開業時から導入する歯科医院も増えてきているようです。実際に、マイクロスコープの有無で歯科治療はどう違ってくるのか、その特徴やメリットなどを神谷デンタルオフィスの神谷忍先生に聞きました。

神谷 忍

監修歯科医師
神谷 忍(神谷デンタルオフィス)

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1985年東北大学歯学部卒業。1992年神谷歯科を開院。マイクロスコープをすべてのユニットに導入するなど、常に新しい情報や設備を取り入れ、費用や時間などを含め患者さんのご負担を減らす治療に努めている。日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本歯科審美学会所属。歯学博士。

歯医者さんのサイトに掲載している「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」とは? 普通の顕微鏡とどう違う?

歯医者さんのサイトに掲載している「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」とは? 普通の顕微鏡とどう違う?

編集部編集部

歯医者さんのサイトを見ると「マイクロスコープ」という名前を時々目にするのですが、これはどんな機械なのですか?

神谷 忍先生神谷先生

歯科治療で使用する医療用顕微鏡です。治療の視野を拡大することで、肉眼ではとらえられなかったものが明確に見えるようになります。

編集部編集部

普通の顕微鏡とどう違うのでしょうか?

神谷 忍先生神谷先生

理科の授業で使用する顕微鏡は台座においたサンプルを何十倍・何百倍にも拡大するのに対し、マイクロスコープは患者さんのお口の中をレンズで映して視野を拡大します。ただ、拡大率は最大で20倍ほどなので、理科の顕微鏡のように細菌や細胞レベルまで見えるわけではありません。感覚的には、スマートフォンのタッチパネルを2本の指で広げて画像を拡大して見るのと同じような感じです。

編集部編集部

そのほかに、マイクロスコープにはどのような特徴がありますか?

神谷 忍先生神谷先生

マイクロスコープのレンズには光源も搭載されているので、狭くて暗い視野も明るくはっきり写すことが可能です。また、歯科医がマイクロスコープで見ている映像は、モニターを通して患者さんもご覧になれます。自分の歯の状態や治療の様子を直接目で確認できるので、これまでよりも治療に対する納得感や安心感が得られやすくなります。

歯科用顕微鏡マイクロスコープで治療するメリットは?

歯科用顕微鏡マイクロスコープで治療するメリットは?

編集部編集部

歯科治療にマイクロスコープを使うと、肉眼での治療とどのような点が違ってくるのでしょうか?

神谷 忍先生神谷先生

一番は治療の精度です。例えば、一見すると綺麗に見える詰め物や被せ物も、マイクロスコープで観察すると歯との間に段差やすき間が確認できます。つまり、肉眼ではわからないガタガタした部分も、マイクロスコープを使えば滑らかにし、適合よく仕上げることができるわけです。また、レントゲンにも写らないような歯の小さなヒビや亀裂も、マイクロスコープを使うと見逃す心配がありません。このように、マイクロスコープの最大の利点は、肉眼のときに比べて治療のクオリティが飛躍的に向上する点だと思います。

編集部編集部

そのほかに、マイクロスコープはどのような治療で活用されているのでしょうか?

神谷 忍先生神谷先生

むし歯や歯周病治療、インプラント治療などあらゆる分野で活用しています。マイクロスコープを使うと、悪くなった歯質と健全な歯質との境界がより明瞭となるため、肉眼のときよりも余分な歯の削りすぎを防ぐことができます。悪くなった部分だけを除去し、無駄なく治療できるのもマイクロスコープの大きな特徴です。ほかにも、インプラントに何かトラブルが出た場合に、そのトラブルがどこにあるかを細かく診断するのにもマイクロスコープは有効です。

編集部編集部

そうすると、やはり治療の予後も大きく変わるのでしょうか?

神谷 忍先生神谷先生

変わると思います。治療の精度が良くなれば予後も良くなり、再治療のリスクも抑えられます。歯は治療の繰り返しが多くなるほど寿命も短くなりますから、1回の治療で無駄なく、的確に治すことが非常に重要です。このような点において、マイクロスコープはいまや歯科治療には欠かせない機器となってきています。

マイクロスコープは自費診療だけ? 保険診療でも受けられる?

マイクロスコープは自費診療だけ? 保険診療でも受けられる?

編集部編集部

マイロスコープを使った治療は保険診療でも受けることはできるのでしょうか?

神谷 忍先生神谷先生

マイクロスコープが誕生した当初は、自費診療でのみマイクロスコープを用いることが多かったのですが、近年は標準設備としてマイクロスコープを扱っている歯科医院も増えています。歯科医院の中には保険診療でも用いているところがありますので、受診する歯科医院にまずは問い合わせてみましょう。

編集部編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

神谷 忍先生神谷先生

いまだ普及率が10%ほどといわれるマイクロスコープですが、歯科治療の精度を追求するうえで不可欠なアイテムになってきていることは間違いありません。したがって、これから導入する歯科医院はますます増えてくることでしょう。一方で、マイクロスコープはあくまで道具の1つに過ぎないため、その効果を十分に発揮するためには使う側の知識や技術が重要になります。そのあたりもふまえ、歯科医院選びでは過去の治療実績などもしっかり確認しておきましょう。

編集部まとめ

マイクロスコープは治療部位を最大20倍まで拡大できる歯科用顕微鏡で、根管治療をはじめ、歯科治療のあらゆる分野に活用されています。拡大視野で治療することで、肉眼のときよりも治療のクオリティが向上し、再治療のリスクも抑えられます。より質の高い治療をご希望の方は、マイクロスコープを導入している歯科医院を探してみましょう。

医院情報

神谷デンタルオフィス

神谷デンタルオフィス
所在地 〒251-0055 神奈川県藤沢市南藤沢7-2 1F
アクセス JR・小田急線・江の島電鉄線 藤沢駅南口から徒歩4分
診療科目 歯科

この記事の監修歯科医師