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胃カメラとは?検査は痛い?検査結果でわかる病気・所要時間・費用相場

 更新日:2023/03/27
胃カメラ

胃カメラ検査は、健康診断や胃がん検診などでも使われる身近な検査ですので、経験者ならぱっとイメージがわくと思います。ただ、初めて受ける方や、今後受けるかどうか悩んでいる方では、苦しそうな検査だ、という印象を持って不安に思う方も多いのではないでしょうか?

少しでも不安を減らして検査にのぞむ手助けになるように、胃カメラ検査の流れや検査の意義、よくある疑問点などについて説明していきます。

この記事の監修ドクター:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

胃カメラとは?どんなことをやるの?

胃カメラという名前の通り胃の検査を行うものだとイメージされている方が多いと思います。間違ってはいませんが、正確には「上部消化管内視鏡検査」といい、検査の対象臓器は、上部消化管(食道・胃・十二指腸)すべてを含みます。

カメラを口から(経口)または鼻から(経鼻)入れて、直接臓器の中を観察することや、病気が疑われる部分の組織をつまんで病理検査に提出すること(生検)などを行って、病気の診断や病気の広がりを評価するということを目的とした検査です。

胃カメラの一般的な流れ

胃カメラも大腸カメラも腸管にカメラを入れて詳しく観察する検査です。観察する腸管の状態が食べ物などで汚れていると困るため、検査を受けるためには事前準備が必要です。

まず、検査前日の準備から説明します。

検査前日まで

検査日の前日の夕食後から検査終了後までは、何も食べないようにしてください。

水を飲むことは構いません。胃カメラに備えて、事前に服用する薬はありません。

検査当日(来院前)

検査当日には、牛乳やジュース、お茶などの飲み物は控えてください。

内服薬は水とともに普段通り服用してください。脳梗塞や心疾患発症予防の抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)などを内服している場合には、観察だけの胃カメラ検査では休薬する必要はありません。

休薬の可否については、処方を行っている担当医へご相談ください。

服装は体を締め付けるもの(和服、腹巻、ボディスーツなど)は避けましょう。

検査当日(来院後)

受付を済ませた後は、検査に向けた本格的な準備が始まります。

まず、胃粘膜の汚れをなくし、胃や食道に付着する泡を消す薬(ガスコン®)を飲みます。これは、粘液や泡があることで観察しづらくなることを防ぐための処置です。

次に、キシロカイン(一般的な麻酔薬)をのどや舌に局所麻酔をします。液体状の薬を霧状にして吹きかけたり、麻酔薬入りの氷を舌の上で溶かしながら飲んだり、施設によって方法が異なります。

麻酔なしでは、のどに内視鏡が通る違和感が強く、多くの人はとてもつらい思いをすることになります。

麻酔をすることで嘔吐反射を抑えられて検査する上での負担が減ります。

なお、以前に薬剤や麻酔でアレルギーがあった方は注意が必要ですので、必ず事前に申告してください。

検査当日(検査の最終準備)

検査台に横になります。検査の体制は左側臥位(体の左側を下にして横向きに寝ている状態)で、右足を折り曲げて左足の前に出すようにします。

両手はお腹の前で組みリラックスします。検査中は唾液などを飲み込むと観察の障害になるため、出来るだけ口の外に出すようにします。検査前に胃や十二指腸の動きを抑える目的でブスコパンという薬を筋肉注射する場合もあります。

ブスコパンという薬は、不整脈や緑内障などの疾患がある方は使えない場合もありますので、必ず事前に既往症を申告してください。

検査の痛みや不安を減らしたい場合には、鎮静薬を投与します。これは全身麻酔のように完全に寝て意識を取り去るわけではなく、点滴で鎮静薬を注射して、とろーんとしているけれども会話は可能な状態にします。

完全に眠ってしまい意識がない状態まで薬を効かせることはありません。

検査当日(検査開始、手順)

いよいよ胃カメラ挿入です。

挿入後にまず、のど(咽喉頭)を観察します。声門の観察や、食道入口部付近の観察を行います。最も嘔吐反射が出やすく、むせ込みやすい部分です。人によっては嘔吐反射が強いため観察できない場合もあります。

次に、食道を観察します。ここからの観察の順番や手順は医師によって異なりますので、一般的な例を挙げます。

食道を胃に入るまで観察し、食道がんや食道ポリープなどがないか観察します。胃食道接合部といって、胃と食道のつなぎ目の観察では、息こらえをしてもらうと観察しやすい場合があります。「息を吸ってー、止めて」と掛け声がかかることがあります。

次いで胃の中ですが、そのまま通り過ぎて十二指腸を観察します。十二指腸は十二指腸炎や潰瘍ができていないか、胆汁や膵液などの消化酵素が分泌される乳頭部に問題はないかなどを観察します。

スコープを押すだけでは深部が観察できない場合もあり、途中でスコープをぐっと引き抜かれます。その際に何か引っ張られる感じがしますが、驚かないでください。

最後に、胃の中の観察です。3次元的に観察するためカメラを押したり、ひいたり、ねじったり、医師それぞれがさまざまな手法を使って胃の中をくまなく観察します。空気が入って胃がパンパンのほうが観察しやすい部位や、空気が抜かれている方が観察しやすい部位があります。時折ぐっと押されて気持ちが悪い時もあると思いますが、見落としなく観察するために必要です。担当医側も申し訳なさを感じながら、見落とさないことを重視して施行しています。

あとはカメラを引き抜くだけです。再び食道や咽喉頭を観察して検査を終えます。お疲れ様でした。

検査にはどのくらい時間がかかるの

順調にいけば、10-15分程度かかります。ただし、悪性の疾患が疑われるなどによって、詳しく患部の観察が必要であったり、患部の粘膜組織を採取(生検)したりする場合、または、検査中に出血をきたし止血処置が必要になった場合、など状況に応じて検査時間は長くなります。

胃カメラはどのくらいの太さなの?

胃カメラには、経鼻(鼻の穴からカメラを入れる)と経口(口からカメラを入れる)と2種類の挿入方法があります。

経鼻は、左右どちらかの鼻腔⇒咽頭⇒食道のルートで挿入し、経口は口⇒咽頭⇒食道のルートで挿入します。鼻腔は口よりも狭い空間ですので、細めの胃カメラを用いることになります。

施設によって使うカメラの種類がさまざまですが、経鼻用の細径スコープの太さは5-6mm程度で、経口用のスコープの太さは8-10mm程度といわれます。

胃カメラでわかる病気は?

胃カメラは、食道癌や胃がんの早期発見にもっとも有効な検査の一つです。これらの他にも、逆流性食道炎、急性胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃アニサキス症など多くの病気を診断できます。

胃カメラを行う状況とその目的

胃カメラを行う理由には大きく3種類あります。

  • 心窩部痛・胸やけ・吐血などの食道や胃などの病気が疑われ症状がある場合
  • 人間ドックや胃がん検診など症状がない方へ定期検査として行う
  • 以前に胃ポリープを指摘された、またはポリープ切除歴などがあってその定期検査を行う場合

それぞれの目的は少し異なりますので、一つずつ解説しましょう。

1. 心窩部痛の原因に胃潰瘍が、胸やけの原因に逆流性食道炎が関与していないかなど食道や胃などの病気の診断目的に検査します。問診、身体診察、画像検査などで、ある程度疾患を絞ることができますが、診断を確定するには、胃カメラを通して直接的に病変を見る(あるいは組織検査も行う)ことが必要になります。診断が決まれば最良の治療方針を選択できるので、必要不可欠な検査です。

検査だけでなく、治療を行うこともできます。ESD(内視鏡的粘膜下剥離術)がその代表です。以前なら手術で胃を取らなければならなかったのが、医療技術の進歩によって、早期胃がんに対して内視鏡のみで治療を終えられる場合もあります。

2. 胃がん検診では、胃カメラやバリウム検査を行います。どちらも有効な検査ですが、早期がんの診断では胃カメラに軍配が上がります。バリウム検査では大きな病変はわかりますが、小さな病変は見逃す場合があるからです。

また、バリウム検査では異常があるように見えた場合に、最終的に胃カメラで判断するという二度手間を踏むことも少なくありませんので、はじめから胃カメラ検査をお勧めします。

3. 消化管の病気では病変のサイズで治療方針が変わるものも少なくありません。ポリープや胃粘膜下腫瘍などが一例です。

そのような病気を指摘されている方は、病変サイズを定期的に胃カメラで観察していく必要があります。

胃カメラは苦しい?痛いの?

のど周囲に局所麻酔を使っても、胃カメラがのどを通っていくときに嘔吐反射が強いために苦しく感じることがあります。そのため、経口胃カメラはつらい、という話を聞いたことがあるかもしれません。

この対策として、鎮静剤を使用することがあります。ただし、メリットとデメリットがあります。

鎮静剤のメリットは、痛いとか苦しいなどという恐怖や不安を和らげることです。観察だけではなく治療も考慮するなどで、胃カメラを挿入している時間が長いことが予想される場合には、精神的負担が減るでしょう。

鎮静剤のデメリットは、投与後に血圧が低下してしまうことや、誤嚥性肺炎を発症する危険性が増加するということなどがあります。また、鎮静してとろーんとした状態からしっかりと覚醒するまで(2時間程度)は帰宅できませんし、当日の車両の運転も控える必要があります。

鎮静剤の使用は、担当医とよく相談してから決めてください。

胃カメラに関いてよくある質問

いつまで食事や水分はとって良い?

固形物は前日夜21時以降まで、検査当日は水分のみにしましょう。また、水分はジュースや牛乳などではなく、水を飲むようにしましょう。

なお、検査前日の食事内容では繊維質の多いもの(海藻、キノコ類、果物)は控えるようにしてください。翌日(検査日)まで胃の中に残ってしまい検査しづらくなる場合があります。

前日にお酒を飲んでも良い?

検査に用いる鎮静剤がアルコールとの相互作用で効きすぎてしまうことなどがありますので、検査前日には飲酒を控えてください。

当日に水や薬は飲んでも良い?

水を飲むのは問題ありません。なお、多くの薬は検査当日朝も普段通り内服して良いのですが、一部の薬では休薬をする必要があるため、服用可能かどうかを担当医へ相談してください。

経鼻(鼻の穴からカメラを入れる)と経口(口からカメラを入れる)にはどんな違いがあるの?

カメラを挿入するときに嘔吐反射が強すぎる場合は、胃カメラを口から入れる(経口)ことが難しいため、鼻から胃カメラを入れる(経鼻)ことになります。胃カメラが経口と経鼻とで何が違うのかというと、主にカメラの性能に差が見られます。

前述のように、経口の方が経鼻よりも太いスコープを使うことができます。内視鏡スコープの性能は、太いほど高性能になる傾向があります。解像度、操作性、レンズの視野角、拡大観察機能などが、細径スコープとはスペックが異なります。

そのため、がんを疑って精査する場合や内視鏡治療を行う場合には、より精度の高いカメラを使用する必要があるため、経口の太いカメラを選択することになります。

胃カメラを受ける際の注意点

鎮痛薬や鎮静薬を使用された場合には、検査当日の車両の運転を控えてください。口紅やマニキュアなどは、指につける酸素濃度の測定検査の妨げになりますので、検査当日は避けましょう。

組織やポリープをとった方は、当日の激しい運動は控えてください。刺激のある食事、飲酒、コーヒーなどを2-3日間程度はなるべく控えてください。

色素内視鏡検査(インジゴカルミンなど)を受けた後は便が青くなることがありますが問題ありません。検査終了後、吐き気、腹痛、タール便(黒い便)が生じた場合には、検査をした医療機関へすぐに連絡してください。

胃カメラはどのくらい費用がかかるの?

胃カメラ(観察のみ)では3割負担で4,000円程度です。

この他にも、病変が疑われて組織検査(生検)を行ったり、ピロリ菌検査を追加したり、診察や薬剤処方などによって費用は変わってきます。人間ドックなどの自費診療では、施設によって変わりますので事前に確認しましょう。

まとめ

胃カメラについて、検査の流れを中心に説明しましたが、理解が深まりましたでしょうか?

胃カメラは、胃がん検診や、上部消化管疾患の診断、治療には欠かせない検査です。施設によって異なる点もあると思いますので、ご不明な点は、事前に担当医またはスタッフへ確認していただければと思います。

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