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「MRI検査」では何が分かる?できない人の特徴は?医師が徹底解説!

 公開日:2023/10/26
「MRI検査」では何が分かる?できない人の特徴は?医師が徹底解説!

MRI検査とは?Medical DOC監修医が腹部エコー検査で発見できる病気や検査結果の見方と所見、脳卒中やがん等を詳しく解説します。

中川 龍太郎

監修医師
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)

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奈良県立医科大学卒業。臨床研修を経て、医療法人やわらぎ会、医療法人資生会南川医院に勤務。生活習慣病や肥満治療、予防医学、ヘルスメンテナンスに注力すると同時に、訪問診療にも従事している。日本プライマリ・ケア連合学会、日本在宅医療連合学会、日本旅行医学会の各会員。オンライン診療研修受講。

MRI検査とは?

MRI検査という言葉自体は、徐々にみなさんの耳になじんでいるかもしれませんが、実際どんな検査なのか、どんなことが分かるのかという点はあまり知られていないかもしれません。MRI検査はとても有能な検査ですが、非常に大きな装置なのでどこの病院にでもあるものではありません。また、MRI検査でなんでもわかるというものでもありません。今回は検査の特徴に焦点をあてて解説いたします。

MRI検査とはどんな検査?

MRI(磁気共鳴画像法)は、強力な磁場と電波を組み合わせて、体内の詳細な画像を取得する技術です。このマシンは、体の水分に含まれる水素原子を利用して、高解像度の画像に変換します。
検査の流れとしては、強力な磁場が発生しているトンネル状の装置の中で、ベッドに寝た姿勢で行います。撮影する部位に専用の器具を装着し、ベッドに寝ると自動で動き、トンネル状の装置の中に入ります。磁場を発生させるときに、かなり大きな音がするためヘッドホンを装着して撮影することが多いです。
検査時間は20~60分程度と、CT検査に比べて長くかかります。体を動かすと画質が落ちてしまうので、できる限り同じ姿勢を保つことが必要です。しかし、これが狭い場所に閉じ込められた感覚になるため、閉所恐怖症の方は撮影が難しい場合があります。また強力な磁石と電波を扱う特徴のため、ペースメーカーや人工内耳などの金属類が体内に入っている方、磁石を使用したインプラントを埋め込まれている方は、検査できない場合があります。他には入れ墨やタトゥー、アートメークはやけどの原因になることもあります。
CT検査と比較して、被ばくがないのは魅力的ですが、いろいろと制約のある検査になっています。

MRI検査で体の何がわかる?

MRI検査は、CT 検査以上に、組織や臓器の微細な構造を非常に鮮明に捉えることができるため、脳や軟部組織(皮下、筋肉、神経系など)の疾患の診断に特に適しています。またCT 検査では血管を見るためには造影剤を使用する必要がありましたが、MRI検査では造影剤を使用しなくても血管を見ることはあります。(より詳しい診断のために造影剤を使用したMRI検査も存在します)

MRI検査の費用は?

MRI検査の費用は、保険適用であれば3割負担で約5,000~20,000円とされています。料金に開きがあるのは撮影範囲や方法にさまざまなバリエーションがあるためです。

MRI検査前日や当日の注意点

造影剤を使用せず、特に腹部以外のMRI検査であれば、基本的に検査前日当日ともに食事制限はありませんが、体調を考慮して深酒や暴飲暴食は控えましょう。腹部や骨盤あたりを撮影する場合は、検査4時間程度前から絶食が指示されることが多いです。水は検査前まで摂取可能なことが多いです。

MRI検査ができない人

心臓にペースメーカーを使用している方は検査ができないことがあります。また、脳動脈にクリップのある方、体内に金属物が入っている方は検査できない場合があります。しかし、近年のこうしたデバイスはMRI対応のものであったり、体内金属もMRI撮影に対応しているものが増えてきていますので、一律禁止というわけではありません。
他には先に紹介した閉所恐怖症の方や、長時間じっと待てない小児の方は難しいと考えられます。
他に入れ墨やアートメイクをされている方は、検査できないわけではありませんが、磁力の影響で墨の部分が高熱を帯び、火傷が発生するリスクが高いとされています。

MRI検査の結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見

ここまではMRI検査について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

MRI検査結果の見方と主な所見(脳卒中・がん等)

MRI検査結果ですが、撮影した各部位ごとに放射線科という画像を専門に扱う医師が所見というものをつけるのが一般的です。この所見は非常に詳細に書かれており、かつ情報を正確に伝えるため、優しい言葉ではなく厳格な医学用語で記載されています。
例えば脳梗塞では、
「拡散強調像では、左側の内包後脚部分に、高信号病変がある。同病変はFLAIRでは、信号変化は明らかでない」
などなど、一般の方には分かりづらい表記が多くなります。
がんに対しての検査でも、
「子宮に不均一な信号変化を示す腫瘤を認める」
など、分かりにくい表現が多くなります。
しかしこの所見の意味まで覚える必要はありません。
検査結果が出たら、この検査を依頼された医師や、かかりつけ医に総合的な所見を聞く(脳卒中なのか、がんを疑うものがあるかなど)程度で十分です。

MRI検査の再検査基準と内容

再検査を行う基準は明確には決まっていませんが、例えば、ごく小さいもののがんの疑いのある病変であれば、経過観察するために何ヶ月か空けて再度MRI検査を行う場合があります。一方で、すでにある程度の大きさの腫瘍が見つかった場合は、その腫瘍の性質や詳しい分類を調べるために、エコー検査や造影MRI検査などを行うことが多いです。
検査結果によって次にどの検査をする必要があるか、非常に多くのパターンがありますので一概には言えません。
例えば女性の場合、子宮筋腫という腫瘍があります。腫瘍ではありますが良性のものなので無症状であれば経過観察となります。しかし、徐々に大きくなったり、不正出血の量が増えて貧血になったりするようであれば、手術治療に踏み切る、というパターンもあります。
他には、例えば脳のMRI 検査で脳腫瘍が指摘された場合、その形状や位置からどの脳腫瘍なのかということを調べるために造影MRI検査を行う場合があります。
このように臓器や病気によって再検査の内容はさまざまですので、検査を依頼した医師と相談して、次の行動を決めましょう。

「MRI検査」でわかる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「MRI検査」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脳卒中

脳卒中は、脳への血流が一時的または恒久的に遮断されることによって脳組織が損傷する病気です。主な原因は二つあり、一つは血管の詰まりによる「脳梗塞」と、もう一つは血管の破裂による「脳出血」です。どちらも突然発症し、片側の麻痺や言葉の障害など、さまざまな症状を引き起こします。
脳卒中の診断は、主に画像検査で行われます。頭部CTやMRI検査によって、脳のどの部分に問題が起きているのか、また、脳梗塞と脳出血のどちらであるのかを特定します。
どちらも緊急性の高い疾患ですが、特に脳梗塞の場合、発症から4.5時間以内に治療を開始すると、再開通(詰まった血管が再び通るようになること)が可能となることがあります。これにより、脳への損傷を最小限に抑え、後遺症を軽減することが期待できます。
疑わしい症状が現れたら、速やかに救急病院を受診することが大切です。専門科は脳神経内科や脳神経外科です。後に説明する後遺症を最低限に抑えるため、治療後できるだけ早くからリハビリテーションを積極的に行うことが多いです。

椎間板ヘルニア

脊椎という背骨を構成する骨の間には、椎間板というクッションの役割を果たす組織があります。このクッションによって脊椎は首から腰まで、体幹の動きに対して柔軟に対応できるようになっています。椎間板ヘルニアとは、さまざまな原因で椎間板が脊髄の通り道(脊柱管)にとびでてしまい、神経組織を圧迫してしまう病気です。どの部分で神経組織がされるかで病名や症状が変わります。
頚椎(首の骨)では頚椎椎間板ヘルニアとなり、腰椎(腰の骨)では腰椎椎間板ヘルニアとなります。
頚椎椎間板ヘルニアでは、首あたりの痛みやしびれ、手や腕へ走るような痛み、手の筋力が弱くなる、といった症状が出現します。 脊髄への圧迫が重度の場合は、歩行困難、膀胱直腸障害(排便がうまくできなくなる)、などの症状が起こることもあります。
腰椎椎間板ヘルニアでは、主に腰や脚に向かう神経が圧迫、障害されます。そのため、腰やお尻、脚に痛みが生じます。また筋力低下や感覚障害(しびれた感覚、違和感、感覚が鈍くなる、など)につながります。
受診すべき科は脳神経外科か整形外科です。診察で詳しい症状の位置を確認し、MRIなどの画像検査を使って診断を行います。症状が軽度であれば、痛み止めの内服やリハビリテーションなどの保存的治療で対応できますが、痺れや筋力低下などかなり症状が強い場合は手術も検討されます。脚の筋力が急激に低下する、痺れや痛みが強いという場合は、一度上記の診療科を受診しましょう。

骨肉腫

骨肉腫とは、骨に発生する悪性腫瘍(がん)の中で最も頻度の高いがんです。特に10代から20代の若い世代に多く、成長期の骨に発生しやすいとされています。原因は明確には分かっていません。
主な症状は、痛みや腫れ、骨折しやすくなること、疲れやすさなどです。しかし、初期の段階では症状が出にくいため、定期的な健康診断や自身の体の変化に注意を払うことが大切です。骨肉腫の診断は、X線やMRI検査、生検(組織を顕微鏡で調べること)などの検査を用いて行います。
受診すべき診療科は整形外科です。診断結果を元に、治療の方針が決定されます。早期であれば、手術で腫瘍の除去が行われることが多いです。また、放射線治療や化学療法も併用されることがあります。病状や進行度によっては、複数の治療方法を組み合わせて行うことも考えられます。

肝臓がん

肝臓がんとは、肝臓内の細胞が異常に増殖してできる悪性の腫瘍を指します。長期にわたる肝炎や肝硬変などの肝臓の病気がリスクとされており、早期発見が難しいのが特徴です。
主な症状は、全身のだるさ、腹部の膨らみ、腹水(お腹に水がたまること)、便通異常(便秘・下痢など)、吐き気、嘔吐、痛みなどが挙げられますが、これらはかなり肝臓がんが進行してしまった段階でみられます。 肝臓がんの診断は、肝臓のエコーや血液検査、腹部CT、腹部MRIなどの画像検査を用いて行います。 受診すべき診療科は消化器内科や消化器外科です。
診断結果を元に、治療の方針が決定されます。早期であれば、手術やラジオ波焼灼療法(穿刺局所療法)での治療が行われることが多いです。一方、病気が進行している場合や手術が難しい場合は、薬物療法や放射線治療が選択されることもあります。

子宮がん(子宮体がん・子宮頸がん)

子宮がんは、子宮の細胞が異常に増殖してできる悪性腫瘍を指します。このがんは大きく分けて「子宮体がん」と「子宮頸がん」の2つに分類されます。
子宮体がんは、子宮の内側の部分(子宮体部)から発生するがんです。特に閉経後の女性に多く見られます。主な症状としては、不正出血や下腹部の痛みが挙げられます。一方、子宮頸がんは子宮の入り口部分(子宮頸部)から発生するがんで、主にHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因とされています。20代から40代の女性に多いです。初期の段階では症状が少ないですが、進行すると出血やおりものの異常などが現れます。
子宮がんの診断は、子宮内膜の採取や子宮頸部の細胞採取、さらには超音波検査や骨盤MRI検査などの画像検査を用いて行います。受診すべき診療科は婦人科です。
診断結果に基づき、治療の方針が決定されます。早期であれば、手術での腫瘍除去が中心となります。進行が進んでいる場合や再発のリスクが高い場合は、放射線治療や化学療法が併用されることもあります。

「MRI検査」で引っかかる理由は?脳卒中・がん等

MRI検査で引っかかる理由は、CT検査と同様に何らかの異常が認められるためです。
例えば脳梗塞では、すでに脳組織が虚血(血流がない状態)に陥っている所見や、詰まっている血管の所見が見られます。がんについても同様に、正常構造では存在しないはずの異常な構造物が見られるために引っかかります。もちろん指摘された腫瘍が、先に紹介した子宮筋腫のように良性のもので、特に健康上問題がない場合もありますが、それもその後の経過観察や追加検査を行ってから判断できるものです。
尿検査や血液検査のように、「食生活が悪かったから」「健康に意識した生活をすれば元通り」というものでもありません。
何らかの異常があるはずなので、 MRI検査で引っかかった際は早めの受診と次の精査に移りましょう。

「MRI検査」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「MRI検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

MRI検査で発見できる病気や受けるタイミングを教えてください。

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

MRI検査で発見できる病気は、腫瘍や血管の細い部分、ヘルニアなど、構造的な異常が特徴的なものです。高血圧や糖尿病など、構造的な異常が見られない病気についてはMRIで指摘することはできません。
受けるタイミングとしては、20歳以上であれば誰でも受けることは可能です。一般的には35-40歳くらいから人間ドックの一部として受けることが推奨されていますが、早く受けても悪いことは全くありません。例えばご家族に若くしてガンになった方がおられる場合は、20歳代でも受ける価値はあると思います。

MRI検査とCT検査の違いを教えてください。

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

MRI検査は磁場と電波を利用した検査なので被曝はありませんが、CT検査はX線を利用した検査で、被曝のリスクがあります。
MRI検査は軟部組織(筋肉や血管、皮下組織や神経など)を観察するのに向いていますが、CT検査は骨や肺の内部などを観察するのに向いています。
CT検査の撮影時間自体は短く数分で終わり、特に騒音もないのですが、MRI検査撮影時間は長く20-60分程度あり、かなり音もうるさいので専用のヘッドホンをつけながら撮影します。そのため閉所恐怖症の方は撮影が難しいとされています。

MRI検査の結果が出るまでの時間はどのくらいですか?

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

MRI検査は20-60分程度かかります。これは一部位の目安時間なので、お腹と胸のように2部位撮影するとさらにかかります。
撮影自体の目安時間は上記の通りですが、そこから正式な所見をつけるとなると数日は確実にかかるものと考えてください。ただしこれは予定検査の場合です。
例えば、脳梗塞に対して緊急でMRI撮影を行なっている場合、すぐに治療にうつらないといけないので結果は当日、撮影したすぐその場で画像ができあがり次第、医師が確認して治療を開始します。

MRI検査を受ける前の食事の注意点はありますか?

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

腹部以外のMRI検査であれば、基本的に検査前日当日ともに食事制限はありません。
腹部や骨盤あたりを撮影する場合は、検査4時間程度前から絶食が指示されることが多いです。

閉所恐怖症でMRI検査を受けるのが怖いのですが対策法はありますか?

中川 龍太郎中川 龍太郎 医師

閉所が怖い方への対応として、医療機関によってはオープン型のMRIを設置しているところがあります。従来のものは筒状の機械で、何とも閉塞感のある作りなのですが、オープン型はかなり開放的な作りになっています。
またアイマスクをすることで狭い場所という認識をなくす(閉所という視覚情報を入れない)という対応もあります。
医療機関によって柔軟に対応してくれますので、一度病院で相談してみましょう。

まとめ「MRI検査」でがんを早期発見!

MRI検査の特徴について解説しました。MRI検査で全てがわかるわけではありませんし、撮影にも時間がかかるのがネックですが、被ばくの心配がなくCT検査ではわかりにくい部分も観察できるという利点があります。
まずは人間ドックなどで、もしくはかかりつけの医師に勧められた場合は、一度撮影しておくことをお勧めします。
ぜひ積極的に検査を受けていただければと思います。

「MRI検査」の異常で考えられる病気

「MRI検査」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気

消化器系の病気

  • 肝臓がん

MRI検査から得られる情報は非常に多く、今回紹介した疾患以外でもさまざまな病気が指摘できますが、特に神経系やがんの診断には非常に役立つ検査です。健康管理の一つとして、一度撮影してみてください。

この記事の監修医師