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アニサキス治療における内視鏡検査について徹底解説!

 更新日:2023/03/27

脂ののった美味しいお刺身が大好物!という方も多いかと思います。

特に日増しに暖かくなってくるこの季節、美味しいお刺身を肴によく冷えたビールをググっと飲むのは何事にも代えられない喜びだという方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、海産魚介類の生食である刺身や寿司には「アニサキス症」というリスクがある事を忘れてはいけません。

海産魚介類の生食を原因とするこの「アニサキス症」という寄生虫症について耳にする機会も多いとは思いますが、万が一発症してしまった場合どのような検査や治療がおこなわれるかについてはご存知ない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、アニサキス治療と内視鏡検査の関係性や、その治療の有効性などについてMedical DOC編集部がお届けいたします。

この記事の監修医師
高橋 通 (東京国際クリニック 医科 院長)

「アニサキス症」とは?

「アニサキス」というワードについて耳にする機会は多いですが、具体的にはあまり知られていない部分も多いかと思います。 アニサキス治療について学んでゆく前に、まずはしっかりとこの「アニサキス」についておさえておきましょう。

アニサキスとは?

アニサキスとは寄生虫(線虫)の一種であり、その成虫は主にイルカやクジラなど海生哺乳類の腸管内に生息しています。

アニサキスの卵は宿主の排泄物とともに海中へ放出されて孵化し、中間宿主であるオキアミなどの甲殻類を経てサバ・イワシ・カツオ・サケ・イカ・サンマ・アジなどの海産魚介類を中間宿主とし、その体内に生息します。

この状態は「アニサキス幼虫」と呼ばれており、体長2~3cm・幅0.5~1mm程度の白い糸のような形状をしています。

「アニサキス幼虫」が人体に侵入すると?

「アニサキス幼虫」は、中間宿主である食卓になじみ深い海産魚介類を生食することによって人間の体内へと侵入します。

人間の体内では成虫になることが出来ない「アニサキス幼虫」は通常では排泄されますが、時には人間の胃や腸壁へと虫体の一部を潜り込ませてしまいます。

これにより、激しい痛みや場合によっては吐き気や蕁麻疹を伴う「アニサキス症」が発症するのです。

「アニサキス症」の種類

胃アニサキス症

魚介類の生食によって「アニサキス幼虫」が人体内に入り、胃粘膜や胃壁に噛みつき侵入してしまうと「胃アニサキス症」を発症してしまう場合があります。この「胃アニサキス症」では、食後数時間ほどで激しい腹痛や嘔吐を発症します。

このような激しい症状を伴う胃アニサキス症は「劇症型胃アニサキス症」と呼ばれています。

ごく稀に、健康診断の内視鏡検査によって「緩和型胃アニサキス症」と呼ばれる痛みなどの症状を伴わないアニサキス幼虫が見つかる事もあります。

 腸アニサキス症

稀なケースとして、アニサキス幼虫が胃を通過し腸までたどり着き腸壁へと噛みつき侵入してしまい、腹痛・嘔吐などの症状が発症してしまう場合があります。

最悪の場合では腸閉塞などを併発してしまい開腹手術が必要となるケースもありますが、人体内で長く生息することが出来ないアニサキス幼虫に対して対症療法を行いながら死滅を待つのが一般的な治療方法となります。

通常の場合では、数週間程度で死滅し消化管内から消失します。

その他のアニサキス症

さらに稀なケースでは、アニサキス幼虫が消化管を貫通して腹腔や肺などまでたどり着いてしまう「消化管外アニサキス症」や、蕁麻疹を発症する「アニサキスアレルギー」なども確認されています。

「アニサキス症」の治療方法は?

現在のところ、体内に侵入してしまったアニサキス幼虫に対して効果的な駆虫薬は存在していません。

したがって急性胃アニサキス症の治療では、胃の中に生息しているアニサキス幼虫を鉗子(かんし)で摘まみ上げて物理的に駆除する方法がとられています。

「内視鏡検査」と「内視鏡的虫体除去術」

問診や症状によってアニサキス症の疑いがある場合は、一般に胃カメラと呼ばれている「内視鏡検査」がおこなわれます。

この内視鏡検査によってアニサキス幼虫が確認された場合には、内視鏡の鉗子(かんし)口から挿入した鉗子によって直接アニサキス幼虫をつまみ上げて摘出します。

この方法は「内視鏡的虫体除去術」と呼ばれており、胃アニサキス症の治療方法として最も一般的なものとなります。

アニサキス幼虫の除去後について

通常の場合では、「内視鏡的虫体除去術」によってアニサキス幼虫を摘出した後は速やかに症状が改善されますが、アニサキス幼虫は複数匹潜んでいる場合もあります。

摘出後も症状が良くならない場合には、アニサキス幼虫が残っている疑いがあるので再度の摘出が必要となります。

「アニサキス症」を未然に防ぐには?

ここまでは、アニサキス症の原因やその対処方法としての「内視鏡検査」と「内視鏡的虫体除去術」について学んでまいりました。

しかし、激しい痛みを伴うアニサキス症は出来れば避けたいものです。

そこでここからは、アニサキス症を予防する調理方法について解説いたします。

冷凍・加熱でしっかり予防

のたうち回るほどの痛みを起こすアニサキス幼虫ですが、その実とても弱い寄生虫であることもわかっています。

アニサキス幼虫は、60℃の加熱では1分程度・70℃以上では瞬時に死滅します。

また、アニサキス幼虫は低温にも弱く、-20℃以下で24時間以上冷凍することで感染性を失うことがわかっています。

しかし、一般家庭の冷凍庫の種類によっては-20℃以下まで温度が下がらない場合もありますので、注意が必要です。

このように冷凍や加熱調理によって、アニサキス症の予防が出来る事を覚えておくと良いでしょう。

それでもお刺身が食べたい方へ

冷凍・加熱の調理をおこなう事によってアニサキス症の予防が出来る事はわかりましたが、やはり生のお刺身に舌鼓を打ちたい!という方は筆者も含めて少なくないかと思います。

ここからは冷凍や加熱をおこなわずにアニサキス症を予防する方法をご紹介いたします。 鮮魚を生食する際に以下のポイントに注意して調理すると、アニサキス症のリスクを大きく軽減する事ができます。

鮮度の徹底

通常は魚介類の内臓に寄生しているアニサキス幼虫ですが、宿主の鮮度が落ちると内臓から筋肉へと移動することがわかっています。

したがって、鮮魚店などで刺身などの生食用の魚介類を購入する際には、新鮮なものを選ぶように心がけましょう。

また、丸一匹購入した場合や釣魚についてはなるべく早めに内臓を除去するよう心がけましょう。

目視による確認・除去

体長2~3cm・幅0.5~1mm程度の白い糸のような形状をしているアニサキス幼虫は、肉眼で確認をすることができます。 しっかりと目視による確認・除去をおこないましょう。

細かく切る・薄切りにする

アニサキス症予防の観点からも、薄造りやイカソーメンなどは非常に理にかなった調理法であると言えるでしょう。

生食の調理の際には、しっかりと包丁を入れる事を心がけると良いでしょう。

調理器具の衛生管理

まな板や包丁などを介してアニサキス幼虫が可食部分へと移動してしまう場合もあります。

調理器具の衛生管理はしっかりとおこなうよう心がけると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、アニサキス症の原因やアニサキス治療としての「内視鏡検査」について学んでまいりました。

アニサキス症の原因となるアニサキス幼虫が人体へと侵入するメカニズムや、内視鏡検査によって除去する方法についてご理解いただけたかと思います。

また、アニサキス症の予防方法についても解説いたしました。

冷凍や加熱など、適切な調理によってアニサキス幼虫を死滅させることがアニサキス症の予防につながる事をご理解いただけたかと思います。

アニサキス症の予防・治療方法をしっかりと学んで、美味しい旬の魚介類を心ゆくまで味わいましょう!

監修ドクターコメント

高橋先生

アニサキスによる食中毒は毎年発生しています。シメサバが最も多い感染源となっています。酸に抵抗性があるため、シメサバやマリネのような食酢での処理や塩漬け、ましてや醤油やワサビでは死滅できません。食べる前に目視で確認することは口に入れる最終段階での予防ではありますが、よく噛むことで予防できるかどうかは医学的根拠がありません。噛まないよりはマシという程度です。アニサキスは魚が死亡すると内臓から筋肉(食用部位)に移動するため、新鮮なうちに召し上がることが大切です。寿司ネタは低温のショーケースに入っていることにより、アニサキスの動きが鈍くなり、職人さんでも分かりにくいという報告もあります。虫体を大きく損傷することができるイカそうめんは昔の人々の知恵が込められた食べ方なのですね。
もし、しめさばやイカなどを食べた後に激しい腹痛を生じた場合には、医療機関を受診する前にその病院が緊急で胃内視鏡検査を実施できる施設かどうかを、必ずお電話で確認されることをお勧め致します。また、いざ問診時には、食べた魚介類の名前をお話されることもとても大切です。医療側が普通の胃腸炎との違いに気が付くポイントはこの問診にあるからです。
一方、血液をサラサラにしてくれるオメガ3脂肪酸を摂取するためにサバ缶ブームですが、もちろん缶詰は大丈夫です。安心してお召し上がりください。

アニサキス治療でおすすめの内科・消化器科 関東編

東京国際クリニック

出典:https://www.tic.or.jp/home/

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Pickup 【所属学会・資格】
・医学博士、日本医師会認定産業医
・日本内科学会総合内科専門医
・日本循環器学会専門医
・日本人間ドック健診認定医
・日本抗加齢医学会専門医
・医師+(いしぷらす)所属
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