花粉症は、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどを起こし、日常生活に支障をきたしやすい病気です。毎年花粉の飛散が始まると、このつらい症状がいつまで続くのか気になる方もいるでしょう。花粉症の原因となる植物は、スギやヒノキだけではありません。初夏から秋にかけて飛散するイネ科やキク科の植物なども原因です。そのため、どの花粉に反応するかによって、症状が出る時期や続く期間は異なります。また、花粉の飛散量が少ない日でも症状が強く出たり、飛散が終わった後も鼻や目の不調が残ったりすることがあります。花粉シーズンを少しでも過ごしやすくするには、花粉ごとの飛散時期を知り、早めに対策を始めることが大切です。
この記事では、代表的な花粉の飛散時期、症状が長引く理由、症状を軽くする方法や治療法を解説します。
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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
花粉症|花粉が飛散する時期

スギ花粉はいつからいつまで飛散しますか?
スギ花粉の飛散時期は地域によって異なりますが、一般的には九州・東海・関西で1月〜2月頃に飛散が始まります。その後、関東や東北へと北上し、おおむね4月〜5月頃まで飛散が続きます。北海道では飛散開始が遅く、4月から5月にかけて飛散します。スギ花粉は飛散数が多く、長い期間飛び続けることが特徴です。さらに、春先だけでなく、秋の10月から12月にかけても、わずかですがスギ花粉の飛散が確認されています。秋に花粉症のような症状が出る場合は、秋の雑草花粉だけでなく、少量のスギ花粉が関係している可能性もあります。
ヒノキ花粉の飛散時期を教えてください
ヒノキ花粉は、スギ花粉のピークを過ぎた頃から本格的に飛散します。地域差はありますが、主に関東から九州では3月から5月にかけてピークを迎えます。北海道にはヒノキがほとんど生育していないため、ヒノキ花粉の飛散はありません。ヒノキ科の花粉はスギ花粉と構造が似ているため、スギ花粉症の方がヒノキ花粉にも反応することは珍しくありません。そのため、スギ花粉の時期が過ぎた後も症状が続く場合は、ヒノキ花粉の影響が考えられます。
ブタクサやヨモギの花粉はいつまで飛散しますか?
秋の花粉症の代表的な原因であるブタクサやヨモギなどのキク科の花粉は、主に夏の終わりから秋にかけて飛散します。北海道から九州まで広い地域でみられ、おおむね8月から10月頃まで飛散が続きます。これらの草本花粉は、スギなどの樹木花粉とは異なり、飛散距離が長くないことが特徴です。そのため、原因となる雑草が生えている場所に近づかないようにすると、花粉の吸入をかなり避けやすくなります。秋に鼻や目の症状が強くなる方は、身近にブタクサやヨモギが生えていないか確認しましょう。
花粉症の症状と飛散時期の関係

花粉症は花粉の飛散が終了すれば症状が出なくなりますか?
花粉症の症状は、原因となる花粉の飛散が完全に終われば、基本的には軽くなって消えていきます。ただし、飛散が終わったはずなのに症状が続く場合には、いくつか理由があります。1つは、スギ花粉の後に飛散するヒノキ花粉など別の花粉にも反応している場合です。また、ダニなどによる通年性アレルギー性鼻炎を合併していると、花粉の時期が終わっても症状が続くことがあります。さらに、鼻粘膜の炎症が長引き、副鼻腔炎に移行している場合には、鼻詰まりや粘り気のある鼻水が続くことがあります。症状がなかなか改善しないときは、病院で原因を見直すことが大切です。
花粉症の症状と花粉の飛散量の関係を教えてください
花粉症の症状の強さは、基本的には吸い込む花粉の量が増えるほど強くなる傾向があります。ただし、花粉症にはプライミング効果と呼ばれる特徴があります。これは、シーズン初めに花粉を繰り返し浴びることで鼻粘膜が過敏になり、少ない花粉でも症状が出やすくなる現象です。この状態になると、飛散量のピークを過ぎた後や、飛散の少ない日でも、強い症状が続くことがあります。
花粉症の症状を軽減する方法

花粉症の症状を自分で軽減する方法を教えてください
セルフケアの基本は、原因となる花粉を避けることと、付着した花粉をしっかり取り除くことです。外出時はマスクやメガネを使い、鼻や目に入る花粉を減らします。表面がけば立った毛織物のコートなどは花粉が付きやすいため、できるだけ避けた方がよいでしょう。帰宅したら玄関に入る前に衣服や髪についた花粉を払い落とし、うがいや洗顔で花粉を洗い流します。室内では、花粉の飛散が多い時間帯の換気を短時間にとどめ、空気清浄機を使ったり、こまめに掃除したりして、持ち込まれた花粉を減らすことが症状の軽減につながります。
花粉症で医療機関を受診した方がよいケースはありますか?
市販薬を使っても、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりが改善せず、仕事・勉強・睡眠に支障が出ている場合は、耳鼻咽喉科の受診がすすめられます。また、透明ではなく膿のような鼻水が続く、片側だけ強く鼻が詰まる、頬の痛みや腫れがあるといった場合は、副鼻腔炎など別の病気が関係している可能性があります。さらに、市販の点鼻用血管収縮薬を使いすぎて、かえって鼻詰まりが悪化する薬物性鼻炎になっている場合や、喘息症状を伴う場合も、病院で診断を受けて治療を見直すことが必要です。
医療機関での花粉症の治療法を教えてください
医療機関での治療の主流は、症状や重症度に合わせた薬物療法です。鼻症状に対しては、鼻噴霧用ステロイド薬が治療の中心となることが多く、第2世代抗ヒスタミン薬の内服もよく併用されます。鼻詰まりが強い場合には抗ロイコトリエン薬を組み合わせることもあります。既存の治療で効果が不十分な重症のスギ花粉症患者さんには、IgE抗体を標的とする生物学的製剤(オマリズマブ)の注射治療が選択肢になることもあります。また、鼻の形態異常があり薬が効きにくい場合には、レーザーで鼻粘膜を変性させる治療などが検討されることもあります。
花粉症の症状を完全に抑えられる治療法はありますか?
花粉症に対して、長期的な寛解や治癒が期待できる唯一の根本的治療が、アレルゲン免疫療法です。これは、アレルギーの原因物質を少しずつ体内に取り入れ、免疫を慣らしていく治療です。現在、スギ花粉に対しては、自宅で毎日舌の下に薬を含む舌下免疫療法と、病院で皮下注射を受ける皮下免疫療法があります。効果が出るまでには数ヶ月から1年ほどかかり、効果を定着させるには3〜5年にわたる継続が必要です。ただし、治療終了後も長く症状が抑えられ、薬を大きく減らせる、あるいは不要になることが期待できるため、体質改善を目指す治療法として位置づけられています。
編集部まとめ

花粉症は、原因となる花粉の種類によって症状が出る時期が異なります。スギやヒノキだけでなく、秋のブタクサやヨモギなどが関係することもあります。症状は花粉の量だけでなく、鼻粘膜が敏感になることで長引くこともあります。そのため、早めの治療と、マスクや洗顔、衣類についた花粉を落とすなどの対策が役立ちます。病院では、鼻噴霧用ステロイド薬や抗ヒスタミン薬など、症状に合わせた治療が受けられます。毎年症状が強い方や長引く方は、病院で自分に合った治療を相談するとよいでしょう。