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どこに障害があると「膠原病の余命」に影響がある?日常生活で気を付けることも解説!

 公開日:2026/05/15
どこに障害があると「膠原病の余命」に影響がある?日常生活で気を付けることも解説!

膠原病という言葉を初めて告げられると、これからの生活や将来のことが頭から離れず、不安や戸惑いを抱える方が少なくありません。本記事では、膠原病の余命や治るのかなどの不安に触れつつ、膠原病の経過や治療法、日常でできる工夫をお伝えします。

副島 裕太郎

監修医師
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)

プロフィールをもっと見る
2011年佐賀大学医学部医学科卒業。2021年横浜市立大学大学院医学研究科修了。リウマチ・膠原病および感染症の診療・研究に従事している。

【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
日本リウマチ財団 登録医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
日本臨床免疫学会 免疫療法認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本エイズ学会 認定医
日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本母性内科学会 母性内科診療プロバイダー
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)
インフェクションコントロールドクター
博士(医学)

診療科目
一般内科、リウマチ・膠原病内科、アレルギー科、感染症科

膠原病の余命とは

膠原病の余命とは

膠原病は命に関わる病気ですか?

膠原病は、場合によっては命に関わることがある病気ですが、多くの方が長く付き合いながら生活している慢性の病気でもあります。膠原病は免疫の働きが乱れ、本来は自分を守るはずの仕組みが自分の身体の一部を攻撃してしまう疾患の総称です。

膠原病では関節や皮膚、肺、心臓、腎臓などに炎症が起こります。炎症が主に関節などに限られており、治療により病気の活動性が抑えられている場合には、日常生活を続けられることが多いです。一方で、肺や心臓、腎臓などの重要な臓器に強い障害が起こると、命に関わる経過をたどることがあります。したがって膠原病は命に関わる可能性もある病気ととらえ、専門の医師の適切な治療を受けましょう。

膠原病全体の余命がわかるデータはありますか?

膠原病全体で、ひとまとめの平均余命や生存率を示すデータはありません。膠原病は、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚筋炎・多発性筋炎など複数の自己免疫疾患の総称であり、病気ごとに経過や生命予後が大きく異なるためです。

例えばSLEでは早期診断と治療の進歩により予後が著しく改善し、5年生存率が95%以上と報告されています。一方で、皮膚筋炎・多発性筋炎では間質性肺炎や悪性腫瘍の合併が予後を左右するといわれており、5年生存率がおよそ80%とされています。膠原病の余命を考えるときには、膠原病全体の平均ではなく、自分が診断された病名や臓器の状態について主治医に相談しましょう。

参照:
『全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)』(難病情報センター)
『49 全身性エリテマトーデス』(厚生労働省)
『50 皮膚筋炎/多発性筋炎』(厚生労働省)

膠原病の疾患のなかで余命が短いものはありますか?

膠原病のなかでは、全身性強皮症や皮膚筋炎・多発性筋炎など、一部の病気で余命が短くなることがあります。全身性強皮症では、肺高血圧症や間質性肺疾患、心不全、腎不全や腎クリーゼなどを合併すると死亡リスクが高まり、成人例の5年生存率がおおよそ80-90%、小児発症例で5年生存率89%とされています。皮膚筋炎・多発性筋炎でも、間質性肺炎や悪性腫瘍を合併する場合には生命が危険な状態になることがあり、初発の患者さんのうち約10%が死亡に至ると報告されています。このように、膠原病のなかには予後が厳しくなりやすい病気がいくつか含まれています。余命に大きく影響するのは、肺や心臓、腎臓など臓器障害の有無、程度です。
参照:
『13 全身性強皮症』(小児慢性特定疾病情報センター)
『50 皮膚筋炎/多発性筋炎』(厚生労働省)

膠原病の治療法

膠原病の治療法

膠原病はどのように治療しますか?

膠原病の治療では、免疫の異常な働きを鎮めて炎症を抑える薬物療法が基本です。多くの病気で共通して使われるのが副腎皮質ステロイドで、まずは病気の勢いを抑えるために必要な量を使います。

その後、症状や検査値を見ながら少しずつ減らしていきます。さらに、病気の種類や臓器障害の程度によって、免疫抑制薬や生物学的製剤などをどの程度併用するかが変わります。免疫抑制薬は、暴走している免疫の働きを全体的に弱める薬で、炎症を鎮めます。ステロイドの量を減らす目的でも使われます。

生物学的製剤は、炎症を強くする合図を出してしまう物質をピンポイントで狙い撃ちしてブロックする、より標的を絞った薬です。全身性エリテマトーデスでは寛解導入や維持療法の選択肢として位置づけられています。同じ膠原病でも病名や臓器障害によって使う薬や量、治療のゴールが異なります。自分の病名と状態に合わせて主治医と個別に治療方針を決めていきましょう。

膠原病の疾患の一つである全身性エリテマトーデスに治療法はありますか?

全身性エリテマトーデスの治療では、病気の勢いを抑えて症状や臓器障害をコントロールします。現時点では病気そのものを完全に治すことは難しいものの、適切な治療により寛解と呼ばれる落ち着いた状態を長く保つことは十分に可能です。治療は、まず活動性が高い時期に病気の勢いを抑える段階と、その後のよい状態を維持する段階に分けて行われます。

活動性が高い時期には、炎症を強く抑える副腎皮質ステロイドを中心に、必要に応じて免疫抑制薬を併用して臓器障害の進行を防ぎます。病状が落ち着いてきた段階では、ステロイドをできるだけ減らしつつ、免疫抑制薬や再燃予防にも役立つヒドロキシクロロキンを使ってよい状態を維持します。

さらに、病状や臓器障害の程度によっては、生物学的製剤のベリムマブが追加される場合もあり、これらを組み合わせて一人ひとりの状態に合った治療が行われます。

膠原病の治療に副作用はありますか?

ステロイドや免疫抑制薬、生物学的製剤など、免疫を抑える薬では、肺炎や帯状疱疹などの感染症が起こりやすくなることが重要な副作用として挙げられます。必要に応じてワクチン接種や予防投薬などで感染リスクを下げます。

また、ステロイドの長期使用では骨粗鬆症や消化管障害などが問題となるため、骨粗鬆症治療薬や胃薬を合わせて使うことがあります。さらに、関節リウマチの治療で使われるメトトレキサートでは葉酸製剤を併用して副作用の口内炎や肝障害を予防します。

このように、それぞれの薬ごとに副作用対策が決められています。医師は定期的な血液検査や診察で安全性を確認しながら治療を続けていきます。薬をのまずに病気そのものを放置した場合の臓器障害や生命予後への影響も大きいため、こうした副作用のリスクと治療によるメリットを秤にかけながら薬を使っていきます。

膠原病と日常生活

膠原病と日常生活

膠原病の治療は生涯続きますか?

膠原病の治療が生涯必要かどうかは、病名や臓器障害の程度、治療への反応によって異なり、一律に一生続くとも、必ず中止できるともいえません。今のところ免疫の異常そのものを根本から治す薬はなく、多くの場合薬で免疫の暴走を抑えながら病気と付き合っていく必要があります。そのため、多くの患者さんでは、再燃を防ぐ目的で量を調整しながら治療を長期に続けることが一般的です。

一方で、寛解と呼ばれる落ち着いた状態が長く続いた一部の患者さんでは、慎重に薬を減らしていき中止できる場合もあります。しかし誰もが薬を止められるわけではありません。自己判断で薬をやめると再燃や臓器障害の悪化につながるため、治療を減らしたり終わらせたりしてよいかどうかは主治医と相談して決めましょう。

膠原病の疾患になった人が日常生活で気を付けることはありますか?

病気や薬の影響で感染症にかかりやすくなるため、手洗い、うがい、混雑した場所でのマスク着用、発熱時の早めの受診など、基本的な感染対策をしましょう。また、強い紫外線は病気を悪化させることがあるため、日焼け止めや帽子、日傘を活用しましょう。無理な残業や徹夜、急な激しい運動は控え、疲れ過ぎない範囲で家事や仕事、運動を続けましょう。

さらに、自己判断で薬を中断したり、サプリや市販薬を勝手に追加したりすると、病気の悪化や飲み合わせによる思わぬ副作用につながることがあります。気になることがあれば主治医や医療スタッフに相談してからにしましょう。

膠原病になったらどの程度の頻度で受診が必要ですか?

膠原病の受診頻度は、病気の種類や重さ、治療内容によって大きく異なります。診断されたばかりの時期や、薬を始めた、変更した直後、症状が強い時期には、まずは数週間〜月1回程度の間隔で通院し、症状や副作用をこまめに確認しながら治療を調整していきます。

症状が落ち着き、検査結果なども安定した状態が続いている場合には、主治医と相談しながら1〜3ヶ月に1回程度まで受診間隔をあけられる場合もあります。体調の変化や不安があるときは、予約の有無にかかわらず、早めにかかりつけの医療機関に相談しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

膠原病では、病型や重症度、治療への反応によって経過も余命も大きく異なります。近年は診断や治療薬の進歩により、早期から炎症や免疫の異常を抑えることで、臓器障害を減らしながら長期的に安定した状態を保てる方が増えています。病気と付き合いながら生活の質を保つことを目標に、そのときどきの体調や生活に合った治療法を主治医と一緒に決めていきましょう。

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