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リウマチの初期症状・前兆を医師が解説 関節・手足の違和感はすぐ受診を 早期発見が治療に効果的

 更新日:2024/01/11

近年はリウマチ治療の薬剤が非常に進化し、治療の選択肢も拡大しています。その一方、治療を速やかに進めるには早期発見が重要です。リウマチが発症したらどのような初期症状がみられるのか、「みかわ整形外科クリニック」の三河先生に解説していただきました。

三河 聡志

監修医師
三河 聡志(みかわ整形外科クリニック)

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近畿大学医学部卒業。その後、PL病院、近畿大学医学部堺病院、高村病院で経験を積む。2023年、大阪府大阪市に「みかわ整形外科クリニック」を開院。日本整形外科学会専門医・認定リウマチ医・認定スポーツ医。麻酔科標榜医。

リウマチの初期症状を医師が解説 手足や関節に違和感や痛みがある場合は関節リウマチの前兆かも?

リウマチの初期症状を医師が解説 手足や関節に違和感や痛みがある場合は関節リウマチの前兆かも?

編集部編集部

リウマチについて教えてください。

三河 聡志先生三河先生

簡単に言えば、全身の関節が腫れ、そのまま放置すると関節がこわばったり変形したりしてしまう病気です。自己免疫疾患の1つとされています。

編集部編集部

全身の関節とは、具体的にどの部分に生じることが多いのですか?

三河 聡志先生三河先生

特に多いのは指、手首、足、膝などです。

編集部編集部

リウマチの初期には、どのような症状が出るのですか?

三河 聡志先生三河先生

リウマチの初期症状は関節の炎症と、それに伴う関節のこわばり、腫れ、痛み、熱などです。こわばりは「関節が硬くなって動かしにくい」といった症状を指します。

編集部編集部

それらの症状が1日中続くのですか?

三河 聡志先生三河先生

いいえ。リウマチには症状が出やすい時間帯に特徴があります。例えば、初期症状の関節痛やこわばりは朝起きたときに感じることが多く、「朝のこわばり」とも呼ばれています。また、初期には手指の小さい関節に症状が出ていたのが、病期が進むにつれて肘や膝など大きな関節に症状が出現することもあります。加えて、症状が左右対称に表れるのも特徴の1つです。ただし、これらはあくまでも典型的な例であり、実際は患者さんによって異なります。

リウマチの原因となりやすい人の特徴 40~50代の女性は関節リウマチに要注意?

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編集部編集部

リウマチの原因はなんですか?

三河 聡志先生三河先生

リウマチは自己免疫疾患の1つとされていますが、まだ原因は明らかにされていません。自己免疫疾患とは、免疫の働きに異常が起きて自分自身の組織を攻撃してしまうことによって発症する疾患です。リウマチの場合、なんらかの原因でこのような免疫異常が起きるとされています。

編集部編集部

原因には何が考えられるのですか?

三河 聡志先生三河先生

リウマチが発症しやすいかどうかは、遺伝的な要因が大きく関わっていると考えられます。そのほかには、感染症、過労、ストレスなどの環境因子も原因になると考えられています。

編集部編集部

様々な原因が考えられるのですね。

三河 聡志先生三河先生

そうですね。さらに、近年では喫煙や歯周病もリウマチの発症に関与していることが判明し、注目を集めています。

編集部編集部

リウマチの患者数はどれくらいですか?

三河 聡志先生三河先生

日本のリウマチの患者数は約600万人とされており、特に女性に多く発症することがわかっています。男女比でみると、1:3~5の比率です。また、リウマチ患者の年齢層をみると、どの年代でも発症しやすく、10歳代から20、30歳代にかけて発症数が増加し、ピークは40~50歳代とされています(※)。

※リウマチe-ネット「関節リウマチとは?」
https://www.riumachi.jp/about/ra

編集部編集部

リウマチは高齢者の病気と思っていました。

三河 聡志先生三河先生

発症のピークが40~50歳代であることは間違いありませんが、最近では高齢になってから発症する人も増えています。60歳代以上の高齢者が発症するリウマチを「高齢発症関節リウマチ」と言います。

編集部編集部

リウマチは女性に多く発症する傾向があるのですね。

三河 聡志先生三河先生

はい。男性の場合は30歳代から発症数が増加し、50歳代がピークになります。

関節が痛い…リウマチの症状が出たら何科を受診すべき? どんな治療法・予防法がある? リウマチの対処法を整形外科医が解説

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編集部編集部

リウマチの初期症状がみられたら、何科を受診すればいいのでしょうか?

三河 聡志先生三河先生

関節リウマチの専門医は、主にリウマチ科、膠原病科(膠原病内科)、リウマチ科を標榜している整形外科に在籍していますから、これらの医療機関を受診しましょう。

編集部編集部

リウマチはどのように治療するのですか?

三河 聡志先生三河先生

まずは問診をして、関節の腫れや痛みなどの診察をした後、症状確認と血液検査などをおこないます。そこでリウマチと診断された場合には、飲み薬、注射、リハビリテーション、装具療法を必要に応じておこないます。

編集部編集部

リウマチは治るのですか?

三河 聡志先生三河先生

近年ではリウマチの治療法が大きく進化し、痛みなどの症状がほとんど起こらない「寛解」の状態を目指せるようになりました。治療は「治す」というよりも、この寛解を目標におこなわれます。

編集部編集部

完治ではなく寛解を目指すのですね。

三河 聡志先生三河先生

そうです。寛解とは、簡単に言えば「自覚症状がない」「症状が表に出てこない」という状態のことです。この寛解を目指し、維持するためには、長く治療を継続しなければならないこともあります。

編集部編集部

そうなると、治療は生涯にわたって続くということですか?

三河 聡志先生三河先生

場合によってはそのような必要もありますし、たとえ治療を続けても、症状が進行すれば状態が悪化することも考えられるでしょう。その場合には治療薬を変更したり、組み合わせて治療をおこなったりすることもあります。

編集部編集部

状態が改善すれば治療は中断できるのですか?

三河 聡志先生三河先生

たしかに、中断することもありますが、一般的にはリウマチの治療は長期化することが多いとされています。しかし、現在では治療法が進化し、一人ひとりのライフスタイルに合わせて治療法を選べることが多いので、医師と相談の上、無理のない治療法を選択してください。

編集部編集部

リウマチを予防するにはどうしたらいいのですか?

三河 聡志先生三河先生

原因不明のため、完全に予防することは困難ですが、発症を早期発見し、適切な治療をおこなえば症状の進行を遅らせることはできます。そのため、関節痛やこわばりなどに気づいたら、早めに専門医に相談しましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

三河 聡志先生三河先生

リウマチは早期発見と早期の治療介入が何よりも大切です。症状があるのに放置すると、関節破壊や機能障害が起こることもあり、一度そのような変化が起こると元の状態には戻りません。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。特に「関節が腫れてきた」「関節が痛む」「熱をもっている」などの症状がみられたらリウマチのサインかもしれないので要注意です。

編集部まとめ

関節リウマチは予防が困難とのことでした。しかし、喫煙や歯周病が発症に関わっていることが明らかになっています。「禁煙をする」「口腔内のケアをしっかりおこなう」などで、ある程度は予防することが可能です。自分にできることから予防に努めるとともに、症状がみられたら放置せず、できるだけ早く受診するようにしましょう。

医院情報

みかわ整形外科クリニック

みかわ整形外科クリニック
所在地 〒547-0012 大阪府大阪市平野区長吉六反4-6-13 長吉六反クリニックビル2階
アクセス 大阪メトロ「八尾南駅」 徒歩16分
大阪メトロ「長原駅」 徒歩19分
診療科目 整形外科、リハビリテーション科

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