目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 「糖尿病の人が動脈硬化」になるとどんな病気を発症しやすい?【医師監修】

「糖尿病の人が動脈硬化」になるとどんな病気を発症しやすい?【医師監修】

 公開日:2026/03/26
「糖尿病の人が動脈硬化」になるとどんな病気を発症しやすい?【医師監修】

糖尿病は血糖値が高い状態が続く病気ですが、怖さは血糖だけにとどまりません。血管の内側が傷つきやすくなり、動脈硬化が進みやすくなることで、将来の心筋梗塞や脳卒中、足の血管の病気などにつながることがあります。さらに、高血圧や脂質異常症、喫煙、運動不足などが重なると、血管への負担は増えやすくなります。動脈硬化は自覚症状がないまま進行する場合があり、気付いたときには重い病気として表面化することもあります。一方で、血糖の管理だけでなく、血圧やコレステロール、生活習慣を一緒に整えることで、リスクを下げることができます。

この記事では、動脈硬化と糖尿病の関係、将来のリスク、治療と生活の注意点を解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

プロフィールをもっと見る
【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

動脈硬化と糖尿病の関係

動脈硬化と糖尿病の関係

動脈硬化とはどのような病気ですか?

動脈硬化は、血管の内側が傷つきやすい状態が続き、血管の壁が厚く硬くなって血液の通り道が狭くなる変化です。動脈硬化が進むと血液が流れにくくなり、臓器へ酸素や栄養が届きにくくなります。

動脈硬化で重要なものは、血管の壁にできるプラークです。プラークは、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)などが血管の壁の中へ入り込み、炎症が続くことで育つふくらみです。ふくらみが大きくなるほど血管の内腔が狭くなります。さらに、プラークの表面が傷つくと、血を止める反応が強く働き、血のかたまり(血栓)ができることがあります。血栓が大きくなると血管が急に詰まり、心筋梗塞や脳梗塞などが突然起こることがあります。

糖尿病の方は動脈硬化になりやすいのですか?

なりやすいです。糖尿病は、血糖が高い状態が続きやすく、血管の内側の壁(内皮)がダメージを受けやすくなります。内皮は血管をしなやかに保ち、血液がなめらかに流れる環境を整える役割がありますが、高血糖が続くと働きが弱まりやすく、炎症が起きやすい状態へ傾きます。その結果、LDLコレステロールが血管の壁へ入り込みやすくなり、プラークが育ちやすい土台が作られます。また糖尿病は、生活習慣の影響で血圧や脂質の数値が乱れやすいこともあり、血管への負担が蓄積しやすくなります。

糖尿病が動脈硬化を悪化させることはありますか?

あります。糖尿病は、プラークが作られやすいだけでなく、血管の内皮やその周辺で炎症が長引きやすい点にも関わります。炎症が続くとプラークの性質が変わり、表面が傷つきやすくなることがあります。さらに糖尿病は、血が固まりやすい方向に傾くことがあります。血小板が集まりやすくなったり、血のかたまりを溶かす力が弱まりやすかったりするためです。こうした変化が重なると、血管が詰まる出来事が起きやすくなります。

糖尿病以外の動脈硬化の原因を教えてください

糖尿病以外の原因は、高血圧脂質異常症喫煙運動不足内臓脂肪の増加加齢慢性腎臓病などです。高血圧は血管の壁へ強い負担をかけ、内側が傷つきやすい状態を作ります。脂質異常症はLDLコレステロールが増え、プラークの材料が増えます。喫煙は血管の内側を傷つけ、炎症を起こしやすくします。複数が重なるほど動脈硬化は進みやすいです。

糖尿病の人が動脈硬化になった場合のリスク

糖尿病の人が動脈硬化になった場合のリスク

糖尿病の人が動脈硬化になるとどのような病気のリスクが高くなりますか?

動脈硬化が進むと、血管が狭くなって血流が落ちたり、血管が詰まったりして、臓器が酸素不足になります。代表は心臓の血管が詰まる心筋梗塞狭心症、脳の血管が詰まる脳梗塞です。足の血管で進むと、末梢動脈疾患として歩くとふくらはぎが痛くなる、足先が冷える、傷が治りにくいといったトラブルにつながります。

血糖値を管理できれば動脈硬化も改善されますか?

血糖の管理は大切ですが、それだけで動脈硬化のリスクが十分に下がるとは限りません。動脈硬化は血糖のほかに、血圧やLDLコレステロール、喫煙、体重、腎機能などが重なって進みます。そのため、血糖が整っていても、ほかの項目が高いままだと心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが残ることがあります。

糖尿病で動脈硬化になった場合の治療と生活上の注意点

糖尿病で動脈硬化になった場合の治療と生活上の注意点

糖尿病かつ動脈硬化の場合、動脈硬化はどのように治療しますか?

治療は、血管の状態とリスクを確認したうえで、進行と再発を防ぐ方向で組み立てます。まず糖尿病の治療は、血糖だけでなく心臓や腎臓の状態、低血糖の起こりやすさを踏まえて薬を選びます。そのうえで、脂質異常症や高血圧があるかを確認し、必要に応じて治療を行います。LDLコレステロールが高い場合は脂質を下げる薬を、血圧が高い場合は降圧薬を用い、数値の推移を見ながら調整します。すでに心筋梗塞や脳梗塞などを経験した方は、血のかたまりを作りにくくする薬も併用します。

食生活で気を付けることを教えてください

食事は、血管に負担をかける要素を減らしつつ、続けられる形に整えることが大切です。まず、甘い飲み物や菓子類を日常的にとっている場合は、頻度と量を決めて減らします。次に、主食の量を決め、大盛りにしない、セットのごはんやおにぎりを付けないなど、主食を増やしにくくしましょう。脂質は量だけでなく質も重要で、動物性の脂が多い食事が続くと、LDLコレステロールが上がりやすくなります。揚げ物や脂身の多い肉、バターや生クリーム、加工肉などは取りすぎないようにしましょう。反対に、魚、大豆製品、ナッツ類などを活用し、肉は脂質が少ない部位を選ぶとよいです。塩分が多い食事は血圧を上げやすいので、汁物は量を控え、加工食品や漬物の頻度も減らします。

食事以外に生活のなかで気を付けることはありますか?

運動は血流や代謝に関わるため、続けられる形で取り入れます。急に強い運動を始めるより、歩く時間を増やす、家事や移動のなかで身体を動かす場面を作るなど、日常の活動量を少しずつ増やす工夫を行うとよいです。喫煙は血管の傷みを進めるため、禁煙は効果の大きい対策です。睡眠不足が続くと食欲や血糖の変動が乱れやすくなるため、就寝と起床の時間をそろえることも大切です。糖尿病の方は足の血流低下や感覚の低下が重なると、傷に気付きにくいことがあります。毎日、足先の色、腫れ、傷、靴ずれの有無を確認しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

糖尿病がある方は、血糖が高い状態が続くことで血管の内側が傷つきやすくなり、動脈硬化が進みやすくなります。動脈硬化は、血管の壁にプラークが育ち、血管が狭くなることで血流が落ちます。さらに、プラークの表面が傷つくと血のかたまりができ、血管が急に詰まる場合があります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞、足の血管の病気などの発症につながります。

対策は血糖だけに絞らず、血圧やLDLコレステロール、喫煙、体重、運動習慣などを合わせて整えることが基本です。まず糖尿病の治療は、心臓や腎臓の状態、低血糖の起こりやすさなどを踏まえて薬を選びます。そのうえで、脂質を下げる薬や降圧薬を用いることがあり、状況によっては血のかたまりを作りにくくする薬が検討されます。食事は主食量や脂質、塩分を無理のない範囲で見直し、生活のなかで歩く時間を増やす工夫、禁煙、足の観察を習慣にしましょう。

この記事の監修医師