「B型肝炎の予防接種」を受けないとどうなるかご存知ですか?副反応となる症状も解説!

B型肝炎は、血液や体液を介して感染するウイルス性肝炎です。感染しても症状が出ない場合がありますが、年齢や状況によっては慢性化し、将来の肝硬変や肝がんにつながることがあります。日本では乳児期の定期接種としてB型肝炎ワクチンが位置づけられており、早い時期に必要回数を終えることが重要です。ここでは、接種の考え方とスケジュール、副反応が疑われる場合の対応を解説します。

監修医師:
高宮 新之介(医師)
目次 -INDEX-
B型肝炎予防接種の基礎知識

B型肝炎とはどのような病気ですか?
B型肝炎はB型肝炎ウイルスに感染して起こる、肝臓の病気です。主な感染経路は、感染している方の血液や体液が傷口や粘膜に入ることです。具体的には、性的接触、注射器の共用、医療現場での針刺し事故、出産時の母子感染などが知られています。
感染の経過は大きく二つに分かれます。多くは一過性の感染で回復しますが、感染している状態が続く持続感染は、一般にキャリアとも呼ばれます。持続感染になると慢性肝炎に進展する場合があり、長い年月をかけて肝硬変や肝がんの原因になることがあります。急性肝炎の一部では劇症肝炎のように重症化する場合もあるため注意が必要です。また、B型肝炎は潜伏期間が長い点も特徴です。体調の変化が出た場合でも、直前の出来事と結びつけにくいことがあります。
B型肝炎の予防接種は義務ですか?
日本ではB型肝炎ワクチンは、乳児を対象とした定期接種として実施されています。定期接種は自治体が実施する制度で、対象年齢の間は公費で接種できる場合があります。
一方で、定期接種は強制ではありません。予防接種法は、自治体による接種の勧奨や、対象の方が接種に努めることを定めていますが、接種を受けなかったことだけを理由に、個人に刑罰が科される制度では通常ありません。迷いがある場合は、かかりつけ医や自治体に相談し、メリットと注意点を理解したうえで判断することが大切です。
B型肝炎の予防接種が必要な理由を教えてください
B型肝炎ワクチンは、B型肝炎ウイルスへの感染を防ぎ、感染後に問題になりやすい持続感染を減らす目的があります。特に小さいお子さんは、感染した年齢によって慢性化しやすさが変わることが知られています。乳児期からワクチンで抗体をつけることは、将来の肝臓病リスクを下げるうえで重要です。
厚生労働省の情報では、ワクチン接種による抗体獲得率は40歳までの接種で95%と報告され、3回接種後の感染防御効果は20年以上続くと考えられています。ただし、予防接種を受けても体質や体調によって十分な免疫ができない場合があります。接種歴があるのに感染が心配な場合は、医療機関で検査を含めて相談してください。
また、B型肝炎は家庭内やパートナー間で感染が起こる場合があります。ワクチンで感染を防ぐことは、ご本人を守るだけでなく、周囲への感染を減らすことにもつながります。さらに、医療や介護の現場では血液に触れる機会があり、成人になってからもB型肝炎の予防が重要になる場合があります。
B型肝炎の予防接種を受けないとどうなりますか?
ワクチンを受けていない場合、血液や体液が体内に入る機会があったときにB型肝炎ウイルスに感染する可能性があります。感染すると、発熱やだるさ、食欲低下、黄疸などが出る場合がありますが、症状が目立たない場合もあります。
感染が一過性で終われば回復しますが、持続感染に進展すると、将来慢性肝炎、肝硬変、肝がんにつながる可能性があります。特に乳幼児期の感染は慢性化につながりやすいとされているため、定期接種の対象である間に接種を進めることが重要です。
日常生活では、血液が付着する可能性がある物を共有しないことが基本です。例えば下記のようなアイテムです。
- 歯ブラシ
- カミソリ
- 爪切り
血液が付いた可能性があるものを扱う場合は、手袋を使用し、流水でよく洗い流すなどの対応がすすめられています。日常の注意だけで感染を完全に防げるわけではないため、ワクチンと生活上の対策を組み合わせて考えることが現実的です。
参照:
『B型肝炎ワクチン』(厚生労働省)
『B型肝炎』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
『B型肝炎について(ファクトシート)』(FORTH 厚生労働省検疫所)
『B型肝炎について(一般的なQ&A)』(厚生労働省)
『B型肝炎とC型肝炎の伝播を防ぐために』(厚生労働省)
『予防接種法』(e-Gov法令検索)
B型肝炎|予防接種のスケジュール

B型肝炎の定期接種のスケジュールを教えてください
B型肝炎ワクチンの標準的な接種時期は生後2ヶ月、生後3ヶ月、生後7から8ヶ月の3回です。標準的には、1回目と2回目は27日以上あけ、3回目は1回目から139日以上あけて接種します。母子手帳や予防接種スケジュール表を確認し、体調がよい日に受けましょう。
なお、家族内にB型肝炎ウイルスの持続感染の方がいるなど、感染リスクが高い場合は、出生後早期に接種が行われる場合があります。医師から出生直後の接種について説明があった場合は、自治体の扱いも含めて早めに相談してください。
また、B型肝炎ウイルスに感染している妊娠中の方から生まれたお子さんでは、母子感染予防として免疫グロブリン製剤とワクチンを組み合わせた対応が行われます。この場合は健康保険給付の対象として実施されるため、通常の定期接種と扱いが異なる場合があります。
定期接種の接種時期を過ぎた場合はどうすればよいですか?
B型肝炎の定期接種は原則として0歳の間が対象です。標準的な時期を過ぎても、接種が完了していなければ、途中からやり直すのではなく残りの回数を適切な間隔で接種します。接種間隔や接種量は年齢によって変わる場合があるため、母子手帳を持参して医療機関に相談してください。
1歳を過ぎると定期接種の対象外となる場合があり、その場合は任意接種として費用負担が生じることがあります。ただし、自治体によって助成の有無や取り扱いが異なるため、市区町村の窓口で確認しましょう。
なお、病気の治療などで定期接種を受けられなかった場合は、例外的に接種できる扱いになることもあります。該当しそうな場合は主治医や自治体に相談してください。
大人になってからB型肝炎の予防接種が必要になることはありますか?
乳児期に接種歴がない場合や、抗体が十分でない場合で、感染機会が想定される方は接種がすすめられます。例として、医療や介護に従事する方、血液に触れる可能性がある職場の方、B型肝炎ウイルスに感染している方と同居している方やパートナーの方、流行地域へ渡航する方などが挙げられます。
成人の接種方法は、ワクチンの添付文書に基づき、通常4週間隔で2回、さらに初回から20から24週後にもう1回の3回接種が基本になります。接種前にHBs抗原やHBs抗体などの血液検査で感染歴や免疫の有無を確認する場合があります。HBs抗原は現在の感染の有無をみる検査で、HBs抗体は免疫の目安です。
参照:
『B型肝炎ワクチン』(厚生労働省)
『B型肝炎ワクチンの定期接種が始まります』(厚生労働省)
『予防接種法施行令の一部を改正する政令及び予防接種法施行規則の一部を改正する省令等の公布について』(厚生労働省)
『ビームゲン注0.25mL/ビームゲン注0.5mL 添付文書』(PMDA)
『ワクチンの接種間隔の規定変更に関するお知らせ』(厚生労働省)
B型肝炎予防接種で使用されるワクチンの種類と副反応

B型肝炎の予防接種ではどのようなワクチンが使用されますか?
予防接種で想定される副反応を教えてください
よくみられるものは接種部位の変化です。
- 発赤
- 腫れ
- しこり
- 疼痛
また、全身の反応として次のような変化がみられる場合があります。
- 発熱
- ぐずり
- 眠気
副反応が生じたときはどうすればよいですか?
接種部位の赤みや痛み、軽い発熱などがあり、元気や食欲が保たれている場合は、安静にして経過をみることが多いです。接種部位がつらそうな場合は、衣服でこすらないようにし、必要に応じて冷やすことで楽になる場合があります。
次のような場合は、当日中でも医療機関に連絡することがすすめられます。
- 高熱
- 呼吸困難
- じんましん
- けいれん
- 意識障害
また、定期接種を含む予防接種の後に健康被害が生じ、因果関係が認定された場合は、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度の対象となる場合があります。申請手続きは市区町村が窓口となるため、心配がある場合は自治体に相談してください。
参照:
『B型肝炎ワクチン』(厚生労働省)
『ビームゲン注0.25mL/ビームゲン注0.5mL 添付文書』(PMDA)
『ヘプタバックス(電子添文)』(PMDA)
『予防接種健康被害救済制度について』(厚生労働省)
編集部まとめ

B型肝炎は血液や体液を介して感染し、持続感染になると長期的に肝臓の病気につながる場合があります。日本では乳児期の定期接種としてB型肝炎ワクチンが実施されており、標準的には生後2ヶ月、3ヶ月、7から8ヶ月の3回で完了します。予定から遅れた場合も、残り回数を適切な間隔で接種する考え方が基本です。
副反応としては接種部位の赤みや腫れ、発熱などがみられる場合があり、多くは一時的です。強いアレルギー反応が疑われる症状がある場合は受診が必要です。不安がある場合は、母子手帳を手元に置き、医療機関や自治体に相談しながら進めましょう。
参考文献
- 『B型肝炎ワクチン』(厚生労働省)
- 『B型肝炎』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
- 『B型肝炎について(ファクトシート)』(FORTH 厚生労働省検疫所)
- 『B型肝炎について(一般的なQ&A)』(厚生労働省)
- 『B型肝炎とC型肝炎の伝播を防ぐために』(厚生労働省)
- 『予防接種法』(e-Gov法令検索)
- 『B型肝炎ワクチンの定期接種が始まります』(厚生労働省)
- 『予防接種法施行令の一部を改正する政令及び予防接種法施行規則の一部を改正する省令等の公布について』(厚生労働省)
- 『ビームゲン注0.25mL/ビームゲン注0.5mL 添付文書』(PMDA)
- 『ヘプタバックス(電子添文)』(PMDA)
- 『ワクチンの接種間隔の規定変更に関するお知らせ』(厚生労働省)
- 『予防接種健康被害救済制度について』(厚生労働省)



