目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 病気Q&A(医科)
  4. 「溶連菌感染症の原因」はご存知ですか?感染経路や予防法も解説!【医師監修】

「溶連菌感染症の原因」はご存知ですか?感染経路や予防法も解説!【医師監修】

 公開日:2026/01/17
「溶連菌感染症の原因」はご存知ですか?感染経路や予防法も解説!【医師監修】

溶連菌感染症は、子どもを中心にみられる身近な感染症で、発熱やのどの痛みをきっかけに気付くことが多い病気です。園や学校などの集団生活の場で広がりやすく、家族内で感染が続くこともありますが、なぜ感染が起こるのか、どのような経路でうつるのかについては、十分に理解されていないことも少なくありません。また、日常生活のなかでどのような点に気を付ければ予防につながるのか、自然に治ることはあるのかといった疑問を持つ方も多いと思われます。

この記事では、溶連菌感染症の原因と感染のしくみ、日常生活でできる予防方法、かかった場合に注意したいポイントを解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

プロフィールをもっと見る
【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

溶連菌感染症の原因と感染経路

溶連菌感染症の原因と感染経路

溶連菌感染症の原因を教えてください

溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌という細菌が原因で起こります。この菌は人の喉に感染しやすく、咽頭炎や扁桃炎を引き起こすことが多いのが特徴です。一方で、皮膚に傷がある場合などには、そこから侵入して皮膚感染症を起こすこともあります。溶連菌は人の体内や周囲の環境に存在しており、喉や皮膚の防御機能が弱まったときに感染が成立しやすくなります。

溶連菌感染症はどのように感染するのですか?

主な感染経路は飛沫感染です。咳やくしゃみ、会話の際に飛び散った唾液や分泌物を吸い込むことで、喉の粘膜に菌が付着し感染が起こります。また、感染者の唾液や鼻水が付着した物や環境に触れた手を介して、口元や鼻へ菌が運ばれる接触感染も関係します。人との距離が近い場面や、同じ空間で長時間を過ごす状況では、こうした感染経路が重なりやすく、感染が広がりやすくなります。

溶連菌感染症は物の表面からも感染しますか?

溶連菌は、唾液や鼻水が付着した物の表面に一時的に残存することがあります。そのため、タオルやコップ、食器などを介して間接的にお口へ入る可能性はあります。溶連菌感染症は、会話や咳などによる飛沫を通じた感染が多い一方で、物を介した接触による感染も起こりえます。家庭内や集団生活の場では、人との接触だけでなく、共用物の扱いにも配慮することで、感染リスクを下げることにつながります。

参照:『It’s not just droplets: a systematic review and meta-analysis of the modes of transmission of Group A Streptococcus』(Front Public Health)

子どもに溶連菌感染症が多い理由を教えてください

子どもは免疫の発達が十分ではなく、溶連菌に対する抵抗力が弱い場合があります。また、園や学校などで集団生活を送ることで、近い距離で会話や遊びをする機会が多くなり、感染の機会が増えます。さらに、手洗いや咳への配慮が十分に行えない場面があることも、感染が広がりやすい背景の一つと考えられています。

家族に感染者がいると感染リスクは高いですか?

家族に感染者がいる場合、同じ生活空間で過ごす時間が長くなるため、感染が起こりやすくなります。特に、食事や就寝の場面では距離が近くなりやすく、飛沫や接触を通じて菌が広がりやすい環境です。溶連菌の感染性は発症直後の急性期に強く、急性期における兄弟姉妹の間の感染率は約25%とされており、家庭内での接触が感染につながりやすいことが示されています。

参照:『A群溶血性レンサ球菌咽頭炎警報を解除しました』(広島県感染症・疾病管理センター)

溶連菌感染症の予防方法

溶連菌感染症の予防方法

手洗いは予防効果がありますか?

手洗いは、溶連菌感染症の予防に役立つ基本的な対策の一つです。溶連菌は、喉や鼻に触れた手を介して口元へ運ばれることがあるため、手指を清潔に保つことが感染リスクの低下につながります。外出後や食事前、咳やくしゃみをした後などに、石けんを使って丁寧に洗うことで、手に付着した菌を洗い流す効果が期待できます。

学校など集団生活で注意すべきことを教えてください

学校や保育園などの集団生活では、人との距離が近くなる場面が多く、感染が広がりやすくなります。咳やくしゃみが出る場合には、マスクを着用するなどしてお口を覆い、飛沫が周囲に広がらないよう配慮します。また、体調がすぐれない場合には無理に登園・登校を続けず、様子をみることも感染拡大を防ぐ点で大切です。集団生活のなかでは、一人ひとりの体調管理が周囲の方を守ることにもつながります。

家庭内で感染が広がらないために注意すべきことを教えてください

家庭内では、同じ空間で過ごす時間が長くなるため、感染が起こりやすい状況になりがちです。タオルやコップ、食器などはできるだけ共有を避け、それぞれ専用のものを使用します。室内は定期的に換気を行い、空気がこもらない環境を整えることも役立ちます。また、咳やくしゃみが出る場合には、マスクをするなど周囲への配慮を心がけることが、家庭内での広がりを抑える助けになります。こうした日常的な工夫を続けることが、家庭内感染の予防につながります。

溶連菌感染症で注意したいこと

溶連菌感染症で注意したいこと

溶連菌感染症は自然に治ることがありますか?

溶連菌感染症は、発熱やのどの痛みなどの症状が時間の経過とともに軽くなり、自然に回復したように感じられることのある病気です。実際に、抗菌薬を使用しなくても症状が落ち着くケースもみられます。しかし、症状が改善しても、感染をきっかけとした免疫の反応が続くことで、後になって合併症が起こる可能性があります。そのため、症状が軽くなった場合でも、治療せずに経過をみることにはリスクがあります。

溶連菌感染症を放置するリスクを教えてください

溶連菌感染症を適切に治療せずに経過をみると、炎症が長引いたり、別の病気につながったりすることがあります。喉の感染が強く続くと、扁桃の周囲に炎症が広がる場合があります。また、感染が落ち着いた後、しばらくしてから免疫の反応によって急性糸球体腎炎リウマチ熱といった病気が起こることが知られています。これらは溶連菌感染症に関連してみられる経過であり、治療を行わずに経過をみた場合に起こりやすいと考えられています。

子どもが繰り返し溶連菌感染症にかかるのはなぜですか?

溶連菌感染症は、一度かかったからといって十分な免疫が長く保たれるわけではありません。そのため、別の機会に再び感染することがあります。子どもは集団生活のなかで感染の機会が多く、身近に菌が存在しやすい環境にあります。また、症状が軽い場合や早い段階で回復したようにみえる場合でも、再度感染することがあります。こうした背景から、子どもでは溶連菌感染症を繰り返すことがあり、症状が出た際にはその都度、経過を確認することが大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ
溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌が原因となり、主に喉に感染して発熱や強いのどの痛みを引き起こす病気です。園や学校など集団生活の場で広がりやすく、家族内でも感染が続くことがあります。感染経路の中心は、咳や会話などによる飛沫や、手指を介した接触です。原因や感染のしくみを理解しておくことで、日常生活のなかで意識すべきポイントが整理しやすくなります。

また、手洗いや咳への配慮、物の共有を控える工夫など、基本的な生活習慣が予防につながります。症状が軽くみえる場合でも、自然に治ったように感じるだけで菌が残っていることがあり、放置すると別の経過につながることもあります。子どもでは繰り返し感染することもあるため、その都度、症状の経過を確認し、医療機関で相談する姿勢が大切です。正しい知識をもとに対応することで、周囲への広がりを抑え、落ち着いて経過を見守りやすくなります。

この記事の監修医師