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「溶連菌感染症」を発症すると「出席停止」になる期間はどれくらい?【医師監修】

 公開日:2026/02/04
「溶連菌感染症」を発症すると「出席停止」になる期間はどれくらい?【医師監修】

溶連菌感染症は、子どもを中心にみられる身近な感染症のひとつで、園や学校など集団生活を送る環境で広がりやすい特徴があります。急な発熱や強いのどの痛みが主な症状ですが、症状が軽い場合でも周囲へうつる可能性がある点が、この病気の注意すべきポイントです。そのため、溶連菌感染症と診断された場合には、本人の体調だけでなく、周囲への感染拡大を防ぐ目的から、出席停止の対応が求められます。一方で、「どのくらい休めばよいのか」「熱が下がったら登園・登校してもよいのか」「自宅ではどのように過ごせばよいのか」など、実際の対応については迷いやすい場面も少なくありません。園や学校ごとに対応が異なることもあり、判断に悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、溶連菌感染症で出席停止が必要とされる理由や期間の目安、復帰の考え方、家庭での対応を解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

溶連菌感染症で出席停止が求められる理由

溶連菌感染症で出席停止が求められる理由

溶連菌感染症はどのくらい人にうつりやすいのですか?

溶連菌感染症は、うつりやすい感染症です。原因となるA群溶血性レンサ球菌は、咳やくしゃみ、会話の際に飛び散る飛沫を通じて人から人へ広がります。患者さんと接触した方のうち約18%が感染しており、接触の状況や生活環境によっては13~24%程度まで幅があるとされています。特に発症直後の急性期は感染力が強く、家庭内などの濃厚な接触がある場面では感染が成立しやすくなります。兄弟姉妹の間では約25%が感染することがあり、同じ空間で過ごす時間が長いほど感染リスクが高まります。

参照:
『A群溶血性レンサ球菌咽頭炎警報を解除しました』(広島県感染症・疾病管理センター)
『It’s not just droplets: a systematic review and meta-analysis of the modes of transmission of Group A Streptococcus』(Front Public Health)

症状が軽くても出席停止が必要ですか?

溶連菌感染症は、症状の強さと感染力が必ずしも一致しません。発熱やのどの痛みが軽く、元気にみえる場合でも、喉に菌が存在していれば周囲へうつす可能性があります。特に治療前や治療開始直後は、症状が落ち着いていても感染力が残っていることがあります。そのため、本人が元気かどうかではなく、周囲へ感染を広げる可能性があるかどうかを重視して出席停止が判断されます。これは本人を休ませるためだけでなく、クラスや園全体への感染拡大を防ぐ目的があります。症状が軽い段階で登園・登校を続けると、結果として流行が広がり、欠席者が増えることにもつながります。このような背景から、溶連菌感染症は症状の程度に関わらず、一定期間の出席停止が求められています。

溶連菌感染症で出席停止となる期間と復帰の目安

溶連菌感染症で出席停止となる期間と復帰の目安

出席停止となる期間の目安を教えてください

溶連菌感染症は、抗菌薬による治療を開始してから24時間程度は出席停止とするのが一般的です。これは、治療開始後およそ24時間で感染力が大きく低下すると考えられているためです。そのため、診断を受けて抗菌薬の内服を始めた場合でも、少なくとも翌日までは登園・登校を控える対応が取られます。

参照:『学校において予防すべき感染症の解説〈令和5年度改訂〉』(日本学校保健会)

どのような条件を満たせば登園・登校が可能ですか?

登園・登校の目安は、抗菌薬による治療を開始してから24時間が経過していることと、全身の状態が落ち着いていることです。具体的には、発熱や強いのどの痛みが改善し、食事や水分を無理なくとれる状態であるかが判断のポイントです。また、園や学校によって出席停止期間や復帰時のルールが定められている場合があります。登園・登校を再開する前に、施設ごとの方針を確認しておきましょう。

熱が下がったら登園・登校してよいですか?

発熱が下がることは回復の目安のひとつですが、それだけで登園・登校を判断することはできません。解熱鎮痛薬の影響で一時的に熱が下がっている場合や、のどの痛みなどの症状が残っていることもあります。溶連菌感染症は、熱が落ち着いていても、抗菌薬による治療を開始してから24時間程度は感染力が残る可能性があります。そのため、熱の有無だけで判断せず、治療開始からの経過や全体の症状を踏まえて登園・登校を検討することが大切です。

家庭で行うべき対応と注意点

家庭で行うべき対応と注意点

休んでいるあいだにどのようなケアをすればよいですか?

出席停止中は、まず十分な休養をとり、身体をしっかり休めることが基本です。発熱やのどの痛みがある時期は体力を消耗しやすいため、無理に普段どおりの生活をさせず、静かに過ごせる環境を整えます。食事は、のどへの刺激が少ないものを選び、水分補給をこまめに行うことで脱水を防ぎます。抗菌薬が処方されている場合は、症状が軽くなっても自己判断で中止せず、指示された期間を守って内服を続けることが大切です。これは、再発や合併症のリスクを下げるうえでも重要な点です。

家庭内で感染を広げないためにできる対策を教えてください

家庭内では、家族間の距離が近くなりやすいため、感染が広がりやすい環境です。手洗いをこまめに行い、食事の前後や鼻やのどに触れた後は石けんで洗う習慣を意識します。タオルやコップ、食器は家族で共用せず、個別に管理することで接触による感染リスクを下げることにつながります。また、せきやくしゃみが出る場合には、マスクを着用するなどして飛沫が周囲に広がらないよう配慮します。部屋の換気を定期的に行い、同じ空間に長時間集まりすぎないようにすることも、家庭内での感染拡大を抑える工夫のひとつです。

出席停止解除には診断書が必要ですか?

溶連菌感染症は、出席停止解除に診断書は不要とされることが一般的です。多くの場合、医師の指示や保護者の申告に基づいて登園・登校を再開します。ただし、園や学校の方針によっては、状況に応じて診断書や医師の証明を求められることがあります。そのため、復帰にあたって必要な書類があるかどうかは、事前に園や学校へ確認しておきましょう。診断書が求められない場合でも、治療を開始した日や症状の経過を把握しておくことで、復帰時の説明がスムーズになります。

欠席連絡や復帰時に学校へ伝えるべきことを教えてください

欠席連絡の際には、溶連菌感染症と診断されたこと、治療を開始した日を伝えておくと、園や学校側が状況を把握しやすくなります。復帰時には、抗菌薬の内服を開始してからの経過や、現在の体調について簡単に共有するとよいでしょう。こうした情報共有は、本人の体調管理だけでなく、周囲への配慮という点でも役立ちます。

編集部まとめ

編集部まとめ
溶連菌感染症は、症状が軽くみえても感染力が残ることがあり、園や学校では出席停止が必要とされます。出席停止の期間は、抗菌薬による治療を開始してから一定の時間が経過することを目安とし、発熱の有無だけで判断しないことが大切です。登園・登校の再開にあたっては、治療の経過と全身の状態を踏まえ、園や学校の基準や医師の説明を参考にしましょう。

家庭で過ごす間は、十分な休養と水分補給を心がけ、処方された薬は指示どおり内服を続けることが重要です。また、手洗いや共用物の管理など、家庭内での基本的な感染対策を意識することで、周囲への広がりを抑えることにつながります。家庭と学校が情報を共有しながら対応することで、本人の回復を支え、集団生活への復帰をスムーズに進めやすくなります。

この記事の監修医師