インフルエンザにかかると高熱や喉の痛みで食欲が落ちてしまいがちです。しかし、ウイルスと闘うためにはしっかり栄養をとって体力を回復させることも重要です。本記事では、インフルエンザでつらい症状が出ているときでも食べやすいおすすめの食事、避けたほうがよい食事、そして回復期の食事のポイントについて解説します。
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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
インフルエンザのときにおすすめの食事とは

インフルエンザのとき、どのような食事がおすすめですか?
インフルエンザで高熱が出ている間は消化器も弱っており、固いものを噛んだり飲み込んだりするのも負担がかかります。そのため、消化がよくて、口当たりのやわらかい食事を選ぶのが基本です。具体的には、具材をやわらかく煮込んだ野菜スープや雑炊などです。おかゆに卵を落としたり、雑炊にやわらかく煮た鶏肉や白身魚、豆腐などを加えたりすると、たんぱく質も補えて栄養バランスがとりやすくなります。さっぱりしたものが欲しい場合は、すりおろしたリンゴや果物ゼリーなど喉ごしのよいデザート的な食品も食べやすいでしょう。
喉が痛いときでも食べやすい食事はありますか?
喉に痛みがあるときは、ゼリー状のものやポタージュのように滑らかな食事だと飲み込みやすく、負担が少なくなります。例えば、すりおろした果物や市販のゼリー飲料はのど越しがよくビタミン補給もできます。また、喉がひどく痛む場合には、プリンやアイスクリームのように冷たくて口当たりのよいものも食べやすい選択肢です。ただし、酸味の強い柑橘類の果汁や酢の効いた食品は喉を刺激して痛みを悪化させたり、胃に負担をかけ吐き気が出たりすることもあるため避けましょう。あくまで刺激の少ないなめらかな食事を選ぶことがポイントです。
食欲がなくても食べたほうがよいですか?
高熱で食欲が大きく低下している場合は、無理に固形物を食べる必要はありません。インフルエンザ罹患中は胃腸の働きも弱っているため、嫌々食べるとかえって気分が悪くなったり吐き気が出たりする可能性があります。食事が取れないときには、経口補水液やスポーツドリンク、ゼリー飲料などで水分・電解質や最低限のエネルギー、ビタミン類を補給しましょう。特に、発熱に伴う大量の汗で脱水になりやすいので、水分補給はとても重要です。冷たい飲み物は一時的に飲みやすく感じますが、極端に冷たいものばかり摂ると胃腸を刺激して嘔吐を誘発することもあります。可能であれば常温に近い温度のものを選ぶようにしてください。
インフルエンザのときに水分補給が大切な理由を教えてください
インフルエンザでは高熱による発汗や、場合によっては下痢や嘔吐などで、いつもよりも多くの水分と電解質が失われます。特に、38度以上の高熱が続くと、体内の水分がより失われるため、こまめな水分補給が欠かせません。脱水状態になると全身の機能が低下し、症状の悪化や回復の遅れにつながります。水やお茶だけでなく、ナトリウムなどを含む経口補水液やスポーツドリンクで電解質も補うとよいでしょう。特に、嘔吐や下痢がある場合は通常以上に脱水のリスクが上がるので、食事が摂れなくても水分だけは十分に補給することが大切です。
インフルエンザのときに避けたほうがよい食事

インフルエンザのときは油っぽいものや刺激物は避けるべきですか?
はい。インフルエンザにかかると胃腸の機能が弱っていることもあるため、普段なら問題ない食事でも負担が大きくなります。特に、
消化に時間のかかる脂の多い食べ物や胃腸を刺激する香辛料を使った料理は、症状が回復するまでは控えましょう。
また、食物繊維が多いものも消化に負担をかけやすいので避けたほうがよいでしょう。コーヒーや紅茶などカフェインを多く含む飲み物は、胃を刺激して下痢や吐き気を誘発しやすいため控えた方がよいです。さらに、発熱中はさっぱりした果物を食べたくなることがありますが、酸味の強い柑橘類は胃を刺激して吐き気を促すことがあるため避けましょう。これらの食品は体調が回復してから、少しずつ摂るようにしましょう。
乳製品は避けたほうがよいと聞いたことがあるのですが本当ですか?
乳製品は避けるべきとはいえません。
下痢や胃の不調がある場合は、牛乳やヨーグルトなどの乳製品や氷などの冷たい食べ物は症状を悪化させることがあるため控えたほうがよいです。しかし、症状や体調によっては乳製品が役立つこともあります。
例えば、アイスクリームやプリンは先述のとおり喉が痛いときにも食べやすくカロリー補給源にもなります。症状に合わせて無理のない範囲で消化のよいもの、口当たりのよいものを選ぶことが大切です。乳製品そのものがインフルエンザに悪いわけではありませんので、調子がよければ牛乳やヨーグルトでたんぱく質やカルシウムを補給しても構いません。
嘔吐や下痢の症状があるときの食事のポイントを教えてください
インフルエンザでは人によって嘔吐や下痢を伴うことがあります。このように消化器症状があるときは、胃腸の機能がかなり弱っている状態です。まず優先すべきは水分とミネラルの補給で、吐き気や下痢がひどい間は固形物より経口補水液や薄めたスープなどでこまめに水分を摂り、脱水症状を防ぎましょう。食事を摂れそうな場合でも、いきなり通常食に戻すのではなく温かくて消化のよいものを少しずつ口にすることがポイントです。
インフルエンザ回復期の食事のポイント

インフルエンザが治りかけのとき、どのような食事がおすすめですか?
熱が下がって症状が落ち着いてきた回復期でも、身体はまだ疲れており消化器官も本調子ではありません。解熱直後は引き続き消化のよい刺激の少ない食事を心がけ、
徐々に通常の食事内容に戻していくのがよいでしょう。
食欲が戻ってきたからといって、いきなり脂っこいものやボリュームのある食事をとると弱った胃腸に負担をかけてしまいます。体調に合わせて少しずつ食材の種類や量を増やしながら、数日かけて普段の食事へ戻していきましょう。喉の痛みが引いているなら、生姜湯や薄めの紅茶など温かい飲み物で体を温めつつ食事をとるのもよい方法です。くれぐれも焦らず、胃腸の調子をみながらもとの食生活に戻してください。
栄養バランスで意識したほうがよいポイントを教えてください
回復期には、療養中に崩れてしまった栄養バランスを意識して整えることが大切です。具体的には、たんぱく質やビタミン、ミネラルをしっかり補給することを心がけましょう。特に、病み上がりは筋力も落ちやすいので、毎食少しずつでも良質なたんぱく質を摂るよう意識してください。ビタミン類も免疫機能の回復に欠かせません。これらの栄養素を偏りなく摂るため、回復期には食事の品数を増やしながら主食や主菜、副菜をバランスよく組み合わせるようにしましょう。食べられる量が増えてきたら、生野菜や果物など加熱せずに食べられる食品も取り入れるとビタミンの損失を防げます。
いつから普段の食事に戻してもよいですか?
解熱して体調が安定してから数日かけて、普段の食事へ戻すのが理想的です。個人差はありますが、熱が下がった直後はまだ体力が万全でないため、治った後の数日は消化によい食事を続けるとよいでしょう。具体的には、回復期の初めは前述のような消化によい食事を少量ずつ摂り、問題なければ徐々に量を増やして普段のメニューに近づけていきます。お腹の調子が完全に戻るまで無理は禁物で、通常食に戻すタイミングも人によって違うことを覚えておきましょう。目安としては、平熱に戻り食欲も普通に近づいてきたら、消化によいものから再開してみて問題ないか確認してみましょう。
編集部まとめ

インフルエンザに罹患したときは、症状の程度や回復のスピードに個人差があります。高熱で食欲がないときでも、水分や栄養を少しずつ補給する工夫をし、胃腸に負担をかける食事は避けましょう。症状が重く自力で十分な水分および栄養の補給ができない場合は、早めに医療機関に相談することも大切です。今回ご紹介したポイントを参考に、インフルエンザのときの食事の取り方や回復期の栄養管理を実践してみてください。