「ノロウイルス」に感染したら「出勤停止」になる?何日程度休む必要があるかも解説!

ノロウイルスは感染力が強く、わずか10~100個の粒子でも感染するといわれています。またアルコール消毒や通常の加熱にも耐性があり、冬季を中心に集団感染が発生しやすい厄介なウイルスです。主に経口感染(お口からの感染)により広がり、汚染された食品の摂取や感染者の嘔吐物・便からの飛沫・接触によって周囲に広がります。
ノロウイルスに感染した場合に仕事はどのように対応すべきでしょうか。本記事では、出勤停止のルールや休む期間、職場復帰の条件、自宅療養中の過ごし方などを解説します。

監修医師:
高宮 新之介(医師)
ノロウイルス感染症における出勤停止の基本ルール

ノロウイルス感染症は法律や厚生労働省指針などで出勤停止期間が決まっていますか?
したがって法的な出勤停止措置はありません。
ただし、厚生労働省は飲食店や給食施設など食品を扱う業種において、ノロウイルス感染者を出勤させないよう指導しています。また、会社には従業員に安全な労働環境を提供する安全配慮義務があり、感染拡大を防ぐため会社判断で出勤停止措置を取ることもできます。
なお、万が一職場で集団感染が発生すれば企業イメージの失墜にもつながりかねないため、各企業が独自に厳しい感染対策ルールを設けている場合もあります。そのため、法律で決まっていなくても、勤務先の就業規則や上司の指示により出勤を控える必要が生じる場合があります。
参照:
『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)』(e-Gov法令検索)
『労働安全衛生規則』( e-Gov 法令検索)
ノロウイルスに感染した場合は会社に報告すべきですか?
また、特に飲食業や介護・医療関係の方は感染が判明した時点ですぐに報告し、指示を仰いでください。会社によっては、感染の事実を知った段階で社内消毒やほかの従業員への対策を行う必要があるため、できるだけ早めの報告が望ましいです。
ノロウイルス感染症によって出勤停止などの措置が講じられやすい職種を教えてください
厚労省のマニュアルでも、調理従事者は検便でノロウイルスが陰性と確認されるまで調理業務に就かせないことが望ましいとされています。また、食品工場や食品加工の現場でも同様の措置が取られるでしょう。
さらに、医療機関や介護施設、保育園など、免疫力が低下した高齢の方や乳幼児、患者さんを預かる職場も注意が必要です。こうした現場では、ノロウイルス感染が広がると重篤な事態になりかねないため、従業員本人が感染した場合はもちろん、家族が感染した場合やノロウイルスの患者さんと接触した可能性がある場合でも、従業員が感染していないことが確認できるまで一定期間出勤停止を命じられることもあります。
参照:
『大量調理施設衛生管理マニュアル』(厚生労働省)
『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』(厚生労働省)
家族がノロウイルスに感染した場合はどうすればよいですか?
これは、ノロウイルスには24~48時間程度の潜伏期間があるため、家族が治った直後に自分が発症するおそれがあるからです。特に食品関連や医療・福祉の職場では、家族が回復してから1~2日程度は念のため自宅待機とするルールが設けられているケースもあります。
なお、自宅では家族の吐物やおむつの適切な処理(塩素系消毒の活用)や手洗いの徹底など、二次感染防止の対策をしっかり行ってください。ちなみに、お子さんがノロウイルスに感染して看病のために仕事を休む場合も、数日間休まざるを得ないケースが多いでしょう。会社の規則によっては子の看護休暇など特別な制度が利用できる場合もありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
ノロウイルス感染症で会社を休む場合の期間

ノロウイルス感染症では会社を何日程度休む必要がありますか?
出勤再開の目安を教えてください
出勤を再開する際に、会社に書類を提出する必要はありますか?
ノロウイルスで会社を休んでいる間の自宅での過ごし方

ノロウイルス感染症の症状は何日程度続きますか?
下痢や嘔吐などの症状が辛いときの対処法を教えてください
症状がつらい急性期には、次のポイントに留意して自宅で過ごしましょう。
- 水分補給
- 食事と栄養
- 安静と保温
つらい症状が続き水分補給もできないときは、医療機関を受診しましょう。
編集部まとめ

ノロウイルスは大変感染力が強い反面、症状が長く続くことはあまりありません。適切な対応と休養により多くは数日で回復します。また、今後ノロウイルスに感染しないためにも、日頃から石けんを使った正しい手洗いや食品の十分な加熱調理などの予防策を徹底しましょう。
正しい知識と対策で、自分自身の早期回復と周囲への感染予防に努めてください。万一対応に迷った場合は、早めに主治医や地域の保健所に相談し指示を仰ぎましょう。無理を押して出勤することは自分にも周囲にもリスクが大きいため、必要な休養を取る決断を行なってください。
参考文献



