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「糖尿病」を発症すると「尿の色」はどのように変化する?匂いの特徴も解説!

 更新日:2025/09/12
「糖尿病」を発症すると「尿の色」はどのように変化する?匂いの特徴も解説!

糖尿病という名前には、尿という言葉が含まれています。これは、昔、尿をなめたり乾燥させたりして、糖が含まれているかどうかを調べていた時代の名残です。実際に、尿が甘いことが診断の重要な手がかりとされていました。 では、糖尿病かどうかは、尿の色やにおいをチェックするだけでわかるのでしょうか? 本記事では、糖尿病とはどのような病気なのか、そして尿の性質とどのように関係しているのかを、わかりやすく解説します。

上田 莉子

監修医師
上田 莉子(医師)

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関西医科大学卒業。滋賀医科大学医学部付属病院研修医修了。滋賀医科大学医学部付属病院糖尿病内分泌内科専修医、 京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科医員、関西医科大学付属病院糖尿病科病院助教などを経て現職。日本糖尿病学会専門医、 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医、内科臨床研修指導医

糖尿病の概要

糖尿病の概要

糖尿病はどのような病気ですか?

糖尿病は、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が慢性的に高くなる病気です。これは、インスリンというホルモンの分泌量が不足しているかうまく働かないことが原因で、血糖値を十分に下げられない状態が続くために起こります。

健康な方の場合、血糖値は空腹時で126mg/dL未満、食後2時間ほどで140mg/dL程度まで下がるのが一般的です。 しかし、糖尿病の方では血糖値が高いまま維持されることがあり、特に随時血糖値が600mg/dL以上になるような極端な高血糖状態が続くと、糖尿病ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧状態という、命に関わる重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

また、そこまで極端な数値でなく、軽度から中等度の高血糖状態が長期間続くことでも注意が必要です。慢性的な高血糖は血管の内側の細胞を傷つけ、全身の血管にダメージを与えるため、やがて臓器障害へと進行してしまうことがあります。また、糖尿病はひとたび発症すれば、治癒することはありません。

糖尿病は、血糖値が高い状態が続くことで、全身のさまざまな臓器に障害を引き起こします。これらの障害は糖尿病合併症と呼ばれ、放置すると生活の質を大きく損なったり、命に関わったりすることもあります。

代表的な合併症は次のとおりです。

神経障害 特に足の末梢神経が障害されやすく、初期にはピリピリした痛みや、紙を1枚挟んだような違和感、しびれが出現します。進行すると感覚が鈍くなり、やがて痛みを感じなくなります。

糖尿病性腎症 腎臓の働きが徐々に低下し、最終的には腎不全に至ります。腎臓が機能しなくなると、命をつなぐために人工透析が必要になります。

糖尿病性網膜症 目の奥にある網膜の毛細血管が破れたり詰まったりすることで、出血や細胞の壊死が起こり、視力が低下します。進行すれば失明の危険もあり、糖尿病は日本の失明原因の第3位とされています。

足の壊疽(えそ) 高血糖によって傷の治りが悪くなるうえに、神経障害で怪我に気付きにくくなるため、足の小さな傷から感染が広がり、壊死を引き起こすことがあります。重症化すると足の切断が必要になる場合もあります。

脳梗塞 脳の血管が詰まり、脳の一部が酸素不足になることで発症します。半身の麻痺や言語障害など、重い後遺症が残ることもあります。

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞) 糖尿病の方は、心筋梗塞のような重大な病気でも痛みに気付きにくい傾向があります。発見が遅れると、心臓を栄養する血管がほとんど詰まりかけていることもあります。血管が狭くなる状態が狭心症、完全に詰まってしまうと心筋梗塞となり、命に関わる危険があります。

さらに、糖尿病は以下のようなリスクとも関連しています。

  • うつ病
  • 感染症へのかかりやすさ
  • 認知症の発症リスク
  • がんの発症率の増加

糖尿病の原因を教えてください

糖尿病の主な原因は、次の2つに分けられます。いずれも、血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンが深く関係しています。

  • インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)
  • インスリンの分泌量が不足する

インスリンが十分に働かない、あるいは十分に分泌されないと、身体は血糖値を正常に保つことができません。その結果、血糖値が慢性的に高くなり、糖尿病が進行していきます。

糖尿病による尿の変化

糖尿病による尿の変化

糖尿病になると尿の色はどうなりますか?

糖尿病になっても、尿の色そのものは大きく変化しません。ただし、糖尿病によって多尿となり、脱水が進行すると、尿の色が濃くなることがあります。

匂いの特徴を教えてください

糖尿病になっても、尿の匂いは基本的に大きく変わりません。しかし、多尿や脱水が進むと尿が濃くなり、尿臭が強く感じられることがあります。

糖尿病になると尿の量や回数は増えますか?

はい。糖尿病では、多尿という症状が現れ、尿の量や回数が増加します。 特に、夜間に何度もトイレに行くようになった場合は、糖尿病の可能性に注意が必要です。

糖尿病では、血中の余分な糖を尿として排出するため、尿量が増えます。 その結果、身体は水分を失って脱水傾向となり、喉が渇いて水を多く飲む(多飲)ようになります。これが典型的な症状です。

なお、この時期に糖分を含む飲み物を摂ると、さらに血糖値が上がり、多尿や口渇が悪化するという悪循環に陥りやすいため、注意が必要です。

そのほかにも尿に特徴があれば教えてください

尿の見た目や匂いなどの変化を、五感だけで正確に判断するのは難しいのが実情です。 糖尿病は、前述のような多尿・口渇・多飲に加え、意図しない急な体重減少などで気付かれることが多く、尿の状態だけで病気に気付くのは困難です。

しかし、尿の状態を簡単に調べる道具としてテステープがあります。テステープは、紙コップなどに採った尿に一定時間浸し、色の変化を見ることで尿糖の有無などをチェックできます。糖尿病の初期では空腹時血糖値が正常なこともあるため、心配な場合は食後2時間ほど経ったタイミングでの尿でテステープを試すと、よりわかりやすいかもしれません。

尿に変化を感じたときの受診の目安と病院での検査

尿に変化を感じたときの受診の目安と病院での検査

すぐに病院を受診した方がよい尿の変化を教えてください

尿量が増えたり尿回数が増えたり、特に夜間に何度もトイレに起きるようになったり、極端に喉が渇いたり、1日に何リットルも水分を摂っていることに気付いたりした場合は、糖尿病を発症している可能性があります。 このような症状があるときは、早めにお近くの糖尿病内科の受診が推奨されます。

尿に異変を感じたときは何科を受診すればよいですか?

尿の異常によって受診すべき診療科は異なります。

尿量が増えた場合は、糖尿病の可能性があるため、糖尿病内科の受診がおすすめです。 尿に血が混ざっている場合(血尿)一般内科または腎臓内科を受診してください。

病院ではどのような検査を行いますか?

病院では、まず血液検査で以下を調べます。

  • HbA1c(ヘモグロビンA1c):過去1〜2ヶ月の平均血糖を反映します
  • 血糖値:現在の血糖の状態を把握します

また、糖尿病の合併症の有無や進行状況も評価されます。 さらに、血糖値が高めでも糖尿病と断定できない境界型糖尿病が疑われた場合には、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)を行うことがあります。この検査では、炭酸入りの糖分を含む飲料(甘いサイダーのようなもの)を飲む前と後に、複数回の採血を行い、血糖やインスリンの変化を詳しく調べます。

編集部まとめ

編集部まとめ

糖尿病は、一度発症すると完全に治ることは難しい病気です。 しかし、早期発見と早期治療によって、血糖値を良好に維持し続けることは可能です。 残念ながら、尿の色や匂いなど五感の変化だけで糖尿病に気付くのは難しいのが現実です。だからこそ、日頃から自分の体調の変化に注意を払い、異変を感じたら早めの医療機関への受診が大切です。 糖尿病を早期に発見し、すみやかに治療へとつなげることで、合併症の予防にもつながります。

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