「緑内障の治療法」は何種類あるかご存知ですか?治療中の通院頻度も解説!

緑内障は中高年に多い目の病気で、日本人の失明原因第1位にも挙げられます。しかし、早期に発見し適切に治療を受ければ、生涯にわたり視野と視力を維持できる可能性が高い病気です。本記事では、緑内障とはどのような病気か、典型的な症状や診断までの流れ、そして眼科で行われる治療法の種類と日常生活での注意点を解説します。不安や疑問を一つ一つ解消し、緑内障とうまく付き合っていくヒントにしてください。

監修医師:
栗原 大智(医師)
目次 -INDEX-
緑内障の症状と診断までの流れ

緑内障とはどのような病気ですか?
緑内障は視野が欠ける進行性の病気ですが、初期には自覚症状がほとんどありません。一度障害された視神経はもとに戻らないため、治療の目的は眼圧を下げて進行を止める、あるいは遅らせることです。緑内障と診断されれば、点眼治療やレーザー治療、手術などから現在の状態に合った治療を選択します。
緑内障の症状を教えてください
しかし、病気が進行すると、視野の欠けが拡大し、日常では人や物が急に視界から現れる、つまづきやすくなるなどの変化で気付く場合があります。自覚症状がないからといって緑内障がないとはいえません。
受診してから緑内障と診断されるまでの流れを教えてください
さらに、可能であれば眼底検査で視神経乳頭の形を観察し、OCT(光干渉断層計)検査で網膜神経線維の厚みなどを解析します。視野検査も緑内障診療の基本で、専用の機械で見える範囲の欠損を詳しく調べます。これらの検査結果を総合して、特徴的な視神経乳頭の変化と視野欠損パターンが認められれば緑内障と診断されます。これら検査を一日で行うことはほとんどなく、通常は何度か来院して診断確定をしてきます。
緑内障の治療法

緑内障の治療法の種類を教えてください
緑内障の点眼薬にはどのような効果がありますか?
注意したいのは、点眼を使っても視力や視野が劇的に改善するわけではなく、自覚症状が改善しないことです。あくまで現在の視力や視野を維持するための治療ですので、「効いている実感がない」と自己判断で中止してしまうのはやめましょう。医師の指示どおりに毎日継続して点眼することが何より重要です。
緑内障のレーザー治療について教えてください
もう1つはレーザー線維柱帯形成術(ALTやSLT)といい、隅角にある線維柱帯にレーザーを照射して組織を変性させ、房水の排出を促進する治療です。こちらは開放隅角緑内障という緑内障の一部に効果があります。
レーザー治療はいずれも外来で短時間で行え、痛みもわずかで済むのが利点です。ただし、眼圧下降効果には個人差があり、永続的ではない場合もあります。そのため、レーザー治療後も定期的な眼圧チェックと必要に応じた追加治療が必要になる場合があります。
緑内障の手術はどういったときに選択されますか?
手術をしても視野が元どおりになるわけではなく、あくまで眼圧を下げてこれ以上の視野障害を防ぐことが目的です。緑内障手術の技術革新により成功率は向上してきましたが、合併症のリスクや将来的な効果減弱もありえますので、主治医と十分に相談してタイミングを決める必要があります。手術後も定期検査と必要な追加治療が必要である点は忘れないようにしましょう。
緑内障と診断されたら気を付けること

緑内障の患者さんが日常生活で気を付けることを教えてください
ただし、いくつか避けた方がよい極端な動作もあります。例えば、息を止めて行う過度の筋力トレーニングは一時的に眼圧を急上昇させるおそれがあるため控えましょう。筋トレ自体は問題ありませんが、無理に息をこらえて行う超高負荷の挙上は避け、行う際も呼吸を止めないようにします。
また、頭を長時間低く下げる姿勢は眼圧が上がりやすいため長時間は避けてください。さらに、首をきつく締め付けると頭部への血流が滞り眼圧が上がる可能性があるので、きつ過ぎるネクタイやタートルネックも避けた方がよいでしょう。これら以外は基本的に制限はなく、規則正しい生活と全身の健康管理が結果的に緑内障予防にもつながります。
緑内障の点眼薬を差し忘れたらどうなりますか?
翌日に2回分まとめて点眼するようなことはせず、決められた用法を守りましょう。また、一度に何滴も差しても効果は高まらず、防腐剤による角膜への影響で逆に効果が落ちる可能性もあります。大切なのは忘れない工夫をすることで、スマートフォンのアラームや点眼カレンダーを活用するなどして毎日の点眼習慣を守りましょう。どうしても点眼を忘れがちな方は、医師に申告して対策を一緒に考えてください。
治療中の通院頻度を教えてください
一方、進行期で視野変化が心配な場合や治療変更直後などは毎月受診することもあります。また、視野検査は通常6ヶ月に1回程度(状況によっては3~4ヶ月毎)行い、視野の変化をモニタリングします。レーザー治療後や手術後は直後に頻回に診察し、その後安定すれば徐々に間隔を延ばします。主治医が指示する通院間隔を守り、自己判断で受診を先延ばしにしないよう注意してください。
編集部まとめ

緑内障と告げられると将来の見え方に不安を感じるものですが、正しく恐れて正しく対処すれば過度に悲観する必要はありません。多くの緑内障はゆるやかに進行し、初期であれば点眼治療の継続や生活習慣の見直しによって視野障害を最小限に抑えることができます。大切なのは病気を正しく理解し、早期から対策や治療を行うことです。そして何より、治療を中断しないことが重要です。もし手術が必要な状態になっても、現在の緑内障手術は安全性が高く、適切な時期に行えば視野を大きく残せる可能性が高まっています。定期的に眼科で診察を受けつつ、自分の目と上手に付き合っていきましょう。見えにくさを放置せず、適切な管理と治療で大切な視力を守ってくださいね。




