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【この時期注意】「ヘルパンギーナの潜伏期間」はどれくらいかご存知ですか?

 公開日:2025/08/02
夏場、お子さんが突然高熱を出して機嫌も悪くなり、慌てたことはありませんか?その症状はもしかするとヘルパンギーナかもしれません。

ヘルパンギーナは夏になると子どもを中心に流行するウイルス性の感染症です。手足口病、プール熱と合わせて子どもの三大夏風邪とも呼ばれています。 特に小さな子どもに多くみられ、5歳以下が感染者の90%以上を占めます。症状は突然の高熱や喉の強い痛み、喉にできる小さな水ぶくれ(水疱)が特徴です。

この感染症は感染力が強いため、家族や保育施設、幼稚園などで1人が発症すると、きょうだいやクラス内で広がることも珍しくありません。

本記事ではヘルパンギーナの潜伏期間や発症の前兆、感染力のピークなどについて解説します。正しい知識があれば、突然の発症にも冷静に対処できます。
居倉 宏樹

監修医師
居倉 宏樹(医師)

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浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。

ヘルパンギーナの平均的な潜伏期間と体調

ヘルパンギーナの平均的な潜伏期間と体調

なぜヘルパンギーナには潜伏期間があるのですか?

ヘルパンギーナは主にエンテロウイルスというウイルスによって引き起こされます。エンテロウイルスには数十種類の型があり、なかでもコクサッキーウイルスA群、エンテロウイルス71などがヘルパンギーナの代表的な原因ウイルスです。

これらのウイルスが体内に侵入してもすぐに症状が現れるわけではありません。ウイルスはまず喉の粘膜や腸管の細胞の中に入り込み、静かに増殖を始めます。この段階を感染と呼びます。ウイルスが体内である程度増えた後、免疫の働きによって喉の痛み、発熱といった症状が現れます。この症状が出るタイミングを発症といい、感染から発症までの期間を潜伏期間と呼びます。

潜伏期間中は、体内ではウイルスが増殖を続けながらも、免疫が本格的に反応していない状態です。ウイルスが体内でどれだけ早く増えるか、また免疫がどの程度で反応を起こすかによって潜伏期間の長さに差が出ます。

ヘルパンギーナの平均的な潜伏期間を教えてください

ヘルパンギーナの潜伏期間は2〜4日程度で、多くは4日以内に突然の発熱をもって発症します。発症のタイミングは感染したウイルスの型や感染者の体調などによって多少前後します。

なお、潜伏期間が終わると急な高熱が出るケースが多くみられます。きょうだいが発症している、園で流行しているなど感染が疑われる状況では、数日間は体調の変化に注意をはらいましょう。

ヘルパンギーナの潜伏期間は体調に変化がありますか?

潜伏期間中は自覚症状がないケースがほとんどですが、体内ではウイルスに対する免疫の準備が始まっています。ウイルスに侵入に気付いた免疫が反応を起こし、サイトカインと呼ばれる情報伝達物質が分泌されます。サイトカインの作用により、眠気、軽い倦怠感、食欲不振などのわずかな体調の変化が現れることもあります

こうした免疫反応の感じ方には個人差があります。加えてヘルパンギーナの感染者の多くは乳幼児のため、体調の変化を言葉でうまく伝えられません。そのため、いつもより機嫌が悪い、元気がないといった様子から異変に気付くこともあります。

ヘルパンギーナの潜伏期間における感染力と感染力のピーク

ヘルパンギーナの潜伏期間における感染力と感染力のピーク

ヘルパンギーナの潜伏期間中に他者へ感染しますか?

ヘルパンギーナの感染力は強く、潜伏期間中でも他者に感染する可能性があります。 原因となるエンテロウイルスは感染直後から増殖を始め、発症前でも咽頭や腸から体外に排出されることがあります。 例えば感染者のくしゃみや咳の飛沫を吸い込むことにより、しぶきの中に含まれるウイルスが体内に侵入して感染が成立します(飛沫感染)。

特に幼稚園や保育施設などの集団生活の場は、子ども同士の距離が近く、お口や鼻に触れた手でものを共有する機会が多い傾向です。そのため飛沫感染に加え、接触感染糞口感染も起こりやすい環境にあります。 手洗いの習慣化、おもちゃやドアノブなどのこまめな消毒、定期的な換気といった日常的な対策が感染の拡大防止に効果的です。

ヘルパンギーナの感染力が強い時期を教えてください

感染力が強いのは、症状が最も強く現れている時期(急性期)です。具体的には発熱が始まってから喉の痛みや口内の水疱が強くみられる期間(およそ2〜4日)のことを指します。この期間はくしゃみや咳などの飛沫に多量のウイルスが含まれており、他者への感染リスクが高くなります。

また症状が落ち着いた後も、便からは2〜4週間にわたってウイルスが排出され続ける場合があります。そのため、回復後もトイレの後やおむつ交換の際には丁寧な手洗いや消毒が必要です。家庭内感染を防ぐためにも感染対策を継続して行いましょう。

ヘルパンギーナの潜伏期間後に現れる症状

ヘルパンギーナの潜伏期間後に現れる症状

ヘルパンギーナの潜伏期間後はどのような症状が現れますか?

ヘルパンギーナは数日間の潜伏期間を経て、多くは38〜40度前後の急な発熱により発症します。発熱から間もなく喉の痛みと発赤(ほっせき:赤くなること)、小さな水疱が現れるのが特徴です。水疱は直径1〜2mmほどで、大きいものでは5mm程度になるものもあります。

水疱は数日以内に破れて浅い潰瘍になり、喉に強い痛みを伴います。喉の痛みにより、食欲が低下したり機嫌が悪くなったりする子どもも少なくありません。

まれに発熱によって熱性けいれんを引き起こすことがあるため、発熱中は注意して観察しましょう。

ヘルパンギーナの症状のうち病院に受診した方がよい症状を教えてください

ヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルスは、まれに無菌性髄膜炎、急性心筋炎などの重い合併症を引き起こすことがあります。以下のような症状がみられる場合には、早めに受診を検討しましょう。

  • ぐったりしていて反応が鈍い
  • 水分がほとんどとれずに尿が少ない、お口の中が乾いている
  • 高熱が3日以上続いている
  • 頭痛や吐き気、嘔吐の症状がある
  • けいれんを起こしている

特に脱水は乳幼児にとって重大なリスクです。水分補給ができない場合は早めに医療機関を受診してください

ヘルパンギーナによる発熱や喉の痛みにはどのように対処すればよいですか?

ヘルパンギーナに特効薬はないため、症状に応じた治療を行います(対症療法)。安静と水分補給を基本とし、発熱には必要に応じてアセトアミノフェンなどの解熱剤を使用します。 解熱剤は医師や薬剤師に相談したうえで使用し、市販薬の場合は正しい容量、用法を守りましょう

強い喉の痛みで食事を嫌がる場合は、冷たくて刺激の少ない飲み物(麦茶、イオン飲料)や、ゼリー、プリンなどの喉ごしのよい食べ物がおすすめです。 柑橘系のジュースは酸味が強くお口の中でしみて痛みを強めるので避けましょう。またコップで水分をとるのが難しいときは、ストロー、スプーン、吸い飲み器で少量ずつ与えると水分補給がしやすくなります。

発熱や喉の痛みは徐々におさまっていくのが典型的ですが、水分や食事がとれずにぐったりしている場合は、早めに小児科医に相談してください。不安を感じたときは遠慮せずに医師の判断を仰ぎましょう。

ヘルパンギーナの水疱が消える期間の目安を教えてください

水疱は通常、発症から1週間以内に消失します。

喉の水疱や潰瘍は、発症から3〜7日ほどで自然に軽快します。ただし、その後に喉の痛みが現れるため回復までにはさらに数日かかります。水疱がみえなくなったからといって油断せず、経過を慎重に見守りましょう

痛みが落ち着いて食事や水分が十分にとれるようになってきたら回復のサインです。登園や登校の再開は、解熱後かつ体調が安定してからにしましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ ヘルパンギーナは多くの場合数日で自然に回復する感染症ですが、突然の高熱や強い痛みによる食欲不振で心配になる方も少なくありません。

潜伏期間や感染力のピークなどの正しい知識を持つことで、もしものときにも慌てずに対処できます。特に乳幼児では熱性けいれんや脱水といったリスクもあるため、体調の変化や症状の経過をしっかり観察しましょう。

気になる症状が続くときや、不安を感じたときは遠慮せず、早めに医療機関に相談してください。

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