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「片目だけ結膜炎」になる原因はご存知ですか?日常生活での注意点も解説!【医師監修】

 公開日:2025/08/23
「片目だけ結膜炎」になる原因はご存知ですか?日常生活での注意点も解説!【医師監修】

片目の充血や目やになどの症状があると、結膜炎かどうか不安になる方も多いでしょう。結膜炎とは、白目(結膜)が炎症を起こした状態で、典型的には白目が赤く充血し、目やに(眼脂)が出たり涙が増えたりする病気です。かゆみやゴロゴロした異物感が伴うこともあり、症状によってはまぶたの腫れや発熱・リンパ節腫大を生じることもあります。このように、結膜炎では目の充血・目やに・異物感などが見られ、原因によっては風邪症状や痒みなどを伴うことがあります。本記事では結膜炎の基本的な症状・原因やタイプ別の特徴を解説します。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

結膜炎の基礎知識

結膜炎の基礎知識

結膜炎になるとどのような症状がでますか?

結膜炎になると、まず白目が赤く充血して赤みを帯び、涙が増えたり目やにが出たりします。目のかゆみや異物感(ゴロゴロした感じ)を訴える方も多く、ひどい場合はまぶたの腫れや痛みを伴うこともあります。症状が強いと朝に目が目やにで開けられなくなることもあるため、早めに症状を確認しておきましょう。

結膜炎の原因を教えてください

結膜炎の主な原因は細菌やウイルス、アレルギーなど多岐にわたります。

ウイルス性結膜炎ではアデノウイルス(流行性角結膜炎やプール熱など)が代表的で、感染力が強く人から人へ移ります。

細菌性結膜炎では黄色ブドウ球菌や肺炎球菌などが原因になり、粘り気のある黄色っぽい目やにが多量に出ることが特徴です。

アレルギー性結膜炎は花粉やハウスダストなどアレルゲンによるもので、通常は目のかゆみや水っぽい目やにを伴い、アレルギー性鼻炎などの合併症状も見られます。また、煙やほこりなどの刺激性物質によって一時的に結膜炎様の症状が出ることもあります。

結膜炎の種類によって症状や経過は異なりますか?

結膜炎は大きく細菌性・ウイルス性・アレルギー性に分けられます。

細菌性結膜炎では粘り気のある黄色い目やにが多く、抗菌点眼薬で数日~1週間ほどで改善することが多いです。

ウイルス性結膜炎は感染力が強く、眼脂はさらっとしている場合が多いですが、耳前リンパ節の腫れや風邪症状を伴うこともあります。特効薬はなく、症状のピークは発症後1週間前後で、その後2~3週間ほどかけて徐々に治癒します。

アレルギー性結膜炎は両眼にほぼ同時に症状が出ることが多く、痒みや白っぽい糸を引く目やにを伴います。自然治癒はほとんど期待できないため、原因物質の回避や抗アレルギー点眼薬などで長期的に対処します。

片目だけ結膜炎になる理由と割合

片目だけ結膜炎になる理由と割合

片目だけ発症しやすい結膜炎の種類を教えてください

細菌性やウイルス性などの感染性結膜炎は、通常はどちらか一方の眼から発症しやすい傾向があります。特にウイルス性結膜炎(流行性角結膜炎など)は感染力が強く、一方の目に感染すると数日後にはもう一方の目にも症状が出ることが多いです。一方、アレルギー性結膜炎は病態上、両眼同時に発症することがほとんどですが、ごくまれに片眼だけ先に症状が出る場合もあります。

なぜ片目だけ結膜炎になるのですか?

片眼のみが結膜炎になる主な原因として、感染源への接触の差が挙げられます。例えば、汚れた手や物が一方の目にだけ触れて病原体が侵入した場合、その片方の目だけに炎症が起こります。

また、人によっては左右の目の免疫反応に差があり、片方の目だけが過敏に反応して炎症を起こす場合も考えられます。さらに、コンタクトレンズを片眼だけ装用するなど、左右で目の使われ方が異なることも、片眼に炎症が出やすくなる一因です。

片目だけ結膜炎になる割合を教えてください

残念ながら片眼だけに結膜炎が出る割合に関する公的な統計データは見当たりません。一般的には感染性結膜炎の多くが片眼から始まり、時間差で両眼に広がるケースが多いとされています。一方で、アレルギー性は基本的に両眼一緒に発症することが多いため、片眼だけ起こることはほとんどありません。

片目だけ結膜炎が、もう一方の目に感染するリスク

片目だけ結膜炎が、もう一方の目に感染するリスク

片目だけ結膜炎になるともう一方の目にも感染しますか?

片眼だけ結膜炎になった場合、もう一方の眼にも感染するリスクは病原体によって異なります。ウイルス性結膜炎は感染力がとても強く、通常は片眼の数日後に反対側にも感染しやすいとされます。細菌性結膜炎の場合も、菌が接触感染する可能性はゼロではなく、家族内や同居者で感染する例があります。したがって、片眼に症状が出たときは、対策をしないともう一方にも広がる恐れがある点に注意が必要です。

結膜炎の感染対策を教えてください

感染性結膜炎の予防には、手洗いとタオルの共有回避が最も重要です。目を触った手でドアノブなどを触れないようにし、こまめに石鹸で手を洗いましょう。目やにや涙が出たときには、ハンカチやタオルではなく使い捨てのティッシュで優しく拭い、その都度廃棄します。患者さん自身も、タオルや寝具は他人と分けて使用し、食器類は煮沸消毒するなど衛生管理に努めましょう。また、点眼薬の容器はまつ毛や眼に触れないよう注意し、複数の眼で同じ容器を使い回さないようにします。

片目だけ結膜炎になったときの対処法

片目だけ結膜炎になったときの対処法

片目だけ結膜炎になったときの受診サインを教えてください

片眼に結膜炎症状が出た場合でも、次のような重篤なサインがあるときは早めに眼科を受診してください。

  • 充血が激しくなかなか引かない
  • 目が強く痛む
  • 視力が低下した
  • 粘く黄色い膿のような目やにが大量に出ている
  • 耳前リンパ節の腫れや発熱を伴う

特に、強い目の痛みや見えにくさは治療をしないと治らない角膜炎などの可能性もあります。また、粘く黄色い膿のような目やにが大量に出ている場合には、放っておくと黒目(角膜)に穴が開いてしまう淋菌や緑膿菌に伴う症状の恐れもあります。これらの症状を認める場合は速やかに眼科を受診するようにしましょう。

片目だけ結膜炎になったら病院ではどのような治療を行いますか?

医療機関では結膜を詳しく診察し、必要に応じて感染源(細菌かウイルスか)の検査を行います。細菌性結膜炎と診断された場合は抗菌薬の点眼が基本で、多くは1週間以内に症状が改善します。

ウイルス性結膜炎では特効薬がなく、主に抗炎症剤の点眼で対症療法を行います。ウイルスを排除するまで通常2~3週間程度かかるため、角膜炎(混濁)が起こった場合はステロイド点眼で治療することもあります。

アレルギー性結膜炎では抗アレルギー点眼薬を使い、重症例ではステロイドや免疫抑制剤の点眼を併用します。点眼薬でなかなか症状が改善しないときなどは、内服薬や舌下免疫療法などをすすめられることもあります。

片目だけの結膜炎になったときの注意点をおしえてください

片眼だけであっても自己判断で目を触ったり、こすったりしないようにしましょう。コンタクトレンズを使用している場合は、結膜炎の治癒まで装用を中止します。市販の結膜炎用目薬にもさまざまな種類があり、なかには抗菌薬成分を含まないものもあるので注意が必要です。特にウイルス性結膜炎が疑われるときは、点眼薬は症状のある片眼だけに使用し、反対の眼には点眼しないように指示されます。同居家族への感染を防ぐためにも、タオルは共用せず、ティッシュやこまめな手洗いなどで接触感染を徹底的に防ぎましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

片眼だけの結膜炎であっても、症状を放置すると反対側の眼に感染が拡大したり、角膜への炎症が進むリスクがあります。まずは目の症状が出たら早めに手洗いや清潔管理を徹底し、必要に応じて眼科を受診してください。適切な治療を受けることで治癒を早め、周囲への感染拡大も防ぐことができます。自宅で対処する際も自己判断は避け、症状に応じた点眼やケアに努めることが大切です。

この記事の監修医師