「高血圧の薬」にはどんな種類がある?副作用となる症状も解説!【医師監修】

高血圧は、生活習慣病のなかで最も患者さんの数が多いといわれている、たいへん身近な病気です。高血圧の治療では、血圧を下げる薬が処方されることがあります。
「薬の種類がたくさんあってよくわからない」
「副作用が心配」
「一生飲み続けなければならないの?」
といった疑問や不安を持つ方も多いでしょう。本記事では、高血圧の基礎知識から、治療薬の種類と効果、副作用などを詳しく解説します。

監修医師:
上田 莉子(医師)
目次 -INDEX-
高血圧の基礎知識

高血圧の基準を教えてください
なお、診断基準としては診察室の値だけではなく、家庭での血圧の値も定められています。家庭で測定する血圧を家庭血圧とよび、収縮期血圧が135mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上を高血圧と診断します。
血圧が高い状態が続くと弊害がありますか?
日本では、高血圧が原因で、毎年およそ10万人が脳や心臓の病気で亡くなっていると推定されています。高血圧は、脳や心臓の病気で亡くなる方の原因のなかで最も多いといわれています。高血圧は、初期には自覚症状がほとんどなく、気付かないうちに動脈硬化が進行し、たいへんな合併症を引き起こす可能性があります。
高血圧の治療と治療薬の役割

高血圧にはどのような治療法がありますか?
- 減塩(1日の塩分摂取量を6g未満に制限する)
- 食事療法(野菜・果物を積極的に摂取する)
- 体重管理(適正体重を維持する)
- 運動療法(有酸素運動などを習慣的に行う)
- 禁煙・節酒(喫煙の完全禁止、アルコールは適量以下にとどめる)
特に減塩が重要とされており、日々の食生活で塩分を制限する必要があります。また、野菜や果物の摂取も推奨されていますが、腎機能に問題のある方は注意が必要です。
生活習慣の改善だけでは目標血圧に達しない場合、薬による治療が行われます。また、血圧140/90mmHg以上で過去に脳や心臓の病気があった方、糖尿病がある方などは、当初から薬による治療の併用も検討されます。血圧を下げる薬を降圧薬(こうあつやく)と呼び、さまざまな種類があります。
高血圧の治療における薬の役割を教えてください
高血圧の治療における薬の役割は、高血圧から血管や臓器を守ることです。また、生活習慣の改善は降圧薬の効果を高めるため、薬を使っている患者さんでも引き続き減塩や運動などの生活習慣の改善に取り組むことが推奨されています。降圧薬によって血圧を下げると、脳卒中や心疾患のリスクが低下することが示されており、その意味でも薬の役割はたいへん大きいといえます。
高血圧治療薬の種類と効果

高血圧の治療薬にはどのような種類がありますか?
- カルシウム拮抗薬
- ACE阻害薬
- ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
- 利尿薬
- β遮断薬
- α遮断薬
さらに、最近ではARNIという新しいタイプの薬が、高血圧の治療の選択肢となっています。これらの薬剤はそれぞれ特徴があるため、医師が患者さんの血圧の状態や合併症の有無を見ながら選択し、ときには複数を組み合わせて治療を行います。
高血圧の治療薬の種類別に効果を教えてください
カルシウム拮抗薬(きっこうやく)は、血管を広げて、全身の血圧を下げる薬です。日本で最も多く使われる降圧薬で、治療の初期からよく使われます。
ARBは、アンジオテンシンⅡという血管を収縮させる物質の働きを阻害します。これにより、血管を広げて血圧を下げます。ACE阻害薬は、体内でアンジオテンシンⅡがつくられるのを防ぎます。これにより血管を広げて血圧を下げます。ARBとACE阻害薬は心臓や腎臓を守る働きもあるため、心不全や腎臓病がある方によく使われます。
利尿薬は、腎臓の働きを助けて体内の余分な塩分や水分を尿として排出します。血管内の水分量(循環血液量)を適正に保つことで血圧を下げます。むくみのある方にも使われることがあります。
β遮断薬は、心臓の拍動の回数や強さをおさえることで血圧を下げる薬です。また、緊張したときに働く交感神経の作用をおだやかにすることで、心臓や血管の負担を減らす効果もあります。
ARNIは、ARBに加え、ネプリライシン阻害薬という成分が一つになった薬です。ネプリライシンは、血管を広げたり、塩分や水分を排出したりするホルモンを分解する酵素です。
ネプリライシンを阻害することで、これらのホルモンの作用を保つことができ、血圧をより強力かつ持続的に下げる効果が期待されます。これまでの薬で十分な効果が得られなかった方などにとって、新たな選択肢となることがあります。
高血圧の治療薬に副作用はありますか?
カルシウム拮抗薬では、手足のむくみや顔のほてり、動悸、頭痛が起こることがあり、長く使う方のなかには歯茎の腫れを認めることがあります。ARBは、血液の中のカリウムが増えすぎることがあります。ACE阻害薬では、乾いたせきが出ることが多く、頭痛や身体のだるさ、そして顔や口の急な腫れ(血管浮腫)を起こす場合があります。
利尿薬は、脱水が起こりやすいとされています。β遮断薬は、心拍がゆっくりになることで疲れやすく、めまいも起こりやすくなることがあります。これらの症状、もしくはそのほかに気になる症状があれば、必ず主治医に相談するようにしましょう。
高血圧治療薬との付き合い方

高血圧治療薬は生涯飲み続ける必要がありますか?
基本的には高血圧の治療薬は飲み続けることになりますが、条件が整えば、医師の指導のもとで減薬や休薬を行うこともあります。軽度の高血圧で、かつ治療の前に臓器の障害が出ていない方で、以下の条件を満たす場合に検討されることがあります。
- 適正な生活習慣を継続する
- 血圧を定期的に確認する
血圧の定期的な確認は、毎日測定して記録するのがよいでしょう。日本高血圧学会ガイドラインでも、こうした条件を満たす場合に限って休薬を考慮できるとされており、それ以外のケースでは原則として薬物治療の継続が推奨されています。なお、血圧は季節で変動がみられ、夏に血圧が低下する患者さんでは一時的に血圧の薬を減量、もしくは中止を考慮する場合があります。これもあくまで一時的な対応になります。
高血圧治療薬を飲み忘れたときの対処法を教えてください
高血圧治療薬の服用以外に日常生活で気を付けることはありますか?
また、家庭血圧を毎日測定して記録するようにしましょう。できれば朝晩など違う時間帯の記録をつけるとよいでしょう。病院の受診の際には、その記録を持参しましょう。
編集部まとめ

高血圧の治療は、薬での治療だけでなく生活習慣の改善もたいへん重要です。減塩など食生活を見直し、適度な運動を取り入れ、適切な体重を維持することで、薬による血圧コントロールの効果を大きく高めることが期待できます。高血圧によって動脈硬化が進行すると重大な合併症を引き起こします。生活習慣の改善と薬を上手に組み合わせることで、血圧を適切にコントロールし、動脈硬化の進展を防ぎましょう。




