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「食中毒」になると「何時間後」に体調が悪くなるかご存知ですか?【医師監修】

 更新日:2025/08/21

食中毒というと冬場に発生するイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、実際には年間を通して発生する身近なものです。2024年に発生した食中毒は年間1,037件で、患者数は14,229人です。

ひとくちに食中毒といっても、原因はさまざまで、原因物質によって症状も異なります。この記事では、食中毒の症状や原因、予防法について解説します。「食中毒が流行する前に知識をつけておきたい」「もしかしたら食中毒の症状が出ているかも」といった方の参考になれば幸いです。

居倉 宏樹

監修医師
居倉 宏樹(医師)

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浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。

食中毒の症状や原因

虫眼鏡をもつ男性医師

食中毒になるとどのような症状が出ますか?

食中毒の原因となる物質にもよりますが、嘔吐や下痢といった症状が一般的です。ノロウイルスを原因とする食中毒では、腹痛や発熱を引き起こすこともあります。一方で、A型肝炎ウイルスなど肝炎を引き起こす食中毒もあり、症状はさまざまです。
また、食中毒の原因となる物質を摂取したからといって、症状が出るわけではありません。健康状態がよかったり、原因となる物質の摂取量が少なかったりする場合は、明確な症状が出ないこともあります。
しかし、無症状でも他人へ感染を広げてしまうリスクがあります。そのため、手洗いやうがい、手指消毒などの対策はもちろん、普段から十分な睡眠を確保し、ストレスをためない生活習慣を身につけておくことも食中毒の対策になります。

食中毒の原因となる細菌を教えてください。

食中毒の原因となる細菌は複数存在しています。主な細菌としては、日本で特に多い原因菌であるカンピロバクターや、腸管出血性大腸菌O157などがあります。その他にも、食中毒を引き起こす可能性のある細菌は以下のとおりです。

  • サルモネラ
  • 黄色ブドウ球菌
  • 腸炎ビブリオ
  • ウェルシュ菌
  • セレウス菌
  • ボツリヌス菌
  • リステリア

細菌によって好む環境が異なるため、気をつけるべき食品はさまざまですが、生肉や十分に加熱されていない食品には注意が必要です。生食を避けつつ新鮮な食べ物を使用することや十分に加熱した食品を食べること、手指消毒の徹底が効果的でしょう。

食中毒の原因となるウイルスを教えてください。

食中毒を引き起こすウイルスのなかで代表的なのはノロウイルスです。ほかにもA型、E型肝炎ウイルスが挙げられるでしょう。特にノロウイルスによる食中毒は、年間の食中毒患者数のうち40.6%におよびます。冬場に多く発症し、感染力がとても強く、10~100個程度の少量のウイルスでも発症するため、大規模な食中毒を引き起こしやすい点も特徴です。細菌を原因とする食中毒と異なり、食品を介した感染だけでなく、感染者との接触でも感染する可能性があります。また、アルコールではノロウイルスを不活化できず、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効です。そのため、看病する際は、嘔吐物の処理に十分注意が必要です。手指消毒はもちろん、感染者が使用していた寝具や食器の消毒も効果があります。

細菌やウイルス以外で食中毒が発症するケースを教えてください。

細菌やウイルス以外が原因で食中毒を発症するケースとしては、主に動物性や植物性の自然毒や寄生虫が挙げられるでしょう。動物性の自然毒としては、フグ毒や貝毒などがあります。これらの自然毒は加熱しても毒性が失われないため、生産地や提供者をよく確認してから食べるようにしましょう。自然採取した魚や貝に含まれている可能性もあるため、禁漁区域で採取された魚や貝を食べないことも有効な対策です。また、植物性の自然毒としては毒キノコや有毒植物があります。食用のキノコや野菜と誤認する事故も発生しており、スイセンやイヌサフランをニラやタマネギと誤認するケースが報告されています。食用と判断に迷う植物を安易に食べないことが重要です。寄生虫の場合は主にアニサキスやクドアが原因となります。どちらも冷凍や加熱で死滅するため、生食を避けたり十分に加熱したりすることで対策できます。また、アニサキスの場合は目視で確認できるため、調理前や食前によく確認するとよいでしょう。

食中毒は何時間後に体調が悪くなる?

便座に座る女性

食中毒になると何時間後に体調が悪くなりますか?

自覚のないまま、あるいは誤って食中毒の原因となる食べ物をお口にした場合、症状が出るまでの時間は原因物質によって異なります。フグ毒や毒キノコの場合は、およそ食後20〜30分ほどで症状が現れることが一般的ですが、腸管出血性大腸菌O157など潜伏期間が1週間におよぶものもあります。食中毒が疑われる症状が出た場合、数時間〜1週間以内に食べたものを、受診時に医師へ正確に伝えるようにしましょう。

食中毒の症状はどのくらい続きますか?

症状が続く期間についても、原因となる物質によってさまざまです。一般的には数日〜1週間程度で回復するケースが多いですが、重症化した場合は回復までにさらに時間がかかることもあります。例えば、ウェルシュ菌は軽度な症状で収まる場合が多く、1日程度で回復します。腸炎ビブリオやノロウイルスであれば2〜3日程度で回復することがほとんどです。一方で、サルモネラ菌は回復までに4〜5日かかるほか、重症化すると2週間程度発熱が続くこともあります。重症化させないためにも、早めに病院を受診するとよいでしょう。

食中毒の治療方法や予防法

手を洗うエプロン姿の女性

食中毒で医療機関へ行く目安を教えてください。

下痢や嘔吐、激しい腹痛など食中毒が疑われる症状が見られる場合は、速やかに病院を受診することを推奨します。食中毒の症状によって水分が取れない場合や呼吸器に異常が見られる場合は、重症化が懸念されます。楽観視せず、場合によっては救急車を呼ぶことも検討が必要です。また、安易に市販薬を使用してしまうと、食中毒の原因物質が身体外に排出されるのを阻害してしまう恐れがあります。食中毒の恐れがある場合は、市販薬に頼らずに病院での診断を受けましょう。病院を受診する場合は、数時間〜1週間以内に食べた物を伝えることが重要です。特に、直近お口にした生物や自主採取した食べ物があれば、医師に伝えましょう。もし余裕があれば、検便のために便を採取しておくと原因の特定に役立ちます。医師は、食中毒と診断したら速やかに保健所へ届け出る必要があります。そのため、同じ食事をした方にも症状が出ている場合は、集団食中毒の可能性もあるため医師に伝えましょう。

医療機関での治療方法を教えてください。

食中毒の原因物質によって治療方法が異なるため、原因物質を特定することから始めます。もし、食中毒の原因に心当たりがある場合は、医師に伝えるとスムーズです。原因物質が特定できたら、症状に応じて治療内容が異なりますが、一般的には脱水症状を防ぐための点滴や、細菌が原因である場合には症状や重症度に応じて抗菌薬の投与などが行われます。

食中毒を予防するポイントを教えてください。

まずは、原因となる細菌やウイルスを家庭や調理場に持ち込まないことが重要です。こまめな手洗いやうがいを習慣づけることが有効です。持ち込んでしまった細菌やウイルスを増やさないように、食品を適切に管理し、調理器具を消毒することで予防になります。動物性や植物性の自然毒を避けるためには、入手経路が明確な食品を選ぶことも、有効な予防策の一つです。自分で採取した魚介類や野生の植物を食べる場合は、十分に知識がある方の判断を仰ぐことが重要です。

食中毒予防のための調理時の注意点を教えてください。

食中毒予防に効果的なのは、十分に食材を加熱することです。食材の中心部が75度で1分以上の加熱が目安です。また、食材を購入してから帰宅するまでや冷蔵庫での保管時に十分に冷却されていない場合は、食材が傷んでしまうことがあります。保冷剤や保冷バッグを使用したり、冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は-15度以下を保ったりといった工夫をするとよいでしょう。調理時は手指消毒を行ってから調理をしたり、生物がほかの食材と触れないようにする注意が必要です。少しでも食材が傷んでいると感じた場合には、迷わず廃棄しましょう。食事の際にも、手指消毒を行ってから食事をし、温め直す場合は75度以上で1分間加熱するなどの工夫が効果的です。

編集部まとめ

ポイント

食中毒はとても身近な病気で、季節に関係なくかかる可能性があります。症状は軽微なものから重篤なものまでさまざまですが、水分が取れなかったり呼吸器に異常が見られたりする場合は速やかに医師の診察を受けましょう。

また、食中毒の主な感染経路は食品です。新鮮な食べ物を十分に加熱してから食べる、採取ルートのわからない食べ物を食べないなどの対策が効果的です。もちろん、こまめな手洗いうがいや手指消毒も効果があります。

毎日お口にするものだからこそ、十分に注意を払うことが大切です。

この記事の監修医師