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「逆流性食道炎」を発症したら「食事」はどんなことに注意した方がいいの?【医師監修】

 公開日:2025/04/09
「逆流性食道炎」を発症したら「食事」はどんなことに注意した方がいいの?【医師監修】

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで炎症を引き起こす病気です。胸やけや喉の違和感、呑酸などの症状が現れ、放置すると悪化することもあります。

本記事では逆流性食道炎になったら食事ではどのようなことに気をつけるとよいのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 逆流性食道炎になったら食事ではどのようなことに気をつけるとよいのか
  • 逆流性食道炎になりやすい方
  • 逆流性食道炎の治療法

逆流性食道炎になったら食事ではどのようなことに気をつけるとよいのかについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

プロフィールをもっと見る
群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

逆流性食道炎について

逆流性食道炎について

逆流性食道炎とはどのような病気ですか?

逆流性食道炎とは、胃酸や胆汁が食道へ逆流し、粘膜を傷つけることで炎症を引き起こす病気です。

代表的な症状には胸焼け、呑酸(酸っぱいげっぷ)、胸の不快感などがあり、放置すると食道の粘膜にびらんや潰瘍が生じることもあります。

この病気は、食道に炎症が見られない非びらん性逆流症(NERD)と、粘膜にびらんができる逆流性食道炎に分けられます。

原因として、胃酸の過剰分泌、食道下部括約筋の緩み、食生活の乱れ、肥満、姿勢の影響などが挙げられます。

治療には、胃酸分泌を抑える薬の服用や、食事の改善、寝る姿勢の調整が有効とされています。

症状が続く場合は、消化器医師の診察を受けることが重要です。

逆流性食道炎になる原因を教えてください

逆流性食道炎は、胃と食道をつなぐ下部食道括約筋の機能低下により、胃酸が逆流して食道を傷つけることで発症します。

主な原因として、肥満、喫煙、食生活の乱れ、ストレス、睡眠不足が挙げられます。脂っこい食事、カフェイン、アルコール、チョコレート、辛い食べ物、酸性の食品は括約筋を弛緩させ、逆流を促進します。食後すぐに横になる、就寝前の食事も逆流を引き起こしやすくなります。

また、ストレスや睡眠不足は胃酸の分泌を増やし、症状を悪化させる要因となります。近年、食生活の欧米化やピロリ菌感染率の低下も胃酸の分泌を増やし、発症リスクを高めています。

生活習慣を改善することが予防につながります。

逆流性食道炎の症状を教えてください

逆流性食道炎の主な症状は、胸焼け、呑酸(酸っぱいものが上がってくる)、食後の胸やみぞおちの痛みです。胃酸が食道に逆流することで、食道粘膜が刺激され、焼けつくような不快感や痛みを引き起こします。

さらに、胃酸がのどまで上がることで、のどの違和感、声のかすれ、慢性的な咳が現れることがあります。これらの症状は就寝時に悪化しやすく、胃液の逆流が原因で気管支喘息、中耳炎、肩こり、背部痛、お口の苦み、寝汗などを引き起こす場合もあります。

胃酸を抑える薬で症状が改善することもあるため、持続的な不快感がある場合は医師の診察を受けることが重要です。

逆流性食道炎の診断・検査について教えてください

逆流性食道炎の診断には内視鏡検査が有効とされ、食道の炎症やほかの疾患との鑑別に役立ちます。

内視鏡では、びらんの有無や重症度を評価し、食道裂孔ヘルニアやバレット食道の確認も行います。
また、PPIテストは高用量の胃酸抑制薬を短期間使用し、症状が改善するかを評価する方法です。

さらに、胃酸の逆流を詳細に調べるために24時間pHモニタリング検査が実施されることもあります。

食道内圧検査では、食道の運動機能や括約筋の状態を測定し、病態を詳しく評価します。

症状が続く場合や、治療効果が乏しい場合は、精密検査を受けることが推奨されます。適切な診断と治療のために、消化器医師の受診が重要です。

逆流性食道炎になりやすい方について

逆流性食道炎になりやすい方について

逆流性食道炎のリスクが高まる食事を教えてください

逆流性食道炎のリスクを高める食事には、高脂肪食、酸性食品、刺激物、アルコールやカフェインを含む飲料などがあります。

高脂肪食は消化に時間がかかり、胃酸の分泌を促し逆流しやすくなります。特に揚げ物、バターを多用した料理、ファストフードは注意が必要です。

また、チョコレート、ミント、カフェイン、アルコールは下部食道括約筋を弛緩させ、逆流を促進します。
トマトや柑橘類などの酸性食品も胃酸の影響を強め、症状を悪化させる可能性があります。

さらに、食べ過ぎや早食い、就寝前の食事は胃に負担をかけ、胃酸の逆流を引き起こしやすくなります。

食生活を見直すことが、症状の予防と改善につながります。

逆流性食道炎のリスクが高まる生活習慣について教えてください

逆流性食道炎のリスクを高める生活習慣には、姿勢や体型に関わる要因が大きく影響します。

長時間の前かがみ姿勢(庭仕事やデスクワーク)や猫背は、胃を圧迫し胃酸の逆流を促します。また、腹部を締め付ける服やベルトを着用すると胃の圧力が上がり、逆流を引き起こしやすくなります。

さらに、肥満は腹部の脂肪が胃を圧迫するため、食道への胃酸逆流を助長します。
妊娠も同様に腹圧の増加によってリスクが高まります。加齢による姿勢の変化や背中の曲がりも逆流を引き起こしやすくする要因です。

適切な姿勢を意識し、胃に負担をかけない生活習慣を心がけることが、症状の予防と改善につながります。

逆流性食道炎とストレスは関係がありますか?

逆流性食道炎とストレスには深い関係があります。

胃酸の分泌は自律神経によって調整されていますが、ストレスがかかると胃酸の分泌量や分泌タイミングが変化し、逆流性食道炎を引き起こしやすくなります。

さらに、ストレスによって食道の過敏性が高まることで、少量の胃酸の逆流でも強い不快感を感じる場合があります。

ストレスは胃炎や胃潰瘍の原因になるといわれていますが、逆流性食道炎の発症や悪化にも影響を与えることがわかっています。そのため、趣味や適度な運動、十分な休息を取り入れ、ストレスを溜め込まないよう心がけることが重要です。

ストレス管理をすることで、症状の軽減や予防につながります。

逆流性食道炎の治療法

逆流性食道炎の治療法

逆流性食道炎になった場合、食事ではどのようなことに気をつけるとよいですか?

逆流性食道炎の食事では、消化によい食品を選び、胃酸の分泌を抑えることが重要です。

主菜には脂の少ない鶏ささみや白身魚、豆腐を使い、調理法は煮る・蒸す・ゆでるなど油を控えた方法を選びましょう。

キャベツやレタス、ブロッコリーに含まれるビタミンU(キャベジン)は胃酸の分泌を抑えるため、積極的に摂ることがおすすめです。

一方で、香辛料の多い料理、高脂肪食、甘いもの、酸味の強い食品は胃酸分泌を促進するため避けるべきです。

また、麺類は空気を飲み込みやすいため控えめにし、早食いを避けてよく噛むことで胃への負担を軽減できます。

さらに、食後2~3時間は横にならず、腹八分目を心がけることが症状の悪化を防ぐポイントです。

逆流性食道炎の薬物療法について教えてください

逆流性食道炎の治療では、胃酸の分泌を抑える薬の服用が基本となります。

主にプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーが処方され、これらは胃酸の分泌を抑え、食道粘膜の炎症の改善を目指します。特にPPIは効果が期待でき、症状が改善する患者さんが多いとされていますが、服薬を中断すると再発しやすいため、医師の指示に従い継続的に服用することが重要です。

また、胃の働きを助ける消化管運動機能改善薬や、ストレスの影響を軽減する抗不安薬や漢方薬が補助的に使用されることもあります。

症状がPPIに反応しない場合は、PPI抵抗性胃食道逆流症と診断され、追加の治療が検討されます。

適切な薬を継続することで、症状の緩和と再発防止が期待できます。

逆流性食道炎の手術療法について教えてください

逆流性食道炎の治療では、まず薬物療法や生活習慣の改善が基本となります。
しかし、これらの対策を行っても症状が改善しない場合や、食道の狭窄や出血が繰り返される場合には、手術が検討されます。

手術の目的は、逆流を防ぎ、症状を改善し、生活の質(QOL)を向上させることです。特に、内科的治療で効果が不十分な場合や、バレット食道・食道狭窄・食道裂孔ヘルニアがある場合には、手術が適応される可能性があります。

代表的な手術法には、胃の上部を食道に巻き付けて逆流を防ぐ腹腔鏡下噴門形成術があります。ただし、手術には入院や合併症のリスクも伴うため、医師と相談し慎重に検討することが重要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

逆流性食道炎は、食生活や生活習慣の見直しで症状を和らげることができます。消化によい食事を心がけ、食べ過ぎや刺激の強い食べ物を避けることが大切です。

また、就寝前の食事を控え、適度な運動を取り入れることで症状の改善が期待できます。
症状が続く場合は、自己判断せずに受診し、適切な治療を受けましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで逆流性食道炎になったら食事ではどのようなことに気をつけるとよいのかについてお伝えしてきました。
逆流性食道炎になったら食事ではどのようなことに気をつけるとよいのかについて、要点をまとめると以下のとおりです。

  • 逆流性食道炎の症状を和らげるためには、食事内容と食べ方に注意が必要である。高脂肪食や酸性食品、刺激物、アルコールやカフェインを避け、消化によい食品を選ぶとよい。 また、早食いや食べ過ぎを控え、就寝前の食事は避けることが重要である
  • 逆流性食道炎は食習慣や生活習慣、体型などが影響する。高脂肪食や刺激物の摂取、肥満、喫煙、アルコールの過剰摂取はリスクを高める。長時間の前かがみ姿勢、腹部を締め付ける服装、妊娠、加齢も原因となるため、適切な食事や姿勢の見直しが予防に役立つ
  • 逆流性食道炎の治療は、食事改善・薬物療法・手術療法が中心である。消化によい食事を選び、刺激物を避けることが重要。薬物療法ではPPIやH2ブロッカーが使用され、症状が改善しない場合は手術が検討される

逆流性食道炎は、食事や生活習慣の改善で症状を軽減できます。適切な食事管理や姿勢の見直し、ストレス対策を意識することが大切です。症状が続く場合は医師に相談し、適切な治療を受けましょう。

本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師