~実録・闘病体験記~ 子宮頸がんは男性も無関係ではない「HPVワクチンをもっと知ってほしい」

公開日:2022/01/11
~実録・闘病体験記~ 子宮頸がんは男性も無関係ではない「HPVワクチンをもっと知ってほしい」

子宮頸がんは女性が発症する疾患ですが、実は男性も深く関係する病気です。闘病者のAIさん(仮称)は「自分や子供たちが将来悲しい思いをする前に、HPVワクチンを接種してほしいし、その存在が広まってほしい」と、自身の経験から訴えます。今回は出血を契機に子宮頸部腺がんが判明し、手術とリハビリを乗り越えて経過観察中の彼女に、治療内容と闘病中の心理面について話を聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年9月取材。

AIさん

体験者プロフィール
AIさん

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さいたま市在住、1983年生まれ。結婚し1児の母。診断時の職業は内装設計士。2021年に不正出血から子宮頚部腺がんが発覚。子宮と卵巣摘出(広汎子宮全摘術)および骨盤内リンパ節郭清術を受ける。結果は再発リスク中程度だが、セカンドオピニオンを受けて主治医と相談し、追加治療はせず、3か月ごとの定期検診を受けながら、仕事と育児に励んでいる。

楯 直晃

記事監修医師
楯 直晃(リアラクリニック 院長)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

出血が続くため検査を受けて発覚した

出血が続き、検査を受けて発覚した子宮頸がん

編集部編集部

はじめにどのような違和感があったのでしょうか?

AIさんAIさん

産後しばらく、性行為後に出血することがありました。ただ、生活に支障はなく、最初は「産後だから?」とあまり気にしなかったのですが、ある日びっくりするぐらい出血したので、婦人科に行きました。

編集部編集部

病院ではどのような検査を受けましたか?

AIさんAIさん

内診の結果、「表面が荒れてちょっと気になる部分があるため、子宮頸がんの検査もしましょう」という話になり、細胞を取って(細胞診)2週間後に結果を聞かされる予定でした。ところが2週間も経たないうちに病院から電話があり、「結果が早く出たので聞きに来ませんか?」と。いつも混んでいる病院が早く聞きに来いとは何ごとかと思い、その日のうちに行きました。

編集部編集部

どのような結果でしたか?

AIさんAIさん

子宮頸がんで、しかもあまり良くない「腺異型」または「腺がん」かもしれないので、がん専門の病院での二次検診が必要と言われました。その時はまだ実感ありませんでしたね。

編集部編集部

コロナの影響で、なかなか予約が取れなかったそうですね。

AIさんAIさん

コロナ禍のため、二次検診は2か月後でした。検診までの間に時間があったので、ネットで色々と調べました。子宮頸がんは発症まで5〜10年ぐらいかかり、異型が中等度までなら経過観察、高度なら一部を切り取る手術で済むらしいと書いてあったので、私もきっとそのぐらいで済むとたかをくくっていました。

編集部編集部

二次検査は、どのような結果でしたか?

AIさんAIさん

やさしい雰囲気の先生が内診で態度が一変し、「見た目でステージIB2期のがんが疑われ、手術前提になります」とその場で言われました。初診日のうちに病理検査、胸部レントゲン、採血、採尿をし、CT、MRI、腹部レントゲン、肺機能検査の予約を取りました。

子宮頸がんを知ってからの心境

子宮頸がんを知ってからの心境

編集部編集部

病名を告知された時、どのような心境でしたか?

AIさんAIさん

すべての検査結果から、「子宮頚部腺がんステージIB2期」と告知されました。人生で全く予期せぬ出来事でしたし、「がん=死」というイメージもあったので、「まさか私が? 私は死んでしまうの?」と毎日泣いていました。まだ小さい子どもの将来を想像し、その時に私はいないかもと悲観的になりました。

編集部編集部

それはかなり辛かったでしょうね。

AIさんAIさん

とにかく情報が欲しくて毎日ネットやSNSを見て一喜一憂し、感情の起伏がとても激しかったですね。

編集部編集部

当初、治療方針はどう説明されましたか?

AIさんAIさん

「まず広汎子宮全摘術(子宮と両卵巣の切除)と骨盤内リンパ節郭清をし、摘出したリンパ節の病理検査で転移を確認します。追加治療が必要であれば放射線治療や抗がん剤治療を行います」と言われました。

編集部編集部

術後の治療方針はどうなっていますか?

AIさんAIさん

術後の検査で転移はなかったのですが、再発リスクは中程度でした。セカンドオピニオンも受け、家族や主治医と相談した結果、追加治療はせず、3か月おきの検査で再発や転移の有無を確認しています。

編集部編集部

治療にはどのような薬を使いましたか?

AIさんAIさん

主に手術後は鎮痛剤、尿の出をよくするための「エブランチル」、排便を促すための「マグミット」と「ピコスルファート」、ホルモン補充のために「エストラーナテープ」が処方されました。

排尿障害と便秘

排尿障害と便秘

編集部編集部

術後のリハビリがストレスだったそうですね。

AIさんAIさん

手術後は、痛みでまず一週間はまともに歩けませんでした。しかし腸閉塞のリスクがあるため、たくさん歩かなければならずとても辛かったですね。また切除部位の関係で膀胱の神経を損傷し、尿意を感じづらくなくなりました。自尿を出す訓練として、1日6回、夜中も起きてトイレに行きました。自尿が少ないと退院できないため、ストレスでしたね。

編集部編集部

術後は仕事復帰に影響しましたか?

AIさんAIさん

告知から手術、退院するまで、ちょうど子供の育児休暇中でした。当初の予定通りに復帰し、リモートで時短勤務をしています。おかげで病気による業務への影響はありません。ただ、打ち合わせなどで電車に乗る時は、混雑を避けた時間に乗車できるよう設定していただいています。

編集部編集部

治療中に心の支えとなったものは、何でしたか?

AIさんAIさん

家族や友人はもちろんですが、SNSで繋がった同病の方とのやりとりも支えでした。些細な感情の起伏や不安に共感し、同時期に手術や治療を受けた方とは一緒に頑張った仲間です。過去に治療した「先輩方」の励ましも嬉しかったですね。

編集部編集部

やはり不安が大きくなりますよね。

AIさんAIさん

告知から手術までの間が一番辛かったです。がんの進行度や転移の有無は、手術しないとわからないため、自分に今後どれだけの治療があるのか、どれだけ生きられるのか、とにかく不安しかありません。追加治療をしても仕事復帰ができるのか、金銭的負担など現実的問題もたくさんありました。

編集部編集部

もし昔の自分に声をかけるとしたら、どんな助言をしますか?

AIさんAIさん

「自分がいつまでも健康であるとも、自分に病気が起こらないとも限らない。子宮頚がんに限らず、受けられる検診はすべて受けるべき」ですね。

現在は同じ悩みに寄り添う交流を

現在は同じ悩みに寄り添う交流を

編集部編集部

現在の体調や生活はどうですか?

AIさんAIさん

まだ尿意が鈍く、尿を出しきることが出来ません。くしゃみ、咳、走るなどをすると尿漏れをします。また常に便秘があります。それ以外は以前の生活と特に変わらず過ごしています。

編集部編集部

心理面では落ち着きましたか?

AIさんAIさん

心理面も落ち着き、将来にも悲観的にならずにいられています。また、闘病記録として現在も継続してインスタグラムに投稿しています。同じ病の方から不安な気持ちのメッセージが届くので、自分の経験を踏まえて、気持ちに寄り添う交流を心がけています。

編集部編集部

子宮頸がんを意識していない方へ、一言お願いします。

AIさんAIさん

性交渉で感染するため、男性にも関係があり、この病気と無関係の人はいないと思います。子宮頸がんを予防できるHPVワクチンもあるのです。自分や子供たちが将来悲しい思いをする前に、ワクチン接種をしてほしいし、その存在が広まってほしいですね。

編集部編集部

医療関係者に伝えたいことはありますか?

AIさんAIさん

今回この大病を経験したことで、より尊敬の念が強まりました。本当に感謝しかありません。

編集部編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

AIさんAIさん

今生きているこの瞬間が奇跡で、当たり前の日々が何より尊いと思います。自分、そしてそばにいる人すべての命が尊いと理解しあう社会であってほしいですね。

編集部まとめ

今回は子宮頸部腺がんを経験されたAIさんにお話を伺いました。自分は大丈夫、と思わずに検査を受けることの重要性を伺いました。また、告知後は将来についての様々な不安が出てきます。SNSなどで同じ病気で悩む方との交流が、これら不安の解決に必要であると感じました。