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「インフルエンザによる出席停止期間」はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/01/27
インフルエンザに感染した場合の出席停止期間|小学生以上の場合・幼稚園児や保育園児の場合を解説

冬はインフルエンザが流行する季節です。季節性インフルエンザは日本では毎年年末から流行し始め、1月下旬~2月にかけてピークを迎えます。

インフルエンザは風邪と症状が似ていますが症状がより強く、感染力にも大きな差があります。特に学校や幼稚園・保育園は密閉された部屋に人が密集するので、集団感染につながる危険性もある場所です。

集団感染を防ぐために学校や幼稚園・保育園では出席停止期間が設けられています。この記事ではインフルエンザに感染した場合にどの程度の出席停止期間が必要か解説します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

インフルエンザに感染した場合の小学生以上の出席停止期間

小学校のグラウンド

インフルエンザによる小学生以上の出席停止期間を教えてください。

学校保健安全法によるとインフルエンザにかかったときは発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで出席停止とされています。これは小学校に限らず、中学校・高等学校・大学なども同様です。発症とは発熱を指し、潜伏期案は含まれません。また5日間には学校が休みのときの土曜日や日曜日・祝日も含まれます。なお出席停止期間ですが、医師が病状の診断から感染の恐れがないと判断した場合はその限りではありません。

インフルエンザによる出席停止は法律で定められているのですか?

インフルエンザによる出席停止は法律によって定められています。学校保健安全法第十九条には感染症に対しての出席停止の期間の基準が設けられており、インフルエンザ十九条二のイの項にあたります。学校保健安全法とは学校における児童生徒等および職員の健康の保持増進を図るため、学校における保健管理に関し必要な事項を定めたものです。この法律では学校とは、学校教育法第一条に規定された学校をいいます。具体的には幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・大学および高等専門学校です。

インフルエンザの日数の数え方を教えてください。

学校保健安全法によるとインフルエンザにかかったときは発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで出席停止とされています。このときの日数の計算方法ですが、発症した日や解熱した日は日数に数えません。例えば日曜日に発熱して水曜日に熱が下がり始めた場合、解熱した翌日の木曜日と金曜日の2日間が経過した土曜日から登校が可能です。では火曜日に熱が下がり始めた場合はどうでしょうか。水曜日・木曜日の2日間が経過した金曜日から登校可能としたいところですが、この場合全体の経過日数が問題になります。ここでいう発症した後とは、発熱した日の日曜日を含まないため、月曜日から開始して5日間の経過が必要になります。そのため出席可能日はやはり土曜日となる計算です。

登校する際には治癒証明書を提出しなければなりませんか?

登校する際に治癒証明書は不要です。インフルエンザの陰性の証明は一般的に困難であり、医療機関に証明書を求めると過剰な負担をかけてしまいます。そのため学校が生徒に対して治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくなく、提出の必要はありません。学校保健安全法の定める発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過した後は問題なく登校可能です。また医師に診断により登校の許可が出た場合はそれより早くても大丈夫です。ただし治癒したと思っていてもウイルスがまだ身体の中に残っている可能性はあるので、登校の際にはマスクなど人に感染させないための対応はしましょう。

インフルエンザに感染した場合の幼稚園児・保育園児の出席停止期間

熱を測る子どもとお母さん

インフルエンザによる幼稚園児・保育園児の出席停止期間を教えてください。

インフルエンザによる幼稚園児・保育園児の出席停止期間は発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまでとなっています。小学生以上より1日経過日数が増えていますが、これは年齢の小さな子どもではインフルエンザウイルスの排泄が長期に続きやすい医学的な知見からです。また小さな子どもは病気に対しての抵抗力が少なく、いったん解熱しても再度発熱する可能性があります。ほかの子どもへの感染拡大防止だけでなく、かかった子どもの健康を守る点でも適切な考えです。

インフルエンザによる幼稚園児・保育園児の出席停止期間を教えてください。

インフルエンザによる幼稚園児・保育園児の出席停止期間は発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまでとなっています。小学生以上より1日経過日数が増えていますが、これは年齢の小さな子どもではインフルエンザウイルスの排泄が長期に続きやすい医学的な知見からです。また小さな子どもは病気に対しての抵抗力が少なく、いったん解熱しても再度発熱する可能性があります。ほかの子どもへの感染拡大防止だけでなく、かかった子どもの健康を守る点でも適切な考えです。

発症後5日以内に熱が下がっていても登園してはいけませんか?

医師による意見書が必要な場合があります。保育所における感染症対策ガイドラインによると診断は診察に当たった医師が身体症状および検査結果などを総合して、医学的知見に基づいて行うものとされています。抵抗力の少ない幼児は再度発熱する可能性もあり、解熱したからと簡単に登園させるのは危険です。そのため医師の診察を経て、そのうえで問題ないと判断されれば登園は可能になります。ただ小学生以上のインフルエンザよりも1日多く経過日数を増やしている以上、できれば長く安静期間を設けたいのが本音です。余裕があれば幼児は5日間ゆっくりと休ませてから登園させましょう。

きょうだいがインフルエンザにかかったら幼稚園・保育園を休ませるべきですか?

どちらがよいとは一概にはいえません。きょうだいがインフルエンザにかかった場合の対応は幼稚園・保育園によってもさまざまです。園児も休ませるように指示するところもあれば、園児が元気なら登園に問題はないとしているところもあります。親御さんが園児のお迎えに行った場合にインフルエンザにかかった子どもが一人きりになるようなら一緒に休ませた方がよいですし、そうでないなら病気から離れる意味で登園する方がよい場合もあります。ご自身の都合と通っている幼稚園・保育園の方針に合わせて相談し、判断しましょう。

インフルエンザの初期症状やケア方法

CHECK

インフルエンザの潜伏期間はどのくらいですか?

インフルエンザの潜伏期間は一般的に1~3日です。潜伏期間中は陽性反応が出ないため知らない間に人にうつしたり、うつされたりする可能性があります。潜伏期間中や発症直後はまだインフルエンザウイルスの数が少ないですが、それでも発症1日前からは人にうつりやすいといわれています。周りにインフルエンザを発症している方がいなくても、人と会うときは念のためマスクなどの予防対策をしておくのが賢明です。

インフルエンザの初期症状を教えてください。

インフルエンザにかかると突然38度を超える高熱が出現します。高熱に併せて筋肉痛や関節痛が現れ、全身のだるさや倦怠感も強くなります。そして喉のイガイガ感や咳・くしゃみなど気管支系の症状が続くのが特徴です。一般的な風邪と比べて、一つ一つの症状がかなり強く出てきます。風邪とは逆に鼻水やくしゃみの症状は最後に現れるので、急に高熱が出た場合は風邪よりもインフルエンザを疑った方がよいでしょう。

子どもがインフルエンザにかかった場合の自宅でのケア方法を教えてください。

まずは少しでも早く回復するように安静にさせるのが重要です。食欲は落ちているでしょうが、少しでも栄養価の高いものを食べさせると抵抗力の増加につながります。高熱により汗も大量にかくので水分補給も重要になります。インフルエンザウイルスは湿度が苦手なため、定期的に空気の入れ替えをしたり加湿器を使用するのも有効です。また子どもがインフルエンザにかかった場合は早く完治させる・周りに感染させない点だけでなく、異常行動に対しての注意も必要です。抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無にかかわらず、発症後に以下のような異常行動を取る可能性があります。

  • 突然立ち上がって部屋から出ようとする
  • 興奮して窓を開けてベランダに出て、飛び降りようとする
  • 自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない
  • 人に襲われる感覚を覚え、外に飛び出す
  • 変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る

転落などの事故に至るおそれのある重度の異常行動は、就学以降の小児・未成年者の男性の報告が多く、発熱から2日間以内に発現することが知られています。保護者は、少なくとも発病から2日間は子どもから目を離さないように心がけましょう。また一戸建ての場合は1階に寝かせるなどの対策も有効です。

編集部まとめ

コップを持った子供
大人でもかかるとつらいインフルエンザですので、抵抗力の低い子どもさんならなおのこと大変です。数日にわたり高熱を出しているのを見たら不安にもなります。

インフルエンザにかかってからの対策も大事ですが、できるだけかからないように予防をしっかりとするのが大切です。

マスクの装着も大事ですが、普段からの手洗いうがいなど親御さんが見てあげられる部分は注意して見てあげましょう。

この記事の監修医師