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「老眼」になるとどんな「見え方」になるかご存知ですか?セルフチェック法も解説!

 公開日:2025/01/06
「老眼」になるとどんな「見え方」になるかご存知ですか?セルフチェック法も解説!

老眼は、加齢によるピント調節機能の衰えにより起こります。高齢になればいつかは老眼になるだろうと考えている方は多くいるでしょう。

老眼は眼鏡やコンタクトレンズでの矯正ですむ場合もありますが、状態によっては手術が必要となることもあります。

老眼の症状は40歳頃から現れ、近くのものにピントが合わず見えづらくなります。見え方が変わってきて、老眼ではないかと悩んでいる方の参考になれば幸いです。

柿崎 寛子

監修医師
柿崎 寛子(医師)

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三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科

老眼の原因や症状

目がぼやけて画面が見にくい女性

老眼の原因を教えてください。

老眼になる原因は加齢に伴い、近くのものにピントを合わせる機能が衰えるためです。目のなかには、カメラのレンズの役割をする水晶体があり、遠くのものや近くのものを見るためにピント調整をしています。近くのものを見るときは、水晶体を吊り下げている毛様体小帯という繊維がゆるんで、水晶体を厚くして近くのものにピントを合わせます。しかし、加齢とともに水晶体が固くなるため、水晶体の厚さを変えることができなくなり、近くのものにピントが合わせられなくなるのです。

何歳くらいから老眼になるケースが多いですか?

老眼は加齢による生理現象のため、一般的に40歳頃から見づらさを感じ始め、45歳くらいで老眼鏡が必要と感じる方が多い傾向にあります。また、普段から細かい手作業やパソコン作業などで目を酷使している方は、早く老眼の症状を感じる傾向があるようです。この他、20代などの若い世代でもスマートフォンやタブレットの普及によりスマホ老眼と呼ばれる症状が起こることがあります。日常生活でスマートフォンやタブレットは生活のツールとして、なくてはならないアイテムになりました。長時間画面を見続けることで、スマートフォンやタブレット以外のものにピントが合わなくなる症状が起きてしまいます。老眼は近くのものが見づらく感じる症状ですが、スマホ老眼は近くにあるスマートフォンやタブレット以外が見づらくなるので老眼とは異なります。老眼もスマホ老眼も症状はピント調節機能の低下ですが、老眼の原因は加齢によるためでスマホ老眼の原因は長時間目を酷使し続けることによる眼精疲労です。どちらも老眼と名前はつきますがスマホ老眼は一時的な症状の場合が多く、長時間見続けないように休憩を取ったり、画面との適切な距離を取ることで予防ができます。

老眼をセルフチェックする方法はありますか?

老眼をセルフチェックする方法として、以下のような項目があります。

  • 近くの細かい字が読みづらい
  • 近いものと遠いものなど離れた場所を見るときに、すぐにピントが合わずぼやけて見える
  • 少し暗くなると本などの字が読みづらくなる
  • 本を読んでいて、ふと目を上げると窓の外の景色がぼんやりして見え、じっとしているとだんだんはっきりしてくる

例としてあげるなら、食料品を買うときに細かく書かれている成分表や説明などの字が、今まで読めていたのに離さないと読みづらいと感じることです。これらの項目にあてはまる場合、老眼の可能性があります。そのときは、早めに眼科を受診して専門の医師に相談するようにしましょう。

老眼の見え方や近視・遠視との違い

 
スマホが見づらい中高年・シニア女性

老眼になるとどのような見え方になりますか?

老眼の自覚症状としては、手元が見にくくなりぼやけて見えるようになります。さらに、近くを見る作業のときに目が疲れるなどの不快感が表れ始めます。老眼は遠くや近くにピントを自在に合わせる機能が衰え、近くのものを見るのが難しくなるため、手元が見にくくなるのです。 

老眼と近視の違いを教えてください。

近視は調節力を働かせていない状態で、網膜より手前で焦点を結んでいる屈折異常の状態をいいます。老眼との違いはピント調節機能が衰えたわけではないので、遠くを見るときはぼやけて見えますが、近くは眼鏡なしでもはっきり見えます

老眼と遠視の違いを教えてください。

遠視は調整力を働かせていない状態で、網膜より後方で焦点を結んでいる屈折異常の状態をいいます。老眼との違いは、遠くのものも、近くのものもはっきり見ることができないことです。

老眼の治療方法や矯正方法

診察する男性医師(目)

老眼を自覚したら眼科で相談した方がよいですか?

老眼を自覚したら眼科で診察を受けましょう。自覚した症状が必ずしも老眼だとは限らないからです。眼科の検査によって、ほかの病気による視力低下が指摘される場合もあります。また、眼科で行う視力検査は眼鏡を作るための視力測定と違い、検眼という医療行為のため医師が行うよう法律でも定められています。検眼のメリットは近視や遠視や乱視などの屈折異常を検査するだけでなく、必要に応じて眼底検査や眼圧や視野の検査など、眼科でないとできない検査ができることです。これらの検査を行うことにより、老眼ではなく白内障や緑内障や眼底出血などの重大な病気を発見することができます。

老眼を治療する方法はありますか?

老眼を治療する方法には矯正法や手術があります。以下で具体的な治療方法を紹介します。

  • 眼鏡
  • コンタクトレンズ:低矯正・モノビジョン・コンタクトレンズと眼鏡の併用・多焦点コンタクトレンズ
  • 屈折矯正手術(多焦点眼内レンズ):モノビジョン法・多焦点眼内レンズ
  • 薬物治療:瞳孔収縮効果・水晶体の硬化抑制効果

以上のように老眼の治療方法は、眼鏡やコンタクトレンズを使用する矯正方法や手術や薬物治療があります。しかし、現状において老眼の治療薬は国内で未承認です。 

老眼は手術をすれば治せますか?

老眼の手術方法は、モノビジョン法と多焦点眼内レンズの2種類がありますが、老眼を完全に治すのは難しいでしょう。2種類の手術にはそれぞれメリットやデメリットがあるからです。しかし、手術を受けることで老眼をある程度の状態にまで治療することは可能です。モノビジョン法は、近視や乱視をレーザーで治すレーシック手術を使用します。メリットは遠くも近くも眼鏡なしで見えるようになることです。デメリットは、モノビジョンの見え方にあわない方やレーシックを受けられない方は手術ができません。多焦点眼内レンズは、白内障と同じ手術方法で老眼の原因の水晶体を多焦点眼内レンズに置き換える方法です。メリットは、日常生活では眼鏡が不要になることです。デメリットは、夜の街灯などの光が滲んで見えたり、ときには眼鏡を補助的に使用したりする必要があることです。いずれにしても、手術による治療は再手術が不可能なものもありますので、治療前に担当医とよく相談して納得してから治療を開始することを強くおすすめします。

老眼の矯正方法を教えてください。

老眼の矯正方法は眼鏡とコンタクトレンズです。初期の老眼から高齢者まで一人ひとりにあわせて、遠近両用や累進屈折力レンズなどの適切な眼鏡で老眼とうまく付きあうことができます。また、コンタクトレンズを使用した矯正方法には種類がありますので、眼鏡と同様に使用目的や機能などで生活にあったものを選択しましょう。矯正方法には、低矯正・モノビジョン・コンタクトレンズと眼鏡の併用・多焦点コンタクトレンズの4種類があります。低矯正は度数をやや弱めにして近くをカバーする方法です。遠方を見たときの視力はやや低下する反面、近くは見えやすくなります。モノビジョンは、遠方や近方などの距離を気にすることなくはっきり見たい方に効果のある方法です。うまくいけば両眼で遠くから近くまでカバーできるのがメリットですが、左右の焦点が異なっているのがデメリットになります。不同視といわれる左右の見え方が違うためにどうしても受け入れられない方もいるからです。コンタクトレンズと眼鏡の併用は、コンタクトレンズで遠方または近方の矯正を行い、必要に応じて老眼鏡をかけます。運転手を職業としている方は遠方を見ることが多いですが、デスクワークの方は近方を矯正して必要なときに補助として眼鏡をかける方が便利になります。多焦点コンタクトレンズは、遠方〜中間〜近方と広範囲をカバーできるのがメリットですが、使用目的にあわせて種類がさまざまあるのでコンタクトレンズを選ぶときは注意が必要です。また、鮮明度が落ちるのでくっきりした見え方が期待できないデメリットもあります。

編集部まとめ

老眼鏡が必要になってきた2
老眼は加齢によりピント調整機能が低下し、うまく働かないため手元の文字がぼやけます。近くより離して見た方が見やすいと感じてきたら、老眼の症状が出ているのかもしれません。

老眼のセルフチェックで気になる症状が出てきたときは、自己判断せずに眼科で検査を受けましょう。

眼科での詳しい検査によって、老眼ではなく別の病気が見つかる可能性もあるからです。

自己判断で放置していたためにほかの病気が進行してしまい、場合によってはすぐに治療が必要となる場合もあります。 

老眼の見え方には個人差があり、治療方法は眼鏡やコンタクトレンズを使用した矯正方法や手術などがあります。

矯正や手術の治療方法は利用目的に合わせて選択することができ、メリットだけでなくデメリットもあります。

眼科の医師に相談して、今後の生活が不安なく過ごせるようにしましょう。

この記事の監修医師