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「子宮頸がんの進行速度」はご存知ですか?検査法や治療法も解説!【医師監修】

 更新日:2024/03/08
「子宮頸がんの進行速度」はご存知ですか?検査法や治療法も解説!【医師監修】

子宮頸がんは、20〜30代で発症する確率が高いとされているがんです。40代で発症のピークを迎えるものの、若い世代で発症するケースが増えています。

がんの進行は若いほど早いといわれますが、子宮頸がんの進行速度はどの程度なのか、年齢によって進行速度に違いが生じるのか気になるところです。

そこで本記事では、子宮頸がんの進行速度の特徴について解説します。また、進行に合わせた治療法も説明します。

子宮頸がんについて疑問をお持ちの方は、参考にしてみてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮頸がんとは?

子宮頸がんという病名はよく耳にするものの、実際どのような病気なのか理解している方は少ないかもしれません。子宮頸がんは、子宮の入り口辺りの部位である子宮頸部にできるがんを指します。
子宮頸がんの発生に関係しているのが、HPVウイルスです。子宮頸がんの発生原因をたどると、95%以上がHPVウイルスによるものとされています。このHPVウイルスは特殊なものではなく、一般的なウイルスで、性交渉で感染します。
子宮頸がんの発生原因のウイルスと聞くと、女性のみにしか感染しないかと考えるかもしれません。しかし、性別を問わず多くの方がHPVウイルスに感染しています。また、HPVウイルスに感染したからといって、子宮頸がんに必ず罹患するとは限りません。
前述したようにウイルス自体に感染している方は多く、女性は90%近くまで感染率が上がります。ただ、一般的にHPVウイルスは感染しても排出されることが多く、90%近くが数年のうちに消失するというデータもあります。
子宮頸がんは、HPVウイルスが持続感染することによって、がんに移行していったものです。HPVウイルスの持続感染によって、がんに移行するのは、ほとんどが女性です。また、子宮頸がんは女性がかかりやすいがんの1つでもあります。ただ、乳がんや子宮体がんに比べると罹患の確率は少し下がります。

子宮頸がんの進行速度の特徴

がんは治らない病気ではないものの、進行度や速度によっては、対応や心構えが違ってきます。また、がんは若いうちに発症すると進行速度が早いといわれています。若い年代で発症しやすい子宮頸がんについても、進行速度がどの程度か気になるでしょう。
そこで、ここでは子宮頸がんの進行速度の特徴について、まとめてみました。

自然発生時は発症までに長い時間を要する

子宮頸がんは発症までに長い時間がかかる病気です。個人差はありますが、HPVウイルスに感染してからがんに進行するまでは、数年から数十年とされます。
中には15年から20年かかるケースも見受けられます。
また、先述したようにHPVウイルスに感染しても、必ずがんに罹るわけではありません。免疫状態が正常で健康であれば、自然に消滅します。

HPVウイルスにより進行が早まる

子宮頸がん発症の原因でもあるHPVウイルスは、さまざまな型が存在します。
子宮頸がんに繋がるウイルスはHPV16型と18型です。この2つのウイルスが病変して、がんが発生した場合の進行速度は早いとされています。
特に、20代・30代で子宮頸がんに罹った方の8割、9割から、HPV16型と18型が見つかっています。

早期発見すると予後が良好な点が特徴的

子宮頸がんは進行してからの治療が難しい病気です。しかし、早期発見・早期治療の場合は治療がしやすいとされ、予後も良好です。
がんが進行する前に治療を受けることは予防にも繋がり、子宮頸がんでの死亡率を下げることになります。ただ、初期の段階では症状が現れないため、自覚症状を持ちにくいでしょう。
がんの発生と症状の進行を食い止めるためにも、定期的な子宮頸がん検診の受診が欠かせません。

子宮頸がんの検査法

子宮頸がんの早期発見・早期治療には、子宮頸がん検診の受診が重要です。
ただ、婦人科の検査を受けることに不安を覚える方もいるかもしれません。あらかじめ、どのような検査が行われるのかわかっていれば、不安も軽減されるでしょう。
ここでは、子宮頸がんの検査法について解説します。

腟拡大鏡診

子宮頸がんの検査では、細胞診という一次検査が行われます。この細胞診で異常が認められなければ、問題はありません。
しかし、異常が見つかった場合に膣拡大鏡診という精密検査が行われます。この検査は、拡大鏡のような検査機器を使用して、子宮頸部を拡大し詳細に観察します。

病理検査

腟拡大鏡診で異常が見つかった場合、病理検査が行われます。病理検査は、子宮頸部の組織を採取して顕微鏡で観察する検査です。この病理検査で、診断結果が出ます。
なお、病理検査で組織を採取すると、出血する場合があります。多少の痛みや違和感を覚える方がいるかもしれません。

子宮頸がんの治療法

子宮頸がんの治療は、がんの進行期に加えて年齢・健康状態・妊娠希望の有無によって異なります。がんの進行具合と患者さんのライフステージが考慮された治療方針になるのが、一般的です。
子宮頸がん治療法としては、次の3つが挙げられます。

  • 外科手術(手術療法)
  • 放射線治療(放射線療法)
  • 抗がん剤治療(化学療法)

なお、抗がん剤治療を最初から取り入れることは、IVb期以降のがん以外でほとんどありません。外科手術と放射線治療を組み合わせて行われることが一般的です。
ここでは、外科手術と放射線治療について、詳しく説明します。

外科手術

外科手術は初期からII期までのがんに対して可能な治療です。
一般的に初期のがんでは、子宮頸部に異常が見られる組織を取り除く「子宮頸部円錐切除手術」が行われます。初期がんでは、この手術を中心に子宮を温存する方針で進められることがほとんどです。
IB〜II期のがんでは、広汎子宮全摘手術や準広汎子宮全摘手術が行われます。この手術は、根治を目指すための手術でもあります。広汎子宮全摘手術では、子宮だけでなく卵巣や卵管も含めて取り除く手術になることが一般的です。
しかし、患者さんの年齢や希望で卵巣を残しておくことも、病状によっては可能とされています。

放射線治療

放射線治療は、体の外側から当てる外照射と、がんに線源を入れて行う膣内照射の2つの組み合わせで行われる治療です。放射線治療は初期がんで取り入れられることは、ほとんどありません。IIB期以降から、症状にあわせて取り入れられることが多いようです。
たとえば、広汎子宮全摘手術を受けた後の病理組織検査によっては、再発を防ぐために放射線治療が取り入れられることもあります。なお、III〜IVA期では外科手術は行われず、放射線治療が最初から取り入れられます。

子宮頸がんの進行速度についてよくある質問

ここまで子宮頸がんの特徴・進行速度・検査・治療法などを紹介しました。ここでは「子宮頸がんの進行速度」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

子宮頸がんは若い女性が罹患すると進行は早くなりますか?

馬場 敦志医師

子宮頸がんの原因となるHPVウイルスのうち、がんに移行するHPV16型と18型は、20代・30代の女性から検出される割合が高いです。また、HPV16型と18型は病変後の進行が早い特徴を持っています。そのため、若い女性が罹患すると進行が早いと考えられやすいです。

子宮頸がんワクチンは性交渉前に打つと進行を遅らせることができますか?

馬場 敦志医師

子宮頸がんワクチンの目的は、がんの進行を遅らせるためではありません。がんの原因となるHPVウイルスへの感染を予防することです。HPVウイルスには性交渉で感染します。そのため若い年齢のうちから定期的に子宮頸がんワクチンを接種することで、ウイルスへの感染率が下がりやすいです。ウイルスへの感染が下がれば、がんの発症も減ります。ワクチンはがんの進行を遅らせるというよりかは、がんの発生源であるウイルスの感染予防につながるのです。

編集部まとめ

近年、子宮頸がんに罹患する方は増加しつつあります。

子宮頸がんは早期発見・治療を行えば死に至らない病気です。しかし、初期症状を見過ごすと治療の適切なタイミングを逃しやすい病気でもあります。

また、病変後は進行スピードが早くなる傾向が強いです。初期段階で治療を受けることが望ましいため、定期的に検査を受診することをおすすめします。

少しでも違和感を覚えたら、すぐに医療機関に相談してください。

子宮頸がんと関連する病気

子宮頸がんと関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

子宮頸がんの初期症状と上記2つの病気の症状は似ています。不正出血・おりもの増加・下腹部痛などが共通します。いずれの病気も自己判断が難しいでしょう。
少しでも違和感がある場合は、医療機関を受診して検査を受けてください。

子宮頸がんと関連する症状

子宮頸がんと関連する症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 生理以外での出血
  • 性交渉時の出血
  • おりものの増加
  • 下腹部や腰の痛み
  • リンパ浮腫
  • 排尿障害
  • 腸閉塞

リンパ浮腫・排尿障害・腸閉塞以外の症状は、体調や健康状態によっては一時的に現れる場合があります。そのため、子宮頸がんに関連する症状かどうか、判断がつきにくいかもしれません。少しでも不安を覚えるのであれば、すぐに医療機関に相談することをおすすめします。
リンパ浮腫と排尿障害は、広汎子宮全摘手術を受けたときに起こりやすいです。これは子宮を取り除く際に、リンパ節や排尿機能に関連する神経も切断するためです。腸閉塞は放射線治療を受けた後に起こりやすい病気とされています。

この記事の監修医師