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「便秘の原因」はご存知ですか?なりやすい人の特徴や解消法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/12/01
「便秘の原因」はご存知ですか?なりやすい人の特徴や解消法も解説!【医師監修】

一度は、何日も排便がない、便を出し切れず残った感じがするなど排便について悩んだことがあるのではないでしょうか。

どちらも便秘と呼ばれる状態です。便秘になる原因には生活習慣の乱れや病気などさまざまな原因があります。

この記事では、便秘の種類・原因・便秘の解消方法について解説します。便秘でお悩みの方の参考になれば幸いです。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

便秘のタイプと原因

腹痛でお腹を押さえる人

機能性便秘の原因を教えてください。

機能性便秘とは、大腸がうまく働かなくなったことで引き起こされる便秘です。食生活や生活リズムのバランスが崩れたことによって起こることがほとんどです。機能性便秘はさらに3つに分類することができます。

  • 弛緩性便秘
  • 痙攣性便秘
  • 直腸性便秘

弛緩性便秘は食物繊維の摂取不足や運動不足、腹筋の筋力不足によって起こります。これらが不足することで大腸の動きが悪くなり、大腸のなかに便が留まって便秘になります。運動量が少ない高齢者や若い女性、妊婦の方がなりやすいです。痙攣性便秘は大腸の緊張によってぜん動運動が強くなり、腸が痙攣して肛門まで便をうまく運べない状態です。職場や家庭で過度なストレスがある、ストレス解消を苦手とする方がなりやすいとされています。直腸性便秘は、通常便が直腸に到達すると便意を催すのですが、その便意を催さない状態のことです。便意を我慢したり、浣腸を乱用したりする方によくみられます。朝の身支度に時間がかかり、トイレの時間を確保できない方にもみられます。    

器質性便秘の原因を教えてください。

器質性便秘は小腸・大腸・肛門など、腸内に何らかの病気があり、便の通過障害が起こることでなる便秘です。便秘の原因が病気にあるので、病院での治療が必要になります。原因となりえる病気は、大腸がん・腸管の癒着・潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患・直腸瘤などです。

症候性便秘の原因を教えてください。

症候性便秘は、ホルモンの分泌異常や神経系の異常により腸管の動きが弱まることで起こる便秘です。原因となりえる病気は糖尿病・甲状腺疾患・脳血管障害・パーキンソン病・自律神経疾患・膠原病などがあります。

薬剤性便秘の原因を教えてください。

薬剤性便秘は薬の副作用で起こる便秘のことです。薬の種類によっては大腸のぜん動運動を抑えてしまうので、それが原因で起こります。ぜん動運動を抑える副作用がある薬は、抗うつ薬・抗コリン薬(ぜん息や前立腺肥大、パーキンソン病などの薬)・咳止めなどによくみられます。その他、下剤を乱用することで自身でのぜん動運動が困難になり自然と便が出ない状態でおこる便秘も薬剤性便秘の一つです。

便秘の症状・なりやすい人

診察する男性医師と女性患者

便秘とはどのような状態ですか?

便秘とは、身体の外に出すべきふん便を快適に適切な量を排出できない状態のことです。一般的には週に2回以上の排便がない状態が1ヵ月以上続くこととの定義があります。ですが、排便習慣には個人差があるので、便が排出できないことのほかに症状がなければ便秘症とも限りません。

便秘の症状を教えてください。

便秘と呼ばれる状態はいくつかあります。

  • 普段より排便回数が少ない
  • 排便時に以前より過度にいきむ必要がある
  • 便が硬くて排出できない
  • 便を出し切っていない残便感がある

これらに一つでも当てはまれば便秘ととらえましょう。

便秘になりやすいのはどのような方ですか?

便秘になりやすいのは、50歳以下だと女性の方が優位です。筋肉量の減る70歳以上では、排便時にいきみにくくなるので男女差がなくなっていきます。若い人では食物繊維・水分の摂取不足、ストレス、便意を我慢するなどの習慣がある方がなりやすいです。

便秘を放置するリスク・解消方法

お腹の前でハートを持つ女性

便秘を放置するとどのようなリスクがありますか?

便秘を放置しているとほかの病気になる原因になります。

  • 脱肛、直腸粘膜脱
  • 糞便塞栓症
  • 大腸の潰瘍、穿孔、腹膜炎
  • 肌荒れ

便秘のときには便が硬くなっています。この便を出そうと排便時にいきむことで、肛門を傷つけ痔になります。いぼ痔がすでにできていた場合、いきむことで大きくなり出血しやすくなるので注意が必要です。排便時に痛みを伴うからと便秘を放置していると、さらに便が硬くなり状態が悪化していきます。脱肛とは排便時にいきむことで痔核の血管が膨れ、痔核が肛門の外に出てきた状態です。いきむ回数が増えると脱肛になる可能性が高くなります。脱肛の状態が続くと、直腸の粘膜も出て来てしまい直腸粘膜脱という病気になります。糞便塞栓症は便が直腸内で硬くなり自力では排出困難なため、指や器具で掻き出す必要がある状態です。直腸粘膜と便の隙間から押し出されるように液状の便が出ることがあり、下痢と間違われることもあります。大腸内に便が留まってしまうことで、大腸に潰瘍ができたり穴が開いたりすることがあります。これが大腸潰瘍と穿孔です。大腸穿孔が悪化すると、穴の開いた部分から便のなかの細菌がお腹へ広がり腹膜炎という病気になる可能性もあります。

便秘の解消方法を教えてください。

便秘を解消するために、自身でできることを解説します。

  • 規則正しくバランスの取れた食事
  • 排便習慣の取得
  • 運動習慣の取得
  • 市販薬の使用

食事は1日3食食べるようにしましょう。食物繊維が豊富に含まれている食品を摂取することも大切です。食物繊維が豊富に含まれているバナナや根菜類などをよく噛んで食べるようにしましょう。一緒に水分もたくさん補給することで便が膨らみやわらかくなります。排便習慣をつけることも大切です。さらに、運動をすることで腸管の動きもよくなります。適度な運動を心がけましょう。便秘を解消するために市販薬を使用するのもよいでしょう。市販薬には、さまざまな種類があります。

  • 膨張性下剤:便を大きく柔らかくする作用があります。便が大きくなることで大腸が動くことを促します。
  • 浸潤性下剤(軟化下剤):便に含まれる水分量を増やして柔らかくする作用があります。便の表面張力を低下させる効果があるので、排便しやすくしてくれます。
  • 塩類下剤・糖化下剤:大腸内の水分を増やして便を柔らかくし、排便しやすくさせる作用があります。
  • 刺激性下剤:大腸を刺激することでぜん動運動を促進させ、排便させる作用があります。
  • 浣腸:直腸と大腸の粘膜を刺激することで排便を促す作用があります。

上記のなかだと、浸潤緩下剤と塩類下剤、糖類下剤は作用が穏やかです。浣腸の使用は習慣性がそこまで強くないとわかってきましたが、浣腸を使用した後は飲み薬に変更して便を出すようにするのが一般的な治療です。

自己判断で市販の便秘薬を飲んでも大丈夫ですか?

緩下剤のなかには、腎機能が低下している方や高齢者などが服用すると危険な下剤もあります。持病をお持ちの方は必ず病院に相談し、適切な処方をしてもらうようにしましょう。身体のどこが原因で便秘になっているかで内服するべき薬の種類が変わります。便秘のため病院を受診したときには、下記の内容を医師に伝えるとよいです。

  • いつから便秘の状態が続いているのか
  • 便の色や硬さ、形
  • 便秘以外に腹痛や発熱といった症状がないか
  • 温水洗浄便座を使用しているか
  • 市販薬の使用歴
  • 治療中の病気の有無、手術歴
  • 服用中の薬

これらの情報から、医師が自身にあった薬を処方してくれます。

編集部まとめ

ガッツポーズをする若い女性
便秘には食事や生活リズムの乱れ、糖尿病や甲状腺疾患などの持病、精神疾患や咳止めなどに対する治療薬などが原因になることがわかりました。

自身で改善できるものから、病院を受診し適切な処置が必要な場合もあります。

自身で便秘の対処を試みるだけでなく、便秘が長く続くときには病院を受診し治療を行うようにしましょう。

この記事の監修医師