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更年期障害の症状の1つ「ホットフラッシュ」について解説!効果的な食べ物とは?

 公開日:2023/09/20
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更年期障害には様々な症状が現れます。症状の出方には個人差がありますが、その中でも特に知られているのがホットフラッシュではないでしょうか。

ホットフラッシュは、頭がのぼせたり顔がほてったりして、発汗を伴う症状が現れることを指します。

ホットフラッシュは重病ではないものの、汗やほてりといった体への不快感だけでなく、精神的にもダメージを受けます。

またホットフラッシュは突然症状として現れることが多いので、人によっては生活や仕事に支障が出るケースもあるでしょう。

本記事ではホットフラッシュの症状や原因を具体的に解説するとともに、治療や対処法についても説明します。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

ホットフラッシュの症状や原因

虚ろな女性

ホットフラッシュはどのような症状ですか?

ホットフラッシュとは頭や顔など上半身を中心に、のぼせ・ほてり・発汗・動悸などの症状が現れることです。場合によっては脈拍数が増加することもあります。時間や場所に関係なく上記の症状が突然発生することも特徴のひとつとして挙げられるでしょう。
またホットフラッシュは日中だけでなく、入眠時や睡眠中に大量の汗をかいてしまい、寝付けないというような症状も引き起こします。真冬でも突然顔や頭に汗をかくことがあり、シチュエーションによってはホットフラッシュの影響で恥ずかしい思いをしたという声も寄せられるほどです。
更年期障害の症状は、主に身体的症状・血管運動症状・精神的症状の3つのグループに分けられ、ホットフラッシュは血管運動系の症状に分類されます。

原因を教えてください。

ホットフラッシュは、女性ホルモンのもとであるエストロゲンの分泌が急激に減少することが原因で起こる症状です。ホットフラッシュを引き起こす原因になっている女性ホルモンの減少は、更年期に差し掛かった頃から起こり始めます。
特に閉経前後は卵巣の働きが著しく衰えるので、ホットフラッシュが出やすいです。またホットフラッシュだけでなく更年期障害の諸症状は、身体的な機能の変化だけでなく社会的要因や精神的要因が合わさり、発症しやすくなっています。
更年期は閉経を挟む前後の期間に及び、日本人の場合は平均すると45歳〜55歳が該当します。この年代の女性は、子育て・介護・仕事・家事などで精神的にも物理的にも負担を抱えやすいです。このような社会的・精神的要因が体の変化と合わさることで、ホットフラッシュなど更年期障害が発症しやすいとされています。

更年期障害以外の原因で起こることもあるのですか?

ホットフラッシュのような症状は、更年期障害以外が原因で発症することもあります。たとえばバセドウ病のような甲状腺疾患を患うと、ほてりや発汗過多などの症状が出ます。
ただし、更年期障害なのか甲状腺疾患なのかを自己判断するのは危険なので、どちらか疑わしいようであれば病院を受診してください。また更年期に差し掛からない年齢であっても、がん治療で一部の抗がん剤を使用すると、卵巣へ影響を及ぼし更年期障害の症状が出るケースが見受けられます。

ホットフラッシュの受診と治療

カウンセリング

ホットフラッシュで婦人科を受診する目安を教えてください。

ホットフラッシュの疑いが出た時点で、すぐに婦人科を受診することをおすすめします。更年期障害は閉経前後の女性のほとんどが経験するものです。しかし、症状の現れ方や度合いには個人差が生じます。
またホットフラッシュは、本人にとっては辛い症状であっても、周囲からは理解されにくい場合があります。そのため、無理をしてしまい身体的にも精神的にも負担が大きくなるケースがあるでしょう。
さらに、ご自身が「この程度は我慢しなければ」と思い込んでしまい、症状をそのまま放置してしまうこともあります。このようにホットフラッシュが発症することで、日常生活に支障をきたす方も多いです。治療を受けることで、身体的にも精神的にも楽になるので、無理をせず早い段階で受診すると良いでしょう。

どのような検査を行うのですか?

まずは症状・体調・月経の周期や状態などについての問診が行われます。ここで症状について詳しく伝えることが大切です。
次に血液検査、女性ホルモン(エストラジオール)・卵抱刺激ホルモン(FSH)・黄体化ホルモン(LH)などをチェックします。病院によっては骨密度・甲状腺機能・貧血・肝機能などの検査も行います。また体調や症状に応じて、内診や超音波検査なども行う場合があるでしょう。

どのような治療が行われるのですか?

ホットフラッシュには次のような治療が行われます。

  • ホルモン補充療法
  • 漢方薬
  • 向精神薬
  • サプリメント
  • プラセンタ注射

ホルモン補充療法は女性ホルモンが減少することで発症する、ホットフラッシュの改善に効果が期待される治療方法です。治療薬には内服薬だけでなく経皮薬もあります。ホルモン補充療法は効果的な治療方法ではありますが、体質や既往歴によっては副作用の問題が発生しやすいため、医師による十分な診察や検査が必要とされる治療方法です。
また漢方薬もホットフラッシュの症状を緩和する効果が期待されます。ホルモン補充療法よりも副作用が出にくいことがメリットとして挙げられるでしょう。ホルモン補充療法を受けられない方への治療方法としても選択されることが多いです。
さらに、向精神薬もホットフラッシュの治療として使用されることがあります。ホットフラッシュや更年期障害の症状によって発生する気分の落ち込みやイライラなどを抑える働きが期待されます。ホットフラッシュの影響で眠れなくなる方には睡眠薬が処方されることが多いです。
サプリメントやプラセンタ注射もホットフラッシュや更年期障害の諸症状を緩和させる目的で治療に取り入れる場合があります。いずれの治療も医師と相談のうえ、体質や症状の度合いに適した治療方法を選択することになります。

ホルモン補充療法について教えてください。

ホルモン補充療法は減少した女性ホルモンを体内に入れることで、症状を緩和させる治療方法です。一般的に子宮がある方には、エストロゲンだけでなく黄体ホルモンも投与します。これは子宮がんを予防するためです。
子宮を摘出された方はエストロゲンのみの投与となります。エストロゲンの投与方法には主に内服薬と経皮薬の2種類があり、治療には内服薬だけでなく経皮薬の併用が推奨されています。これは経皮薬のほうが、エストロゲンの副作用である血栓症や脳卒中などの発症を軽減できるからです。
ホルモン補充療法は効果が出やすい治療方法ですが、治療を受ける際に注意すべき点もあります。投薬のタイミングや使用する薬剤が医師の診断に基づいて厳密に決められているので、ホットフラッシュの治療を検討されている方は医師との十分な相談が必須となります。

ホットフラッシュの対処法や予防

女医

ホットフラッシュが起こった場合の対処法を教えてください。

ホットフラッシュはいつ起こるか予測がつきません。突然汗が止まらなくなったり頭がのぼせたりするので、時と場合によってはすぐに症状を抑えたいと焦ってしまい、余計に症状が酷くなるということもあるでしょう。
ホットフラッシュは体温調節が上手く機能しないことで、発汗などの症状が出てしまいます。突然のホットフラッシュに備えて、脱ぎ着が簡単で体温調節がしやすい洋服を重ねて着ることをおすすめします。
またホットフラッシュが出たら、一時的に涼しい環境に身を置くようにすると良いでしょう。暑さを和らげるために、冷たい飲み物で凌ぐ方法もありますが、アイスコーヒーやビールは冷たくても逆効果になるので避けてください。

ホットフラッシュに効く食べ物や飲み物を教えてください。

ホットフラッシュに効く食べ物として挙げられるのが、エストロゲンに似た働きをする大豆イソフラボンが豊富に含まれている食品です。納豆・豆腐・油揚げ・大豆の煮物・みそなどから大豆イソフラボンを摂取できるので、これらの食べ物や食材を積極的に取り入れると、ホットフラッシュ対策に効果を発揮します。
またホットフラッシュに効く飲み物としては、豆乳などの大豆飲料がおすすめです。また、きな粉にも大豆イソフラボンが含まれているので、お好きな飲み物にきな粉を混ぜると良いでしょう。
大豆イソフラボンが含まれている飲料以外では、ハーブティーもおすすめです。ホットフラッシュの症状でストレスが溜まりやすくなっている場合は、ハーブティーを飲んでリラックスする時間を保つことも大切です。
なお、ホットフラッシュは刺激を受けることで、起こりやすくなります。特にアルコール・カフェイン・刺激の強い食べ物・熱すぎる飲み物などは、ホットフラッシュを引き起こしやすいです。これらは日頃から避けておくと良いでしょう。ホットフラッシュを予防するためには、生活習慣を整えることが肝心です。十分な睡眠・栄養バランスのとれた食生活・適度な運動がホットフラッシュを予防するための基礎になります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

更年期障害は女性の多くが経験するものです。しかし、その症状や辛さはには個人差があるうえ、周囲に理解してもらえないこともあるでしょう。ホットフラッシュのように症状が出てしまうと、恥ずかしい思いをされたり、日常生活や仕事に支障が出てしまったりすることも少なくありません。
ホットフラッシュは適切な治療を受けることで症状が緩和され、生活の質を落とさなくて済みます。無理をせず早めに婦人科に相談しましょう。

編集部まとめ

お茶会
ホットフラッシュをはじめとする更年期障害の諸症状は、適切な治療を受ければ症状が緩和されやすいです。

しかし、年齢的に仕事・家族のケア・子育てなどで忙しくなる時期とも重なるため、婦人科を受診する時間が無いと治療を後回しにしてしまう方もいるでしょう。

症状や悩みを一人で抱え込んでしまうと、辛さは倍増してしまいます。

婦人科の受診はもちろんのこと、家族や周囲の人たちにホットフラッシュのことを理解してもらい時に助けてもらいながら、ホットフラッシュを乗り切ってください。

この記事の監修医師