更年期障害の症状の1つ「ホットフラッシュ」について解説!効果的な食べ物とは?
更年期障害には様々な症状が現れます。症状の出方には個人差がありますが、その中でも特に知られているのがホットフラッシュではないでしょうか。
ホットフラッシュは、頭がのぼせたり顔がほてったりして、発汗を伴う症状が現れることを指します。
ホットフラッシュは重病ではないものの、汗やほてりといった体への不快感だけでなく、精神的にもダメージを受けます。
またホットフラッシュは突然症状として現れることが多いので、人によっては生活や仕事に支障が出るケースもあるでしょう。
本記事ではホットフラッシュの症状や原因を具体的に解説するとともに、治療や対処法についても説明します。
監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
目次 -INDEX-
ホットフラッシュの症状や原因
ホットフラッシュはどのような症状ですか?
またホットフラッシュは日中だけでなく、入眠時や睡眠中に大量の汗をかいてしまい、寝付けないというような症状も引き起こします。真冬でも突然顔や頭に汗をかくことがあり、シチュエーションによってはホットフラッシュの影響で恥ずかしい思いをしたという声も寄せられるほどです。
更年期障害の症状は、主に身体的症状・血管運動症状・精神的症状の3つのグループに分けられ、ホットフラッシュは血管運動系の症状に分類されます。
原因を教えてください。
特に閉経前後は卵巣の働きが著しく衰えるので、ホットフラッシュが出やすいです。またホットフラッシュだけでなく更年期障害の諸症状は、身体的な機能の変化だけでなく社会的要因や精神的要因が合わさり、発症しやすくなっています。
更年期は閉経を挟む前後の期間に及び、日本人の場合は平均すると45歳〜55歳が該当します。この年代の女性は、子育て・介護・仕事・家事などで精神的にも物理的にも負担を抱えやすいです。このような社会的・精神的要因が体の変化と合わさることで、ホットフラッシュなど更年期障害が発症しやすいとされています。
更年期障害以外の原因で起こることもあるのですか?
ただし、更年期障害なのか甲状腺疾患なのかを自己判断するのは危険なので、どちらか疑わしいようであれば病院を受診してください。また更年期に差し掛からない年齢であっても、がん治療で一部の抗がん剤を使用すると、卵巣へ影響を及ぼし更年期障害の症状が出るケースが見受けられます。
ホットフラッシュの受診と治療
ホットフラッシュで婦人科を受診する目安を教えてください。
またホットフラッシュは、本人にとっては辛い症状であっても、周囲からは理解されにくい場合があります。そのため、無理をしてしまい身体的にも精神的にも負担が大きくなるケースがあるでしょう。
さらに、ご自身が「この程度は我慢しなければ」と思い込んでしまい、症状をそのまま放置してしまうこともあります。このようにホットフラッシュが発症することで、日常生活に支障をきたす方も多いです。治療を受けることで、身体的にも精神的にも楽になるので、無理をせず早い段階で受診すると良いでしょう。
どのような検査を行うのですか?
次に血液検査、女性ホルモン(エストラジオール)・卵抱刺激ホルモン(FSH)・黄体化ホルモン(LH)などをチェックします。病院によっては骨密度・甲状腺機能・貧血・肝機能などの検査も行います。また体調や症状に応じて、内診や超音波検査なども行う場合があるでしょう。
どのような治療が行われるのですか?
- ホルモン補充療法
- 漢方薬
- 向精神薬
- サプリメント
- プラセンタ注射
ホルモン補充療法は女性ホルモンが減少することで発症する、ホットフラッシュの改善に効果が期待される治療方法です。治療薬には内服薬だけでなく経皮薬もあります。ホルモン補充療法は効果的な治療方法ではありますが、体質や既往歴によっては副作用の問題が発生しやすいため、医師による十分な診察や検査が必要とされる治療方法です。
また漢方薬もホットフラッシュの症状を緩和する効果が期待されます。ホルモン補充療法よりも副作用が出にくいことがメリットとして挙げられるでしょう。ホルモン補充療法を受けられない方への治療方法としても選択されることが多いです。
さらに、向精神薬もホットフラッシュの治療として使用されることがあります。ホットフラッシュや更年期障害の症状によって発生する気分の落ち込みやイライラなどを抑える働きが期待されます。ホットフラッシュの影響で眠れなくなる方には睡眠薬が処方されることが多いです。
サプリメントやプラセンタ注射もホットフラッシュや更年期障害の諸症状を緩和させる目的で治療に取り入れる場合があります。いずれの治療も医師と相談のうえ、体質や症状の度合いに適した治療方法を選択することになります。
ホルモン補充療法について教えてください。
子宮を摘出された方はエストロゲンのみの投与となります。エストロゲンの投与方法には主に内服薬と経皮薬の2種類があり、治療には内服薬だけでなく経皮薬の併用が推奨されています。これは経皮薬のほうが、エストロゲンの副作用である血栓症や脳卒中などの発症を軽減できるからです。
ホルモン補充療法は効果が出やすい治療方法ですが、治療を受ける際に注意すべき点もあります。投薬のタイミングや使用する薬剤が医師の診断に基づいて厳密に決められているので、ホットフラッシュの治療を検討されている方は医師との十分な相談が必須となります。
ホットフラッシュの対処法や予防
ホットフラッシュが起こった場合の対処法を教えてください。
ホットフラッシュは体温調節が上手く機能しないことで、発汗などの症状が出てしまいます。突然のホットフラッシュに備えて、脱ぎ着が簡単で体温調節がしやすい洋服を重ねて着ることをおすすめします。
またホットフラッシュが出たら、一時的に涼しい環境に身を置くようにすると良いでしょう。暑さを和らげるために、冷たい飲み物で凌ぐ方法もありますが、アイスコーヒーやビールは冷たくても逆効果になるので避けてください。
ホットフラッシュに効く食べ物や飲み物を教えてください。
またホットフラッシュに効く飲み物としては、豆乳などの大豆飲料がおすすめです。また、きな粉にも大豆イソフラボンが含まれているので、お好きな飲み物にきな粉を混ぜると良いでしょう。
大豆イソフラボンが含まれている飲料以外では、ハーブティーもおすすめです。ホットフラッシュの症状でストレスが溜まりやすくなっている場合は、ハーブティーを飲んでリラックスする時間を保つことも大切です。
なお、ホットフラッシュは刺激を受けることで、起こりやすくなります。特にアルコール・カフェイン・刺激の強い食べ物・熱すぎる飲み物などは、ホットフラッシュを引き起こしやすいです。これらは日頃から避けておくと良いでしょう。ホットフラッシュを予防するためには、生活習慣を整えることが肝心です。十分な睡眠・栄養バランスのとれた食生活・適度な運動がホットフラッシュを予防するための基礎になります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
ホットフラッシュは適切な治療を受けることで症状が緩和され、生活の質を落とさなくて済みます。無理をせず早めに婦人科に相談しましょう。
編集部まとめ
ホットフラッシュをはじめとする更年期障害の諸症状は、適切な治療を受ければ症状が緩和されやすいです。
しかし、年齢的に仕事・家族のケア・子育てなどで忙しくなる時期とも重なるため、婦人科を受診する時間が無いと治療を後回しにしてしまう方もいるでしょう。
症状や悩みを一人で抱え込んでしまうと、辛さは倍増してしまいます。
婦人科の受診はもちろんのこと、家族や周囲の人たちにホットフラッシュのことを理解してもらい時に助けてもらいながら、ホットフラッシュを乗り切ってください。