『ニコチン依存症』の治療法・禁断症状の対処法はご存知ですか?医師が監修!
ニコチン依存症についてご存知ですか?本記事ではニコチン依存症について以下の点を中心にご紹介します。
・ニコチン依存症とは
・ニコチン依存症のリスク
・ニコチン依存症の治療
ニコチン依存症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
ニコチン依存症について
ニコチン依存症とはどのような病気ですか?
たばこを常時摂取することで、これらの神経伝達物質の調節がニコチンに依存するようになり、自身での分泌能力が低下します。その結果、たばこを吸えない状態が続くと、神経伝達物質の分泌量が低下し、不快なニコチン離脱症状が出現します。たばこを吸うことで離脱症状が消失するため、再び喫煙を続けてしまう現象が起こります。これがニコチン依存症の特徴であり、この状態では自然に改善することはありません。
ニコチンとは何ですか?
血液中を通じて全身に広がり、中枢神経にあるニコチン性アセチルコリン受容体に結合することで、脳内の報酬系として知られるドーパミン系神経伝達が活性化されます。報酬系は快感や快楽を感じるために重要な役割を果たしています。報酬系は生存や学習にも関連しており、ドーパミンの放出によって行動が強化されることがあります。たばこを吸うことでドーパミンが放出され、その快感が再び喫煙行動を促すサイクルが生じます。このサイクルがニコチン依存症の形成に関与しています。
また、ニコチンは血管を収縮させ血圧を上昇させます。中毒性があるため、子供が誤って摂取すると中毒や死亡の危険があります。ニコチン自体には発がん性は認められていませんが、ニコチンの代謝物であるニトロソアミン類には発がん性があることが知られています。
ニコチン切れになるとどのような症状が出ますか?
ニコチン依存症の先にあるリスク
ニコチン依存症が引き起こすリスクは何ですか?
ニコチン依存症はがんだけでなく、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、脳卒中などの循環器疾患のリスクを増加させます。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)による呼吸機能の低下や胃・十二指腸潰瘍、歯周病などのリスクも高まります。
さらに、妊娠中の喫煙は流産や早産、新生児死亡のリスクを高めるなど、さまざまな悪影響を及ぼします。
ニコチン依存症のメカニズムとはどのようなものですか?
しかし、ニコチンは代謝され、時間とともに欠乏していきます。その結果、喫煙者はドパミンによる快感を回復させるためにニコチンを切望し、イライラ感を抱えることになります。このイライラ感は実はニコチンの欠乏感によるものであり、喫煙する前に生じています。そのため、喫煙者はタバコを我慢できず、ストレスを感じることで次の喫煙行為に向かわざるを得なくなります。
禁煙を試みると離脱症状やイライラが現れ、喫煙を再開するとホッとするという「罰」と「ごほうび」のサイクルが発生し、禁煙を困難にします。このようなメカニズムがニコチン依存症を形成します。
ニコチン依存症の治療法
ニコチン依存症の治療を受けるにはどの診療科に行けばいいですか?
内科(または循環器科): 内科医や循環器科医は、一般的な禁煙治療を提供することがあります。彼らは禁煙に関連する健康問題を評価し、禁煙補助薬の処方や禁煙計画のサポートを提供します。
心療内科(または精神科): 禁煙はストレスや精神的な側面も関与しています。心療内科医や精神科医は、ニコチン依存症に関連する心理的要因や禁煙時のストレス管理についてアドバイスや治療を行います。
婦人科:婦人科医は、妊娠中や授乳中の禁煙において特に重要な役割を果たします。妊娠や出産における禁煙の影響について助言し、適切な禁煙戦略を提案します。
禁煙外来:最近では禁煙外来を設けた医療機関も増えていますので、インターネットや地域の情報を調べて、禁煙治療を提供している医療機関を見つけることもできます。禁煙治療において、医師や看護師が個別にアドバイスを提供してくれるため、成功率が高くなるとされています。また、禁煙補助薬の利用も禁煙の成功を支えるため、医療機関での治療においては禁煙補助薬の使用も検討されることがあります。
ニコチン依存症の治療法はどのようなものですか?
一方、ニコチンパッチは貼付剤で、8週間間隔を徐々に減らしながら使用し、最終的には12週間後に完全禁煙を目指します。これらの禁煙補助薬は、脳内のニコチン受容体に結合し、喫煙による満足感を抑制し、禁煙時の離脱症状(イライラ、倦怠感、頭痛など)を和らげます。
ただし、禁煙補助薬はあくまで補助的な役割を果たすものであり、最も重要なのは「禁煙する」という決意です。禁煙意欲を持ち、適切なサポートを受けながら禁煙を目指すことが重要です。
禁煙外来ではどのような治療を受けられますか?
カウンセリング: 患者さんのニコチン依存に関する悩みや課題に対して、個別に対話や相談を行います。禁煙の目標設定やモチベーションの維持、ストレス管理などについてアドバイスやサポートを提供します。
自己管理法の指導: 患者さんに禁煙の自己管理法を学び、喫煙を避けるための技術や戦略を提供します。たばこを吸いたくなった時の対処法やストレス解消法など、禁煙を継続するための具体的な方法を教えます。
トリガーと回避策の確認: 患者さんの喫煙を再開しやすいトリガー(誘因)や状況を特定し、それらを回避するための具体的な方法を提案します。これにより、禁煙を維持するためのリスクを減らします。
禁煙外来は保険適用されますか?
条件として、ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)でニコチン依存症と診断され、1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上であること、そしてすぐに禁煙する意志があり、禁煙治療に関する説明を受け、文書による同意をしていることが必要です。これらの条件を満たす場合、保険を使用して禁煙外来の治療を受けられます。
ただし、保険適用の範囲や詳細は、医療機関や保険制度によって異なる場合がありますので、具体的な情報は主治医や保険会社に確認しましょう。
タバコを急に辞めるとどうなりますか?
自宅や外出先でできる禁断症状の対処法を教えてください
禁煙時の「ん?」という感覚を身につける:禁煙前に、意識的にたばこを吸う練習をすることが役立ちます。たばこを吸う習慣が身に付いていると、無意識にたばこを吸ってしまうことがあります。禁煙開始前に、異なる銘柄のたばこを吸ってみたり、たばこを持つ手を変えてみたりすることで、たばこを吸っていることに対する意識を高めてみましょう。また、禁煙できる時間を設けて、それを達成したら自分を褒めるという練習もおすすめです。
禁煙補助薬を選ぼう!:禁煙補助薬は、禁煙を支援する強力なツールです。ニコチンガムやニコチンパッチなどの製品が市販されており、バレニクリンなどは処方箋が必要です。これらの補助薬を使用することで、禁煙をよりスムーズに進めます。禁煙開始前に、自分に合った禁煙補助薬を選ぶことを検討しましょう。医師や薬剤師からのアドバイスを受けることも重要です。
禁煙治療用アプリを活用:禁煙治療用アプリは、禁煙の支援や情報提供をしてくれる便利なツールです。禁煙の手助けや禁煙のメリットについて理解を深めたい場合に活用できます。インターネット上の情報が多くてどれが正しいのかわからない場合でも、禁煙治療用アプリを使用することで信頼性の高い情報を得られます。
これらのコツを参考に、禁煙の準備を始めてみてください。ただし、禁煙は個人によって異なる経験や困難を伴う場合がありますので、禁煙をサポートしてくれる医療専門家や禁煙クリニックへの相談も積極的に行ってください。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
編集部まとめ
ここまでニコチン依存症についてお伝えしてきました。ニコチン依存症の要点をまとめると以下の通りです。
・ニコチン依存症とは、血中のニコチン濃度が一定以下になると不快感や欲求不満を感じる状態
・ニコチン依存症のリスクとは、がんや虚血性心疾患や脳卒中などの様々なリスクを増加させる
・ニコチン依存症の治療法には、禁煙補助薬が使用され、条件により保険適応となる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。