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「ヘモグロビン」とは?低い場合と高い場合のリスクや対策を医師が解説!

 公開日:2023/08/25
「ヘモグロビン」とは?低い場合と高い場合のリスクや対策を医師が解説!

血液検査項目のヘモグロビンとは?Medical DOC監修医が血色素・ヘモグロビン値(Hb・Hgb)の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説。

鎌田 百合

監修医師
鎌田 百合(医師)

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千葉大学医学部卒業。血液内科を専門とし、貧血から血液悪性腫瘍まで幅広く診療。大学病院をはじめとした県内数多くの病院で多数の研修を積んだ経験を活かし、現在は医療法人鎗田病院に勤務。プライマリケアに注力し、内科・血液内科医として地域に根ざした医療を行っている。血液内科専門医、内科認定医。

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ヘモグロビン・ヘモグロビン値(Hg・Hgb)とは?

ヘモグロビンとは、赤血球の中にある、酸素を運ぶタンパク質です。鉄を含む「ヘム」とタンパク質の「グロビン」が結びついてできています。このヘムは赤色素をもち血液が赤く見えるため、「血色素」とも呼ばれます。
血液中のヘモグロビンは肺で酸素と結びつき、血管の中を通って全身に酸素を運ぶ重要な役割を果たしています。

ヘモグロビン値が低い場合のリスクと貧血対策

ヘモグロビン値が低いとどうなる?

ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を持っています。ヘモグロビンが低いと「貧血」と診断され、貧血になると全身の細胞に酸素が運べなくなるため、頭痛や息切れ、めまい、疲れやすさ、集中力の低下などといった症状が出現します。
原因としては鉄分不足による鉄欠乏性貧血が最も多いです。女性だと月経過多による出血、その他には胃潰瘍やがんなどの消化管からの出血
などがあります。更に、過度なダイエットや偏食をしていると、知らず知らずのうちに鉄分不足に陥ってしまいます。

健康診断でヘモグロビン値が低いと言われたら?

ヘモグロビンは鉄欠乏性貧血以外にもさまざまな原因で下がります。実はがんが隠れている場合や、重い病気の前兆であることもあるので、ヘモグロビンが低いと言われたら一度検査をすることをおすすめします。

ヘモグロビンを増やす方法は?

食事から鉄分を積極的にとりましょう
鉄分には、肉や魚などの動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や海藻、穀物に多く含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄のほうが非ヘム鉄より吸収率が5~6倍高いことが知られていますが、日本人が食事から接種する鉄のほとんどは非ヘム鉄です。非ヘム鉄の吸収率を高めるには、タンパク質やビタミンCなどを一緒に摂ることで吸収率を高めることができます。
日々の食事では1日に約10mgの鉄を摂取することが推奨されています。
その他、ビタミンB12や葉酸も不足すると貧血になります。タンパク質や鉄を含む食品の中に豊富に含まれますが、サプリメントを摂取することでも改善できます。

ヘモグロビン値が高い場合のリスクと対策

ヘモグロビン値が高いとどうなる?

ヘモグロビンが多くなる病気を多血症といいます。
多血症となると血がどろどろすることで血流が悪くなり、頭痛、めまい、耳鳴り、視力障害などを起こします。血の塊の血栓ができると、脳梗塞、心筋梗塞などが起こります。
多血症の原因は、骨髄中の血液の元となる赤血球という細胞をたくさん作ってしまう「真性多血症」と、血液を作るホルモンが増える「二次性多血症」の2つがあります。
二次性多血症は、肥満・高血圧・ストレスによるストレス多血症、睡眠時無呼吸症候群など肺の病気や喫煙による低酸素血症、脱水による相対的多血症があります。

健康診断でヘモグロビン値が高いと言われたら?

ヘモグロビンが高くなると血栓ができ血管が詰まってしまい、様々な症状を引き起こす可能性があります。一度病院を受診して原因を調べましょう。

ヘモグロビンを下げる方法は?

多血症の原因は様々ですが、一番多い原因は喫煙です。喫煙により体内が酸素不足となり、それを補うためにヘモグロビンが増加します。喫煙している場合は禁煙が最も有効な治療法です。
また、肥満や高血圧などがある場合は、ヘモグロビンが高くなる原因となる可能性があるため、生活習慣の改善を心がけましょう。

健康診断の「ヘモグロビン」の見方と再検査が必要な「ヘモグロビン値」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

健康診断・血液検査の「ヘモグロビン」の基準値(Hb・Hgb)

異常値と基準範囲は以下のようになります。

異常(低) 基準範囲 異常(高)
男性 13.0g/dl以下 13.1~18.0g/dl 18.1g/dl以上
女性 12.0g/dl以下 12.1~16.0g/dl 16.1g/dl以上

男性は13g/dl以下、女性は12g/dl以下だと貧血と診断されます。
男女とも10g/dl以下になると中等度から重度の貧血と診断され、頭痛や疲れやすさ、めまいなどの症状が出現します。全身の細胞に十分酸素がいきわたらない状態ですので、はやめに病院を受診するようにしましょう。
男性で18.1g/dl以上、女性で16.1g/dl以上が多血症と診断されます。

健康診断・血液検査の「ヘモグロビン」異常値・再検査基準と内容

ヘモグロビンが異常値となったときは、内科や血液内科を受診しましょう。
ヘモグロビンが低い場合は、ヘモグロビンの材料となる鉄やビタミンB12、葉酸の異常がないか、他の原因がないかを血液検査で調べます。
ヘモグロビンが高い場合は、高くなる原因がないかを調べますが、明らかな原因がない場合は血液を作りすぎる真性多血症という病気ではないかを検査します。
いずれも基準値から1~2g/dL程度外れた程度では症状が出ないことが多いですが、異常値を指摘された場合は原因を調べる必要がありますので病院を受診しましょう。
だるさや頭痛、めまい、耳鳴りといった症状が現れている場合はなるべく早めに近隣の内科を受診してください。

健康診断・血液検査の「ヘモグロビン」の異常が診断されたら気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「ヘモグロビン」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足することで赤血球の中に含まれるヘモグロビンが作れなくなることで起こる貧血です。妊娠・出産を経験する年代の女性では、およそ3人に1人が貯蔵鉄の欠乏した鉄欠乏状態で、鉄欠乏性貧血の患者数は同年代の25%にも及ぶとされています。
ゆっくり貧血が進行すると症状が出ないこともあるので、健診でヘモグロビンが低いと指摘されたら近隣の内科や血液内科を受診しましょう。

多血症

血液中のヘモグロビンの量が多くなる病気を多血症と呼びます。多血症の原因は、骨髄中の血液の元となる赤血球という細胞が多い「真性多血症」と、血液を作るホルモンが増える「二次性多血症」の2つがあります。
この中でも真性多血症は血の塊である血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなる病気です。
いずれも再検査をしなければ原因ははっきりわからないので、近隣の内科や血液内科を受診しましょう。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったりすることで身体の酸素濃度が下がる病気です。いびきをよくかいたり、睡眠中によく目が覚める、寝ているはずなのに日中眠気が強くなる、などが症状として現れます。
身体の酸素濃度が下がるため酸素不足を感じた身体が酸素を運ぶ赤血球をたくさん作るためヘモグロビンが高い多血症となります。二次性多血症の一種です。
いびきがひどい、寝ているはずなのに日中の眠気が強いなどの症状がある場合は呼吸器内科を受診しましょう。

「ヘモグロビン値」が低い時、高い時の正しい対処法・改善法は?

ヘモグロビンが低いと言われた場合は、鉄分を積極的に摂りましょう。日々の食事では1日に約10mgの鉄を摂取することが推奨されています。レバーや赤身の肉、緑黄色野菜に多く含まれます。ビタミンB12や葉酸も不足すると貧血になるので、バランスの良い食事をとりましょう。日々の食事でどうしても不足する場合は、鉄やビタミンのサプリメントを摂取することでも改善できます。

ヘモグロビンが高いと言われた場合は、まずは禁煙を行いましょう。また、肥満傾向にある場合はダイエットをしましょう。日々の食事でお菓子を食べすぎない、油ものを食べすぎないなどカロリーを適切な量に留めることを心がけてください。ストレスも悪影響を及ぼします。ダイエットのために散歩をしたり、気分転換をするようにしましょう。睡眠もしっかりとるようにしましょう。血がどろどろにならないように水分を多めに摂ってください。

「ヘモグロビン」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ヘモグロビン」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血液検査でヘモグロビン値が低い場合いくつからが貧血ですか?

鎌田 百合鎌田 百合 医師

男性は13g/dl以下、女性は12g/dl以下だと貧血と診断されます。
男女とも10g/dl以下になると中等度から重度の貧血と診断され、頭痛や疲れやすさ、めまいなどの症状が出現します。全身の細胞に十分酸素がいきわたらない状態ですので、はやめに病院を受診するようにしましょう。

健康診断のヘモグロビンA1c(HbA1c)とは何の数値ですか?

鎌田 百合鎌田 百合 医師

血液中のヘモグロビンの中で、糖がくっついている割合のことをいいます。血糖値が高い状態が続くとこの割合が高くなるため、糖尿病の指標となっています。HbA1c(NGSP)が6.0%以上のときは、詳しい検査が必要です。
糖尿病かどうかは、血糖値、HbA1cなどをみて総合的に診断します。

血液中のヘモグロビンは食べ物や飲み物で増やすことができますか?

鎌田 百合鎌田 百合 医師

ヘモグロビンが低い原因で一番多いのが鉄欠乏性貧血です。特に若い女性だと月経があるため鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。ヘモグロビンの材料となる鉄分の多く含まれている食事をとる、サプリメントを摂取するなどで貧血を良くすることができる可能性があります。

血液のヘモグロビン値は高くても病気のリスクがありますか?

鎌田 百合鎌田 百合 医師

ヘモグロビンが高い原因の一つに「真性多血症」という赤血球を不必要に作りすぎてしまう病気があります。この病気は血の塊である血栓を作り心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすく、早期に診断して適切な治療を行う必要があります。

まとめ 「ヘモグロビン」が気になるときは血液内科を受診

ヘモグロビンの異常の原因と、対処法を紹介しました。
異常値を指摘されたときには病気が隠れている可能性があるので、近隣の内科や血液内科を受診しましょう。

「ヘモグロビン」の異常で考えられる病気

「ヘモグロビン」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液内科の病気

消化器科の病気

呼吸器科の病気

婦人科の病気

生活習慣を改めることでヘモグロビンの異常値は改善する可能性があります。異常値が続く場合には、内科や血液内科を受診して相談することをお勧めします。

この記事の監修医師