「毛細血管拡張症」の症状や原因を解説！顔の赤みで悩んでいませんか？

毛細血管拡張症は、体の毛細血管が正常よりも広がってしまう病気を指します。
通常は毛細血管は皮膚の表皮の下の真皮にあり、通常は透けて見えることはありません。しかし、毛細血管が拡張するなど何らかの理由によって、透けて見えるようになってしまうことがあります。この状態を毛細血管拡張症といいます。
この病気になると、体に赤い斑点・細い糸やクモの巣のような赤みがでたり、かゆみやほてりを感じることが特徴です。

毛細血管拡張症の正確な原因はまだ分かっていません。ただし、この病気の症状の多くが顔や手足、首などの露出部分で生じることから、日光や極端な気温に慢性的にさらされることによって発症すると考えられています。
この日光や極端な気温以外の要因としては、下記のような原因があります。

• アルコール依存症：血流の流れに影響を与えるため
• 妊娠：静脈に圧力がかかることが多いため
• 加齢：加齢により血管が弱くなることがあるため
• コルチコステロイドの常用：皮膚を薄くするため
• 皮膚筋炎：皮膚とその下の筋肉組織に炎症を起こすため

毛細血管拡張症の主な症状は皮膚の赤みや紫色の斑点です。頬や手足、首などの露出部位に現れることが多く、その形もクモの巣状や星芒状といわれる線が広がったような形など様々あります。
なお、星芒状の赤みは子どもに発生することが多いです。症状が出る期間としては、すぐに消える場合もあれば2～3か月程度の治療が必要となる場合もあります。

毛細血管拡張症は、静脈瘤に伴うもの・くも状血管腫として生じるもの・「酒さ（しゅさ）」の部分症状として生じるもの・遺伝性によって生じるものなどに分類できます。
静脈瘤は心臓に戻る血管である静脈が太くなってこぶ状に浮き出て見える症状です。静脈瘤になると静脈内に血液がたまることになるため、その結果として毛細血管が拡張する場合があります。
また、くも状血管腫や星芒状血管腫はいずれも血管が浮き上がり、クモの巣のようなパターンを見せたり、1つの中心点から放射状に血管が広がっているパターンを見せたりする血管腫です。
これらは血管拡張によって生じるため、毛細血管拡張症に分類されます。他にも「酒さ（しゅさ）」の部分症状によって生じる場合もあります。酒さとは、顔の赤みや皮膚のふくらみなど主に顔に現れる症状です。この酒さに伴って毛細血管が拡張して、毛細血管拡張症が発症することもあります。
最後に、8,000人〜10,000人に1人の割合で遺伝的に毛細血管拡張症が生じる場合もあります。この遺伝によって発症する場合はオスラー病（遺伝性出血正毛細血管拡張症）といわれ、鼻出血などの出血症状が起こりやすくなる遺伝性疾患です。
オスラー病の多くは40歳以前に出現し、圧迫することによって赤色が消えることが特徴とされています。ただし、遺伝子に異常があったとしても必ずしもこの症状を発症するわけではありません。そのため、実際の発症率はより少なくなります。

最も一般的な治療方法はレーザー治療です。レーザーによって皮膚の下の拡張した血管を照射することで、赤みを抑えることができます。
ただし、一度のレーザー治療によって治るとは限らないことには注意が必要です。数か月にわたって何度もレーザーを照射する必要がある場合も考えられます。
また、副作用は少ない治療法といわれていますが、副作用としてレーザーを照射した部分の皮膚が黒くなる色素沈着や逆に肌の色が明るくなる色素脱失が生じる可能性には注意が必要です。
そのため、治療の際には医師に相談して、適切なアフターケアの方法を確認しておくことをお勧めします。

毛細血管拡張症では保険が適用されます。ただし、治療を行う範囲が180㎠を超える大きさについては保険適用外となるため、注意が必要です。

一般的には、2〜3万円程度が費用相場となります。治療を行う範囲が10㎠までの大きさであれば、保険適用で1回あたりの費用は約6500円程度です。
毛細血管拡張症の重症度にもよりますが、一般的には3〜4回程度の治療が必要となることから、総額では2〜3万円程度が治療費の費用相場です。

毛細血管拡張症の主な原因の1つは日光や急な温度変化だと考えられています。そのため、日光や急な温度変化を避けることを心がけましょう。
例えば、強い日光を避けるために日差しが強い時間の外出はできる限り避けたり、外出する場合にも帽子・日傘・長袖の衣服・手袋の着用などを心がけるとよいでしょう。
また、アルコールや香辛料など刺激によって症状が強くなったり、化粧品の使用によっても刺激を感じる場合があります。そのため、アルコールや香辛料をできる限り避けたり、化粧品を使用する際には肌でテストをしてから使用するなどの工夫をするとよいでしょう。

毛細血管拡張症のセルフケアの方法としては、光を遮る適切なスキンケアが重要です。
例えば、強い日光を避けるために日差しが強い時間の外出はできる限り避けることが対策として挙げられます。昼間の日中に外出する場合はなるべく直射日光を避けるようにすることをおすすめします。
また、外出する場合には帽子・日傘・長袖の衣服・手袋を着用して直射日光から顔や手足などを守ることも非常に有効となります。
他にも、適切なスキンケア製品を用いることも重要です。日焼け止めクリームは皮膚を紫外線から守り、症状の悪化を防ぐ役割を果たしてくれます。

顔に赤いあざのようなものができていたら気分が落ち込んでしまう方も多いでしょう。
ただ、落ち込んだまま何もしなければその問題は解決しませんし、問題がさらに悪化する可能性もあります。毛細血管拡張症であれば、医療の進歩によってレーザー治療などの治療を受けることで3〜4か月程度で治る可能性も十分にあります。
つまり、自分で勝手に判断して「もうだめだ」と諦めてしまう必要はないということです。そのため、皮膚に以上を感じたらまずは皮膚科の医師に相談をしましょう。
病気は早期発見、早期治療が何よりも大切です。早ければ早いほど治療後の経過もよくなる可能性が高くなります。
何か異常を感じたらためらわずに、すぐに専門家に相談することを心がけましょう。それがあなた自身の健康と幸せにとって最善の結果をもたらすことにつながります。