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「閉所恐怖症」の症状や原因はご存じですか?克服する方法についても解説!

 公開日:2023/07/25
「閉所恐怖症」の症状や原因はご存じですか?克服する方法についても解説!

狭く閉ざされた空間に対して、不安や恐怖を強く感じる人は、閉所恐怖症の可能性があります。

閉所恐怖症は不安障害の一種ですが、気持ちの問題であり、我慢すれば良いものと考えていると考えている人も多くいらっしゃいます。

しかし、閉所恐怖症をはじめとする恐怖症は、重度になると日常生活に支障をきたす程の病気であることをご存知でしょうか。

この記事では、閉所恐怖症がどのような病気なのか詳しく解説します。また、症状や治療方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

岡本 浩之

監修医師
岡本 浩之(医療法人幸啓会 北本心ノ診療所)

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2003年3月 東京大学医学部卒業 / 2003年4月 東京大学医学部附属病院精神神経科 入局 / 2003年6月 獨協医科大学病院精神科 入局(研修派遣) / 2004年10月 栃木県立岡本台病院 入局(研修派遣) / 2005年6月 埼玉県済生会鴻巣病院 入職 / 2009年4月 朝日病院(栃木県) 入職 / 2011年4月 北本心ノ診療所 開院 現在に至る

閉所恐怖症の原因や症状

考える女性

閉所恐怖症とはどのような病気ですか?

閉じ込められたような場所や、逃げだせないと感じてしまうような場所など、いわゆる閉鎖空間に不安や恐怖を感じる病気です。
一般的には閉鎖空間に多少の不安を覚える人も多いですが、閉所恐怖症の人はより強い感覚で不安や恐怖を感じ、パニック状態に陥ってしまいます。日常生活に支障をきたす程の症状であれば閉所恐怖症の可能性が高いでしょう。

閉所恐怖症の原因は?

閉所恐怖症は他の病気や障害とかかわらず、ある特定のものに対して恐怖を感じる、単一の恐怖症に分類されます。
過去の経験にトラウマを抱えており、トラウマの状況に陥ると不安や恐怖を感じてしまうことが、原因と考えられているのです。
ただし、思い当たるトラウマがないにもかかわらず、急に動悸や息切れなどのパニック症状が出る人もいらっしゃいます。
その場合、同じ閉鎖空間でパニック症状 がまた起きてしまったらどうしようと不安に思い、閉所恐怖症になる可能性があるのです。

どのような症状が出るのですか?

閉所恐怖症の主な症状は、身体面精神面に分けられます。まず、身体面の症状は下記の通りです。

  • 頭痛・腹痛・倦怠感
  • 胃の不快感・喉が詰まったような不快感
  • 過呼吸・手指のしびれ・耳鳴り・動悸・吐き気

上記のように体に違和感や、不調をきたす症状が多いです。次に精神面の症状は下記の通りです。

  • 不安や恐怖が継続的に現れ、何も手につかない状況
  • 一度悪い方向に考え出すと止まらず、強い苦痛を感じる状況
  • 不安な気持ちになると自分でコントロールできず、解決ができない状況

症状が重度の場合、ビジネスホテルなどの狭い部屋に不安を感じ泊まれない人や、エレベーターを前にすると体が震え乗れない人もいらっしゃいます。

閉所恐怖症の人が苦手なのはどのような状況ですか?

一般的には閉ざされた場所で、その場から逃げだすことができない状況を、苦手に感じる人が多いです。下記にいくつか例を紹介します。

  • バス・電車・飛行機などの乗り物
  • エレベーター・高速道路・トンネル・渋滞した道路・遊園地の観覧車
  • 美容室・歯科医院・病院の検査室

美容室・歯科医院・病院の検査室も含まれており、驚いている人もいらっしゃるのではないでしょうか。閉鎖空間でなくとも、その場で身動きの取れない閉塞感が苦手な状況に挙げられます。

閉所恐怖症の受診や治療

男性医師

閉所恐怖症はどのような場合に治療が必要ですか?

通常の不安と閉所恐怖症を、明確に区別するのは大変困難です。そこで、数ヶ月以上症状が続くようであれば、病院を受診しましょう。目安として6ヶ月以上続くと閉所恐怖症と診断される可能性が高いです。
また、症状が出てあまり日数が経っていない場合でも、日常生活に支障をきたす程重度であれば治療が必要になってきます。

何科を受診すればよいですか?

閉所恐怖症はこころの病気とも呼ばれています。成人であれば精神科・精神神経科・心療内科、子供であれば小児科を受診しましょう。
ただし、不安の原因がこころとは別で、身体疾患からくる不安の場合もあります。
そのため、必要に応じて脳波検査・心電図・CT検査・超音波検査などで異常を調べるため、検査をする科の受診をすすめられる場合もあるでしょう。

治療方法を教えてください。

薬物療法や精神療法(カウンセリング)が主な治療方法です。一般的には医師やカウンセラーと相談しながら、精神療法の一種である暴露療法(認知行動療法)から行う場合が多いです。
閉所恐怖症の人は、不安や恐怖を感じる場所やものは避けて生活していますが、不安に感じているものが漠然としている人もいらっしゃいます。
漠然としている人は、カウンセリングを通して原因を一緒に探していきましょう。特定のものが判明すれば、まず恐怖の程度が低いものから徐々に慣らしていき、最後に程度が高いものへ切り替え克服できるよう治療を進めていきます。
例えば飛行機や電車などに不安を感じる人であれば、病院によってはVR(バーチャル・リアリティ)を用いて、病院にいながら疑似的に状況を再現し克服を目指します。

どのような薬が使用されますか?

上記で解説したように薬物療法で治療を進めていくこともあります。閉所恐怖症のように恐怖症と呼ばれる症状には、長期的治療として抗うつ薬のSSRIが用いられます。
即効性はありませんが長期的に服用することで、徐々に効果を得られるでしょう。一方で、すぐに効果を求める場合は、抗不安薬のベンゾジアゼピンの服用が適切です。
飛行機・電車・車などで長時間の移動が必要な時は、乗り物に乗る前に服用してください。薬によって閉所恐怖症がなくなるわけではありませんが、乗る前に服用することで気持ちが落ち着き、長時間の移動も可能になるでしょう。
ただし、抗不安薬は使い続けることで体が慣れて効果が薄まる場合や、薬に依存してしまうなどの副作用もあります。用法・用量に関しては、必ず医師の指示を守って服用してください。

閉所恐怖症の克服やMRI検査の対処法

診療

閉所恐怖症を克服する方法はありますか?

閉所恐怖症を克服し改善していくには、前述で紹介した暴露療法が効果的です。克服するには不安なものに対しての慣れが必要になってきます。例えば、電車や飛行機に乗れない人であれば、最初に駅や空港の近くまで行きます。
徐々に慣れてくれば建物の中に入り、さらに慣れてくれば、実際に乗り物に乗って慣らしていくといった工程です。長期的に繰り返していくことで、克服される人も多くいらっしゃいます。
不安に慣れるまでには気力体力を使うため、薬物療法と併用しながら進めていくと、体の負担を減らせるでしょう。

閉所恐怖症の人がMRI検査を受けるにはどうしたらよいですか?

閉所恐怖症の人にとってMRI検査は、受けたくない検査の1つではないでしょうか。一般的なMRI装置はトンネル型(ドーナツ型)や筒状型が多く、検査時は体全体を装置に入れるため、不安になってしまう人が多いです。
しかし、近年では開口部や左右の空間が広いオープン型のMRI装置も開発され、多くの病院で導入され始めています。頭側や足側は開放的で、トンネル型よりも静音に優れているため、閉所恐怖症の人でも安心して検査を受けていただけます。不安な人は念の為に、受診の前にオープンMRI装置を導入しているか、確認しておくといいでしょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

本来何かを怖いと思うことや、恐怖を感じることは人間の自然な感情です。閉所恐怖症の人は不安や恐怖を過剰に感じ取ってしまい、日常生活に支障をきたす場合があります。
しかし、当事者ではない人からすると、症状を理解していただけないこともあるでしょう。その結果、1人で悩んでしまい塞ぎ込んでしまう人も多くいらっしゃいます。
ご自身で解決できない程、支障をきたしているようであれば、迷わず医療機関を受診しましょう。カウンセリングを通して病気と向き合うことで、克服できる可能性は十分にあります。
1人で悩まず、一緒に解決していきましょう

編集部まとめ

まとめ
今回は特定のものや状況に対して、過剰に不安や恐怖を感じてしまう閉所恐怖症について解説しました。

閉所恐怖症などの恐怖症は、こころの病気と呼ばれていますが、10人に1人の割合でかかる病気です。

誰でも起こり得る身近な病気なので、自分だけが特別で、自分が悪いんだとご自身を責める必要はありません。

閉所恐怖症を克服するには、適切な治療をすることが重要です。

こころに違和感や不安を少しでも感じるようであれば、本記事を参考にして医療機関へ受診しましょう。

この記事の監修医師