「網膜症」の症状や原因はご存知ですか?「糖尿病」の3大合併症で失明の可能性も!
公開日:2023/07/06

「網膜症」という病名は聞いたことがあるけれど、どのような病気なのかわからないという方も多いのではないでしょうか。 網膜症は、日本の成人が失明する原因の中で最も多い病気です。さらに5人に1人が発症し、糖尿病の予備群も含めると約1,370万人だと推計されて疑問視されている糖尿病の3大合併症の内の1つとしても知られています。 さらに網膜症は病名ではなく、総称です。どのような病気なのかや症状について詳しくみていきましょう。 また、治療方法や予防についても解説していきますので、ぜひ一読ください。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
目次 -INDEX-
網膜症の症状と原因
網膜症はどのような病気ですか?
網膜症とは、眼の一番奥底にある毛細血管が集まる場所を覆っている神経の膜である網膜に、破損や損傷が起きる病気です。
また網膜症とはいっても、さまざまな病気を含めた総称のため、網膜疾患とも呼ばれています。網膜症といわれる代表的な8つの病気は、以下の通りです。
- 糖尿病性網膜症
- 未熟児網膜症
- 黄斑円孔
- 黄斑前膜
- 黄斑浮腫
- 網膜静脈分岐閉塞症
- 裂孔原性網膜剝離
- 中心性漿液性脈絡網膜症
どのような症状がみられますか?
網膜症を発症すると、視野が狭くなったり、視力が低下したりするといったものの見え方に悪影響を及ぼす症状が一番多いです。
しかし、網膜症にはさまざまな症状がみられています。視野が狭くなったり視力が低下したりする以外の症状は、以下の通りです。
しかし、見え方においては患者にしかわからない部分も多いためカウンセリングはしっかり受けましょう。
しかし、網膜症にはさまざまな症状がみられています。視野が狭くなったり視力が低下したりする以外の症状は、以下の通りです。
- 物体が小さく見えたり大きく見えたりする
- 視界が歪んで見える
- 距離感を掴めなくなる
- 視界が暗くなる
- 視界に糸くずや斑点のようなものが見える
- 物体を認識しにくくなる
しかし、見え方においては患者にしかわからない部分も多いためカウンセリングはしっかり受けましょう。
発症の原因を教えてください。
網膜症はさまざまな病気を含んでいますが、その中でも網膜症の発症リスクが高い糖尿病性網膜症の発症する原因についてお伝えしていきます。
まず網膜症とは、眼の一番奥底にある毛細血管が集まる場所を覆っている神経の膜である網膜に、何らかの障害が起きる病気です。
糖尿病性網膜症の場合は、血糖値が高い状態で続くことにより毛細血管への負荷が非常に大きくなります。負荷がかかった毛細血管はもろくなり、血管の透過性が高いまま進むことで血管を詰まらせてしまうのです。
血管が詰まると、網膜に酸素や栄養素が十分に届かなくなり壊れてしまうことが、網膜症を発症する原因になります。
まず網膜症とは、眼の一番奥底にある毛細血管が集まる場所を覆っている神経の膜である網膜に、何らかの障害が起きる病気です。
糖尿病性網膜症の場合は、血糖値が高い状態で続くことにより毛細血管への負荷が非常に大きくなります。負荷がかかった毛細血管はもろくなり、血管の透過性が高いまま進むことで血管を詰まらせてしまうのです。
血管が詰まると、網膜に酸素や栄養素が十分に届かなくなり壊れてしまうことが、網膜症を発症する原因になります。
網膜症が原因で失明することはありますか?
網膜症を発症すると、さまざまな症状がみられますがその中でも最悪の場合となるのが失明です。
また日本の成人が失明する原因では、網膜症が最も多いとされています。発症の原因でも先述していますが、網膜に酸素や栄養素が十分に届かなくなり壊れていくと発症するのが網膜症です。
このままの状態が続くと、眼のレンズとしての役割をもつ硝子体で出血が起こり失明に至る場合があります。
また日本の成人が失明する原因では、網膜症が最も多いとされています。発症の原因でも先述していますが、網膜に酸素や栄養素が十分に届かなくなり壊れていくと発症するのが網膜症です。
このままの状態が続くと、眼のレンズとしての役割をもつ硝子体で出血が起こり失明に至る場合があります。
網膜症の検査と治療
受診するべき網膜症の初期症状を教えてください。
網膜症は発症するまでの期間が1~20年以上と幅広いだけでなく、初期症状が少ないのが特徴です。そのため、内科で糖尿病や糖尿病予備群と診断された場合は、眼科でも網膜症の健診を受けましょう。
糖尿病を発症すると、網膜症を発症するリスクが高くなるためです。網膜症は糖尿病の3大合併症なので、内科医と眼科医が連携を取るために紹介を受けることもあります。かかりつけ医と相談したうえで、網膜症の健診を受けることがおすすめです。
糖尿病を発症すると、網膜症を発症するリスクが高くなるためです。網膜症は糖尿病の3大合併症なので、内科医と眼科医が連携を取るために紹介を受けることもあります。かかりつけ医と相談したうえで、網膜症の健診を受けることがおすすめです。
どのような検査で診断されますか?
網膜症の疑いがある場合は、眼科にある散瞳下での眼底検査を受けましょう。さらに網膜症の発症具合を確認する検査は、3種類あります。
また、診断を受けるまでに数回の検査を受診する必要があります。眼科の受診を中断しないようにしてください。
- 網膜の毛細血管に異常がないかを確認する蛍光眼底撮影
- 瞳孔を広げて眼底の様子を確認する精密眼底検査
- 網膜の浮腫などを確認する光干渉断層計(OUT)
また、診断を受けるまでに数回の検査を受診する必要があります。眼科の受診を中断しないようにしてください。
網膜症の治療方法を教えてください。
網膜症の治療は症状の進行具合によって異なります。ですが、糖尿病の合併症として網膜症は発症リスクが高いため、血糖コントロールを行えば症状は改善可能です。軽症であるほど、比較的早く改善されます。
糖尿病を改善するインスリン療法だけでなく、網膜症を改善するための手術を行うことが多いです。治療方法の種類は以下の3つになります。
糖尿病を改善するインスリン療法だけでなく、網膜症を改善するための手術を行うことが多いです。治療方法の種類は以下の3つになります。
- 網膜レーザー光凝固術
- 硝子体手術
- ステロイド薬眼局所投与
手術した場合の入院期間を教えてください。
もし、網膜症で手術が必要となった場合は、特に大きな問題がなくても1週間ほど入院することが一般的です。
また、手術を受ける前には血液検査をはじめとするレントゲン検査や心電図検査を行ったうえで、手術が可能か判断されます。余裕をもったスケジュールを組んでおくことがおすすめです。
また、手術を受ける前には血液検査をはじめとするレントゲン検査や心電図検査を行ったうえで、手術が可能か判断されます。余裕をもったスケジュールを組んでおくことがおすすめです。
網膜症の予後と予防
網膜症は治りますか?
網膜症が軽度の場合は、糖尿病の改善にも非常に重要となる血糖コントロールで改善されます。しかし、重症化している場合は手術が必要です。
近年の網膜症治療では、硝子体手術後に0.5以上と良好な視力を維持できた症例が6割を超えてきています。血糖コントロールと定期的な健診を受けることで、網膜症の改善を維持できるでしょう。
確実に完治するとはいえませんが、網膜症の治療方法は技術と共に進化しており、比較的安全で有効な手段といえます。
近年の網膜症治療では、硝子体手術後に0.5以上と良好な視力を維持できた症例が6割を超えてきています。血糖コントロールと定期的な健診を受けることで、網膜症の改善を維持できるでしょう。
確実に完治するとはいえませんが、網膜症の治療方法は技術と共に進化しており、比較的安全で有効な手段といえます。
網膜症の悪化を予防する方法を教えてください。
網膜症の悪化を予防するためには、早期発見することが非常に重要です。
また網膜症の治療方法でも先述していますが、網膜症の発症リスクを高める糖尿病を改善するための血糖コントロールは必ず行う必要があります。
まずは糖尿病にならない食事や運動などの生活改善を徹底しましょう。生活の改善が難しい場合はカウンセリングを受けることが可能です。
また、糖尿病や眼に違和感がある場合はすみやかに眼科を受診してください。早期発見ができるかどうかでも、悪化の予防方法は変化します。不安を感じる方は、眼科へ定期健診に行くのもおすすめです。
また網膜症の治療方法でも先述していますが、網膜症の発症リスクを高める糖尿病を改善するための血糖コントロールは必ず行う必要があります。
まずは糖尿病にならない食事や運動などの生活改善を徹底しましょう。生活の改善が難しい場合はカウンセリングを受けることが可能です。
また、糖尿病や眼に違和感がある場合はすみやかに眼科を受診してください。早期発見ができるかどうかでも、悪化の予防方法は変化します。不安を感じる方は、眼科へ定期健診に行くのもおすすめです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
網膜症は最悪の場合、失明すると聞くと怖いと感じる方も多いでしょう。しかし、網膜症の発症リスクは糖尿病を回避すればほとんど抑えられます。それだけではなく、糖尿病にならないための生活を心がけることが網膜症の予防にもつながるのです。
血糖コントロールをしっかり行うことももちろん大切です。早期発見や早期治療を求めているならば、内科や眼科の定期健診を受けましょう。
定期健診を受けることは、病気から自分を守る最大の予防方法といえます。
血糖コントロールをしっかり行うことももちろん大切です。早期発見や早期治療を求めているならば、内科や眼科の定期健診を受けましょう。
定期健診を受けることは、病気から自分を守る最大の予防方法といえます。
編集部まとめ
今回は、日本の成人が失明する原因の中で最も多い病気とされている、網膜症について詳しく解説していきました。
網膜症を発症するリスクは、5人に1人の割合で発症し、予備群も含めると約1,370万人だと推計されて問題となっています。網膜症は糖尿病の3大合併症の内の1つとしても知られています。
網膜症を予防するためには、糖尿病にならないための生活習慣を心がけましょう。また、早期発見と早期治療のためには、内科と眼科の定期健診がおすすめです。
少しでも眼に違和感がある方は、すみやかに眼科へ受診しましょう。




