「心因性失声症」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
心因性失声症とは、心理的な要因で声が出しにくくなる症状のことをいいます。声帯に器質的な異常が認められないにも関わらず、失声の症状がみられることが特徴です。
症状を改善するためには、正しい知識を把握したうえで治療に取り組むことが大切です。心因性失声症に悩まれている方は、病気に関する知識を身につけておきましょう。
本記事では、心因性失声症について詳しく解説しています。ぜひご一読いただき、治療に取り組む際の参考にしてください。
監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
目次 -INDEX-
心因性失声症とは?
心因性失声症はどのような病気でしょうか?
声帯は声を出す際に用いられる器官です。声帯が振動することで、声が発せられます。この声帯を動かす神経が麻痺した場合や、声帯にポリープや腫瘍ができた場合などに声が出しにくくなります。
しかし、機能性発声障害では、声を出しにくくなる原因としてそのような器質的な異常はみられません。機能性発声障害の中でも、症状が現れる原因が心因性である場合に、心因性失声症であると診断されます。
ストレスが原因と聞いたのですが…。
基本的には突然失声の症状が現れることが多いです。風邪を引いたことをきっかけに声が出しにくくなる場合や、徐々に声が出しにくくなる場合もあります。
どのような方が心因性失声症になりやすいのですか?
症状を教えてください。
しかし、「聞く・書く・読む」ことは、問題なく行うことが可能です。これらの言語活動に異常が生じている場合は、「失語症」という病気が疑われます。失声症と失語症はまれに混同されることがありますが、異なる性質をもつ病気です。
一時的に発症する場合もあるのでしょうか?
ただし、心因性失声症には再発のリスクもあります。症状が治まったとしても、ストレスを抱えている方などは再び症状が現れやすいです。そのため、症状が一時的であった方も、再発の可能性があることを意識して過ごすようにしましょう。
心因性失声症の診断と治療方法
受診するタイミングを教えてください。
早期に治療を行うために、早めに医療機関を受診して声が出なくなった原因を把握するようにしましょう。また、心因性失声症の場合は、心理的な要因によって発症します。治療を受ければ症状が改善されるだけでなく、ストレスの要因を解消することにもつながるでしょう。心の負担を軽くするためにも、早めに治療を受けることがおすすめです。
何科を受診すれば良いでしょうか?
また、音声専門外来という医療機関を受診することも可能です。音声専門外来とは、声に関する症状を抱えた患者さんが受診する医療機関です。これらの医療機関で検査を受け、心因性失声症と診断された場合には、患者さんの状態に合わせて適切な治療が行われます。
心因性失声症はどのように診断されるのでしょうか?
診療時の表情などを含めた総合的な判断や、通院して複数回のカウンセリングをもとに診断を行います。また、心理テストや性格検査などを実施する場合もあります。加えて、症状が長期的なものか、一時的なものかの診断も必要です。
治療方法を教えてください。
その他にも、チューブ発声や指圧法など、病状に合わせて効果的な治療を行うことが必要です。しかし、音声治療は発声の回復に効果的ですが、症状の原因を取り除くことにはなりません。そのため、声が出るようになってもすぐに再発してしまう可能性があります。
再発を防ぐためには、心理療法を行うことが大切です。心理療法ではカウンセリングなどを行い、患者さんの心の負担を軽くしたり、精神的外傷を和らげたりします。これらの治療方法を、必要に応じて組み合わせながら行います。
心因性失声症の予後
心因性失声症はどのくらいで治りますか?
また、一度症状が治まっても再発のリスクがあります。発声練習などを行えば症状が改善するケースもありますが、症状が長引いたり気になったりする場合は医師に相談するようにしましょう。
心因性失声症を自分で治すことはできますか?
そのため、医療機関を受診せず症状を自分で治そうとしたり症状を放置したりすることはおすすめできません。症状がみられたらまずは医療機関を受診して、医師の指示を受けて治療を行うようにしましょう。
心因性失声症になった場合、仕事はどうすれば良いでしょうか?
治療を行う中で自分と向き合い、今後の生活についてゆっくりと考えてみてください。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
発症してしまったら周囲の人々に頼り、ストレスを抱え込まないように過ごすことを心がけましょう。
編集部まとめ
心因性失声症を発症すると、声帯に異常がないにも関わらず声が出しにくくなります。発症の原因として、ストレスや精神的外傷などの心理的な要因が考えられます。
声が出しにくくなるなどの症状がみられたら、早めに医療機関を受診しましょう。早く症状を改善するためには、患者さんの状態に適した治療を行うことが大切です。
治療方法として、発声の回復を目指す音声治療と、発症の原因を特定し心の負担を減らす心理療法の2種類が挙げられます。
心因性失声症の症状は自然に治ることもありますが、症状が長引くなどのリスクがあるため、症状がみられたら医師に相談するようにしましょう。
また、周囲の人々のサポートも重要です。一人で抱え込まず、不安などは頼れる人に相談し、自分と向き合いながら治療を行うようにしましょう。