「脱水症」を発症すると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
成人の身体の55~60%程度を水分が占めており、体内の水分が不足するとさまざまな症状が現れます。
「脱水症」と聞いてもあまりピンとこない方も多いかもしれませんが、身体の10%以上の水分を失うと死に至ることもあるため、決して軽く考えてはいけません。
脱水症は軽度のうちはあまり自覚症状がみられないため、重症になるまで気づかないケースもあり注意が必要です。
そこでこちらでは、脱水症の原因・症状・なりやすい方・予防方法などについて詳しく解説します。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
脱水症の原因と症状
脱水症の特徴を教えてください。
また、脱水症には水分と電解質を同じくらい失う等張性脱水症・電解質よりも水分を多く失う高張性脱水症・水分よりも電解質を多く失う低張性脱水症の3つがあります。 脱水症と聞くと汗で体内の水分が失われやすい夏に起こるものというイメージがありますが、実は1年中起こる可能性があります。
脱水症になると口の乾き・だるさ・めまい・微熱などの症状が出るのが一般的ですが、高齢者の場合にはあまり自覚症状がないことも多いため注意が必要です。
発症する原因を教えてください。
また、健康な状態でも排尿・発汗・呼吸などで水分を失います。通常は喉の渇きに合わせて水分を摂っていれば脱水症にはなりませんが、高齢者の場合は喉が渇きにくいことも多く水分の摂取量が不足して脱水症になる可能性があります。時間を決めて水分を摂取するなど、不足しない工夫をすることが大事です。
どのような症状がみられますか?
自分で脱水に気づくのが難しい高齢者や子供などの場合は、家族が注意して様子をみてあげましょう。
脱水症が起こりやすいタイミングを教えてください。
また、体調不良で下痢・嘔吐・発熱があったり、食事が摂れなかったりする時にも脱水症が起こりやすいでしょう。さらに、1日の中で細かくみていくと運動の後も脱水症になりやすいタイミングです。運動前・運動中・運動後の水分摂取を心掛けましょう。
水分と一緒に電解質も失われるため、塩分も一緒に摂取するのがポイントです。そのほか、入浴後や起床時なども脱水症が起こりやすいため、入浴前や就寝前にも水分補給をするのがおすすめです。
脱水症になりやすいのはどのような方でしょうか?
いつもより元気がない・機嫌が悪い・涙が出ない・口の中が渇く・尿の量が少ないといった症状がみられる場合には注意が必要です。高齢者の場合、代謝によって作られる水分の減少や、喉が渇きにくく水分摂取が遅れがちになることなどが理由で脱水症になりやすいといえます。
脱水症の原因と症状
受診するべき脱水症の初期症状を教えてください。
様子をみても良くならない場合には、医療機関を受診してください。さらに症状が悪化し、血圧の低下・頻脈・脱力・意識障害などがみられた場合にはすぐに受診することをおすすめします。特に高齢者の場合、症状が出始めた時にはかなり脱水症が深刻になっている可能性があるため注意しましょう。
何科を受診すれば良いでしょうか?
持病があり水分摂取等についての指導を受けている場合には、かかりつけ医に相談すると安心です。意識障害やけいれんがあるなど重度の脱水症が疑われる場合にはすぐに救急外来を受診するか救急車を呼びましょう。
どのような検査を行いますか?
それに加えて、起立性低血圧・粘膜や皮膚の乾燥・意識障害といった身体所見がある場合に脱水症と診断されます。
脱水症の治療方法を教えてください。
口からの水分摂取が可能な場合は、経口補水液などで水分補給を行うのが一般的です。口からの水分補給が困難な場合には、医療機関で点滴を受けて電解質や水分を補給します。
意識障害や血圧の低下などがみられる場合には、入院治療が行われることもあります。
脱水症の予防方法
脱水症はどのくらいで治りますか?
脱水症を予防する方法を教えてください。
水分摂取の目安は、1日にコップ8杯分程度です。時間を決めてこまめに摂取するように心掛けましょう。特に運動の前後・就寝前・入浴前などは水分摂取を意識したいポイントです。
ただし、持病などによって水分摂取量を制限されている場合などは、対策を主治医に相談しましょう。また、規則正しい生活を送るのも大事です。1日3食の食事と、6時間以上の睡眠を心掛けましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
いつもと違って元気がない・機嫌が悪い・力が入らない・ふらつきがあるなどの症状がみられた場合、脱水症を疑ってみてください。また、意識がもうろうとしている場合やけいれんがみられるような場合には、一刻も早く救急車を呼びましょう。
脱水症は1年中起こる可能性があるため、汗をかく夏だけではなく、1年を通して脱水症に気を付けましょう。
編集部まとめ
水分摂取は夏だけ意識すれば大丈夫だと思ってしまいがちですが、他の季節にも注意が必要です。
人間は1日に約2.5Lの水が必要だといわれています。食事から摂れる水分や体内で作られる水分を除いた1.2L程度は水分を摂取したいところです。
健康な状態であれば、喉が渇いた時に水分を摂取すれば深刻な脱水症になることは少ないと考えられます。
しかし、自分の意志で水分摂取をすることが難しい乳幼児や、あまり喉が渇かない高齢者などの場合は、意識して水分摂取をしてください。
そしていつもと違うと感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。