「花粉症」の薬・症状・自分でできる対策はご存知ですか?医師が監修!
春になると、目や鼻がかゆくなったりくしゃみが止まらなくなったりする方も多いのではないでしょうか。
花粉症は、日本においては自覚症状のある方が非常に多いポピュラーな病気です。毎年春の時期が憂鬱に感じるという方も多いでしょう。
今回は、花粉症とはどのような症状があるのか、解説をします。また、注意すべき時期・発症の原因・罹患しやすい方・治療方法や薬の特徴・おすすめの対策についても紹介します。
花粉症についての理解を深め、症状を抑えるためにご参考ください。
監修医師:
矢富 正徳(医師)
保有免許・資格
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本耳鼻咽喉科学会認定指導医
日本睡眠学会認定睡眠専門医
日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医
目次 -INDEX-
花粉症とは
花粉症とはどのような病気でしょうか?
季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれ、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を引き起こす病気です。アレルギー性鼻炎は、大きく分けて以下の2種類に分類できます。
- 通年性アレルギー性鼻炎
- 季節性アレルギー性鼻炎
通年性アレルギー性鼻炎は、ハウスダスト・部屋のダニ・ペットの毛などが原因で発生するアレルギー症状で、年中症状を発症するケースが多いです。一方、季節性アレルギー性鼻炎は1年の中で決まった季節だけ発生するもので、花粉症はこちらに該当します。
症状を教えてください。
- 鼻水
- くしゃみ
- 鼻づまり
水のようなサラサラとした鼻水が大量に出てきて、鼻づまりを伴うケースが多いです。また、繰り返しくしゃみが起こってしまう方も多いでしょう。
鼻に起こる症状以外では、目に関連したものも多いです。目のかゆみや異物感を覚え、目をこすってしまうことで目の充血を引き起こしてしまうケースが多くみられます。
鼻や目の症状により、集中力が途切れてしまったり、夜に熟睡できなくなったりして、生活に悪影響が及んでしまいます。
花粉症に注意が必要な時期を教えてください。
花粉症罹患者全体のおよそ70%が、スギ花粉をアレルゲンとしたものであると考えられています。このため、スギ花粉の飛散が増える2月後半から5月初旬頃が花粉症において最も注意するべき時期といえるでしょう。
しかし、これはあくまでスギ花粉の症例が多いことから判断されるものです。人によってアレルゲンとなる花粉は異なるため、ご自身の体質によっては違う時期に花粉症のピークを迎えることもあるでしょう。
発症する原因を教えてください。
スギ花粉による症例が日本で多いのは、そもそもスギが日本全国において多いためでもあると考えられています。日本の森林のおよそ18%をスギが占めており、特に関東や東海地方でスギの割合が多いです。
スギ花粉以外に花粉症を引き起こす花粉としては、以下のようなものが挙げられます。
- ヒノキ
- シラカンバ
- イネ科
- キク科
ヒノキはスギよりも少しピークが遅く、4~6月に多く飛散します。シラカンバは北海道や東北地方で多く、5~6月頃が飛散時期のピークです。
イネ科は、本州以西では年中花粉が飛散するため、イネ科の花粉に反応する方は特に注意する必要があります。
花粉症になりやすい方の特徴はありますか?
また、家族に花粉症など何らかのアレルギー疾患を持っているとかかりやすいともいわれています。
花粉症の薬
どのような検査で花粉症と診断されるのでしょうか?
- 血中IgE検査
- 皮膚反応検査
- 鼻粘膜誘発テスト
血中lgE検査とは、患者の血液を検査する方法です。血中lgEの量を調べる検査と、花粉に反応する特異的IgEの有無を調べる検査に大別されます。
皮膚反応検査は、皮膚の表面を少しひっかき、その箇所を花粉のエキスで刺激して反応をみる検査です。
鼻粘膜誘発テストとは、原因と考えられる花粉のエキスを染み込ませた紙を鼻の粘膜に貼り付けて反応をみる検査になります。
治療方法を教えてください。
- 投薬治療
- 手術
- 免疫療法
投薬治療は、主に鼻の各症状を緩和する薬を服用する方法です。投薬治療は手軽に実施でき多くの症例に対応できる点がメリットですが、治療が長期に及ぶ点や体質に合った薬を利用するのが難しい点などがデメリットといえるでしょう。
手術は、レーザーなどを用いて実施するケースが多いです。腫れた鼻内粘膜をレーザーで焼灼することにより、粘膜を収縮させる方法で、主に鼻づまりに効果があります。
免疫療法は、花粉症のアレルゲンとなる物質を体内に投与して、身体のアレルギー反応を弱める方法です。また、最新の治療方法として、抗IgE抗体治療が始まっています。注射によりヒト化抗IgEモノクローナル抗体を体内に投与し、アレルギー反応を抑制する効果が期待できる治療方法です。
花粉症の薬について教えてください。
- 抗ヒスタミン薬
- 抗ロイコトリエン薬
- 鼻噴霧用ステロイド薬
抗ヒスタミン薬は、花粉症対策のベースとなることが多い薬です。くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状を抑える効果が期待できます。以前は眠気を誘発するといわれていましたが、近年は眠気の発生を抑えた第二世代の薬が使われるケースが増えています。
抗ロイコトリエン薬は、血管を拡張させる作用があり、主に鼻詰まりの緩和に効果的です。鼻噴霧用ステロイド薬は、くしゃみや鼻水などの症状の緩和に効果があるとされる薬です。
花粉症の注射は何科で受けられますか?
花粉症の対策
花粉症は完治するのでしょうか?
しかし、治療の効果が得られない患者もいるとの報告があり、すべての花粉症を完治させることは難しいでしょう。ですが、症状の緩和を図ることは現在の医療でも十分に可能です。少しでも楽に過ごすために、医療機関での治療を受けることを検討してみてください。
自分でできる花粉症対策があれば教えてください。
また、普段過ごす室内の加湿をするのも効果があると考えられています。適切な湿気があれば、鼻の粘膜への負担を軽減できるでしょう。
そして外出時にはマスクをするのもおすすめです。鼻から入ってくる花粉の量を、大幅に軽減する効果が期待できます。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
しかし、花粉症は適切な治療を受ければ大幅に症状の改善が図れる可能性があります。また、最近の薬は眠気が起こりづらいなど、副作用を最小限に抑えたものが開発されています。
花粉症の症状に悩んでいる方は、まずは医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
花粉症は、アレルギー性鼻炎の一種で完治は難しい病気です。しかし、適切な対処をすれば症状を緩和できる病気でもあります。
花粉症に罹患すると、毎年同じ時期に同じ症状が発症するケースが多くなるでしょう。このため、花粉症のピークを迎える前に医療機関で正しい処置を受けるといった対策が取りやすいです。
花粉症に悩んでいる方は、毎年のことだとあきらめず、一度専門の医療機関に相談に訪れてみてはいかがでしょうか。