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「外耳道真菌炎」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/05/08
「外耳道真菌炎」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

耳の中にカビが生える病気があります。そのような信じがたい現実が私たち誰にでも起こる可能性があることをご存知でしょうか。

毎日、日課のように耳掃除をされている方ほど必見の記事になります。誰よりも清潔にしているつもりが、かえって耳の中の環境を悪化させている可能性があります。

正しい耳かきの方法や頻度がありますのでチェックしてみてください。今日から改善ができる簡単な予防法もご紹介していますので、ご参考にして頂けますと幸いです。

矢富 正徳

監修医師
矢富 正徳(医師)

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東京医科大学病院
保有免許・資格
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本耳鼻咽喉科学会認定指導医
日本睡眠学会認定睡眠専門医
日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医

外耳道真菌症の特徴

耳に手をあてて病状に悩む女性

外耳道真菌症の特徴を教えてください。

耳の入り口から鼓膜までの約3cmほどを外耳と呼び、その部分に真菌、いわゆるカビが生えるのが特徴です。耳の中は皮脂腺があり、通気性が良くない閉鎖空間という環境はカビが繁殖する好条件な場所でもあります。
常に湿っているとカビが生えやすく、症状が進行すると口を開けるだけでも耳の痛みを伴うことや、眠れなくなることもあるほどです。外耳道に生えたカビは耳の奥に厚い膜のように充満し、鼓膜をふさぐように密着します。
感染が進行すると鼓膜に穴があいたり、難聴の症状が現れるようになったりします。

どのような症状がみられますか?

  • 強いかゆみ・痛み
  • 耳のつまり感
  • 黄色の耳だれ・においを伴う耳だれ
  • 黒い耳垢
  • 耳が赤くなる・腫れる
  • 耳鳴り、音が聞こえづらい

急性では痛み、時には頭痛を伴うことがあり慢性化すると強いかゆみに悩まされます。かゆくて掻きむしり、痛みが生じたり腫れたり、耳だれの症状がでるようになります。
炎症が進行すると閉塞感や難聴の症状も起きやすいです。耳掃除の際に、耳垢の色や酒粕のような形状などいつもと様子が違う場合や、炎症で皮膚がジュクジュクとして分泌液が出ることも多くにおいがある場合も注意が必要です。

発症の原因を教えてください。

爪や耳かきなどで外耳道を傷つけた際に皮膚のバリア機能が低下し、真菌が感染しやすくなることが原因です。多くは耳掃除のし過ぎといわれており、耳をいじる癖がある方や、耳かきを強めに使用している方に発症しやすい傾向があります。
耳かき棒の先端に、空気中に浮遊している真菌が付着します。そのまま使用した際に過度の耳掃除などで炎症が起きた皮膚に菌が入り込み感染するというケースも考えられますので、清潔な綿棒を使用するようにしましょう。
近年はテレワークやオンライン授業が増え、イヤホンやヘッドホンを長時間使用する機会が多くなりました。耳の中が蒸れて高温多湿でカビが生えやすい環境であることが原因で、かゆみなど症状を訴えに来院される方も増えています。
耳にしっかりフィットし気密性の高いイヤホンは、長時間の使用時に注意が必要です。また、お子さんは耳いじり・耳かきの刺激によりその傷口や炎症箇所にプールや入浴時に細菌が入りこみ感染することもあります。

外耳道真菌症は人にうつるのでしょうか?

外耳道真菌症は外耳道内にカンジダ・アスペルギルスといった種類の真菌が感染して起こります。これらの真菌は私たちの皮膚に常在している身近な菌です。普段バリア機能が健全な時は感染するリスクが低いと考えられます。
他人へ、または他人から真菌が感染するというより、外耳道内のバリア機能が低下しているタイミングで感染しやすくなるといえるでしょう。前述であげたイヤホンなどは衛生面からも共有しない方が賢明であるといえます。

外耳道真菌症の治療方法

錠剤と塗り薬

外耳道真菌症はどのような検査で診断されますか?

まずは視診を行い、原因となる真菌の種類・存在を確認するために外耳道内の付着物を採取し、培養検査やKOH染色検査で診断をします。
内視鏡や手術顕微鏡で患部を観察し、菌糸などの特徴が確認できた場合は外来での視診時に診断も可能になります。真菌の種類によって使用する薬が変わるため、しっかりと検査・診断が必要です。

治療方法を教えてください。

外耳道内のカビを丁寧に取り除き消毒します。清潔にすることで菌量が減り、その菌量に対しての局所療法で、効果を出しやすくするためです。
抗真菌薬クリームなどで対応します。1回の処置だけでは数日〜1週間程度でまた元通りになってしまうことが多く、こまめに処置をしていくことが大切です。
皮下組織まで浸潤している場合は、点耳薬やクリームの治療薬に加え抗真菌薬を服用、かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤などを内服します。炎症の度合いが強い場合は、ステロイドを使用しますが副作用があるため短期間に限定します。

外耳道真菌症はどのくらいの期間で完治しますか?

治療後も早いと1週間前後で再発することも多く、簡単に感染を繰り返します。医師から治療終了と言われるまでは、約2週間〜2か月ほどはしっかりと治療をする必要があり、慢性化し治療期間が延びることや数か月かかるなど個人差があります。

自然治癒することもあるのでしょうか?

外耳道真菌炎は残念ながら自然に治癒することはあまりありません。それどころか、治療しても再発するほどですので、きちんと原因の真菌を取り除くまで治療を続ける必要があります。
治療をすれば完治する病気ですので、耳の中を洗浄し塗り薬などで根気よく治療し完治させましょう。一時的に症状が落ち着いたと油断し、自己判断で治療を中断しないことが大切です。

外耳道真菌症の予防方法

耳かき・白綿棒・黒綿棒

治療中の耳掃除はどうすれば良いでしょうか?

治療期間中にセルフで耳掃除は行わない方が良いでしょう。外耳道真菌炎は、間違えた方法での乱暴な耳かきや頻繁に過度な耳掃除が原因の場合がほとんどです。
耳を触ることも刺激になりますので気を付ける必要があり、特に治療中は新たな傷を増やしたり、治りかけの傷口にまたばい菌が侵入したりと治療期間が長引くことになりかねません。医師のアドバイスに従いましょう。

外耳道真菌症の予防方法を教えてください。

普段の耳掃除を見直してみましょう。耳掃除の仕方についてご紹介します。耳かき棒は使わず、清潔な綿棒を使うことです。耳の入り口より1cm辺りまでは「耳垢線」という耳垢の元となる物質が分泌されるゾーンで、普段はその部分までを清潔に保っていれば問題ありません。
綿棒のふくらみ部分を1cmとみて、耳の入り口部分を意識すると良いでしょう。もともと、耳垢には皮膚の保護や異物侵入を防ぐ働きがあるのであまり神経質に毎日掃除をする必要はありません。さらに耳の自浄作用により、ある程度は勝手に外へ出ていってくれます。
また、耳かきの頻度も大切です。耳掃除の頻度を2週間に1回を目安にしましょう。時間も2〜3分程度が望ましいです。まったく耳掃除をしないのも耳垢がたまって衛生的に良くありません。
掃除の仕方、頻度はバランスよく行いましょう。イヤホンの長時間使用をしないことも大切です。正しい耳掃除と外耳道内をふさがないことが予防につながります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

耳は思っている以上にデリケートな皮膚です。花粉症の季節にかゆみが出る方やアレルギー体質の方も注意が必要で、こすったり掻いたりすると炎症が起きますので、いじるほど症状が進行していきます。無意識に触る癖にも気を付けましょう。
耳の掃除をされる際は、耳かき棒は使わず綿棒で入り口付近を優しくふき取る程度にしましょう。日常でイヤホンを使われる方は、耳の穴をふさがない骨伝導タイプ、耳にかけるタイプを選ぶなど工夫もできます。
かゆみや耳だれなど普段と異なる違和感がある場合は、我慢や自己判断はせず、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。

編集部まとめ

資料を見ながら会議
外耳道真菌症は耳にカビが生える病気です。耳の中にカビが生えることが信じられないと感じるかもしれませんが、誰でも発症するリスクがあります。耳掃除の習慣・方法・頻度に注意しましょう。

コロナウイルスの流行以来、イヤホンの使用率上昇に伴い耳にストレスがかかっていますので、若い世代の方こそ気を付けて頂きたい病気のひとつです。

耳は大切な体の一部です。この記事を見て頂いたことをきっかけに、今日から耳の環境について少しでも考えて頂けましたら嬉しく思います。

この記事の監修医師